群・環・体
マグマ
集合$ Mに対する二項演算$ \cdot:M\times M\to ?が以下の性質を満たす時、$ (M,\cdot)をマグマという。また、単に$ Mをマグマという。
二項演算が閉じている
$ M\times M\to M
良い計算に慣れすぎた人への問題
マグマですらない二項演算をあげよ。
回答
$ a\le bの値は真理値なので閉じていない。
モノイド
マグマ$ (M,\cdot)が以下の性質を満たす時、これをモノイドという。また、単に$ Mをモノイドという。
モノイドは半群とも呼ばれる。
結合律: $ a\circ (b\circ c)=(a\circ b)\circ c=a\circ b\circ c
単位元の存在: $ a\circ1=1\circ a=a
を満たす元$ 1が$ Gに含まれる
例: 関数の合成
良い計算に慣れすぎた人への問題
モノイドですらない二項演算をあげよ。すなわち、結合律を満たさない演算をあげよ。
回答
減算と除算(逆元として扱うことに慣れていると忘れがちだが、小学校の頃は二項演算として扱っていた)
$ a-(b-c)\ne(a-b)-c
$ a\div(b\div c)\ne(a\div b)\div c
べき乗
$ (a\wedge b)\wedge c=(a^b)^c=a^{bc}\ne a^{b^c}=a\wedge(b\wedge c)
群
モノイド$ (G,\cdot)が以下の性質を満たす時、これを群と呼ぶ。また、単に$ Gを群と呼ぶ。
逆元の存在: $ a\circ a^{-1}=a^{-1}\circ a=1
を満たす元$ a^{-1}が$ Gに含まれる
例: 正則行列の積、置換
問題:
逆元の分配法則$ (ab)^{-1}=b^{-1}a^{-1}を証明せよ。
可換群
群$ (G,\cdot)が以下の性質を満たす時、これを可換群と呼ぶ。また、単に$ Gを可換群と呼ぶ。
可換律: $ a\circ b=b\circ a
例: 畳み込み、最大値、最小値
環
集合$ Rと積$ \cdot、和$ +について以下の性質を満たす時、集合と演算の組$ (R,\cdot,+)を環と呼ぶ。また、単に$ Rを環と呼ぶ。
$ (R,\cdot)はモノイド
$ (R,+)は可換群
左分配律: $ a\cdot(b+c)=a\cdot b+a\cdot c
右分配律: $ (a+b)\cdot c=a\cdot c+b\cdot c
例:
行列の加算と積、整数の加算と積、
ブール環:
真偽値の論理積と論理和、集合の交叉と合併、最大値と最小値
問題:
可換群の単位元を$ 0とするとき、$ a\cdot 0=0\cdot a=0を証明せよ。
情報の単位元を$ 1、可換群の逆元を$ -aとするとき、$ -1\cdot a=-aを証明せよ。
体
環$ (F,\cdot,+)が以下の性質を満たす場合、$ (F,\cdot,+)を体と呼ぶ。また、単に$ Fを体と呼ぶ。
$ (R\setminus\{0\},\cdot)は(可換)群
用語揺れ
積に関して可換性を要求する場合としない場合がある。
非可換な積を持つ体を斜体もしくは可除環と呼ぶ
逆に、可換な積を持つ体を可換体と呼ぶ。
例:
有理数の加算と積、実数の加算と積、複素数の加算と積、
正則行列の加算と積(斜体)、対称正則行列の加算と積(可換体)
真偽値の論理積と排他的論理和
問題
$ 0^{-1}を定義できないことを示せ。
集合$ \{0\}に対して乗算と加算を定義した時、体の定義を満たすことを示せ。
これを自明な体という。
また、邪魔な時は体の条件に$ 1\ne 0を加えることがある。
集合$ \{0,1\}に対して乗算と加算を定義した時、体の定義を満たすことを示せ。
これを二元体という。
これも例外になることがある。