2-2.反転授業の設計
本ページの作成日:2021/3/15
本ページの最終更新日:2021/3/15
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反転授業は、達成目標 → テスト・評価 → 授業方法 → 教材・コンテンツの順で設計・開発します。
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
(1) 達成目標を設定する
授業の目標の5分類
授業における達成目標は、典型的には以下の5分類がよく用いられます
https://scrapbox.io/files/604628ad698d6a001ca5d094.png
(出典)ガニェほか(著)、鈴木克明・岩崎信(監訳)(2007) 『インストラクショナルデザインの原理』 北大路書房
達成目標を書いてみる
授業のねらいにあわせて達成目標を整理(上の5分類を参考に)
明確な目標設定が必要
よくない目標の例
基本語彙を理解させ、日常会話程度の英会話力を育成する (→主語は?)
イベント実施における広報の重要性と役割を知る(→ 理解する、知る、はぐくむ……などの目標では、効果を検証できない!)
必ず「測定できる学生の行動目標」を示す
内容+(レベル・条件を伴う)行動
次の「評価」に深く関係します
(2) テスト・評価の方法を決める
目標達成度を評価する
課題・成果に合わせた測定方法を選ぶ
https://scrapbox.io/files/60462991194031001ccdd28e.png
目標行動を表わす動詞
(1)で述べたとおり、評価を行うためには、「測定できる行動目標」である必要があります
判別する、述べる、説明する、言う、解く、分類する、行う、他の活動を選ぶ、etc.
達成目標確認のポイント
達成目標を定めるポイント
(1) 学生が読んでわかる目標行動になっているか
(2) 評価の条件を示しているか
例:辞書を使っていいのか/ひとりでor何人かのグループで
(3) 合格基準は明らかか
例:何割できればいいのか/どの程度の時間以内か
学習目標を明確にする最もよい方法は、テスト・課題を作ること
目標ができたら評価方法・評価課題へ
テスト・課題の設計のポイント
達成目標(学習成果)と各授業回の学習内容を決めたらテスト・課題の項目作成
教材より先に評価項目を作る理由
1.達成目標と評価項目が一致するように
2.達成目標の到達度を測れるように
3.先にテスト・課題を作るほうが効率的
4.評価項目作成が達成目標の見直しにもなる
「なぜ・何のため」がスタート地点
次に「どのように」を決め、最後に「どんな教材を作るか」を決める
(3) 授業方法を決め、教材・コンテンツを作成する
学習目標に沿った設計
学習目標を決めたら、その修得に適した授業方法を考える
例)授業Aは知的技能(問題解決型課題への取り組み方)を身につけさせるのが目標で、対面授業もオンデマンドコンテンツも使える環境にある。ライブ(対面)授業とオンデマンドをどのように組み合わせるか?
理論的には、オンデマンド部分に割り振られるべきなのは次のいずれか
1) ライブ授業で(物理的に)できない学びをさせるため
2) ライブ授業では時間を割くべきでない(効率を向上させる)学びをさせるため
コミュニケーションを伴う活動(双方向性のある活動)以外の個別の知識習得などはオンデマンドの方が効率的
対面授業・オンライン授業(ライブ)・オンライン授業(オンデマンド)のメリット・デメリットを考慮する
https://scrapbox.io/files/60462afaac323d002028e8ed.png
設計の手順のまとめ
達成目標→テスト・評価→授業方法→教材・コンテンツの順で設計・開発
反転することは目的ではなく手段
反転に伴う問題点も知っておく
学習目標は、学生の達成目標として条件も書く
対面授業で行うことは、対面でなければできないこと(対面でないと効率や効果が低くなること)に絞る
ちょっと反転(一部の授業回だけ反転)でも構わない