ケアの倫理とエンパワメント
ケアの倫理とエンパワメント
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自己と他者の関係性としての〈ケア〉とは何か。
本書は、キャロル・ギリガンが初めて提唱し、それを受け継いで、政治学、社会学、倫理学、臨床医学の研究者たちが数十年にわたって擁護してきた「ケアの倫理」について、文学研究者の立場から考察するという試みである。(中略)この倫理は、これまでも人文学、とりわけ文学の領域で論じられてきた自己や主体のイメージ、あるいは自己と他者の関係性をどう捉えるかという問題に結びついている。より具体的には、「ネガティブ・ケイパビリティ」「カイロス時間」「多孔的自己」といった潜在的にケアを孕む諸概念と深いところで通じている。本書は、これらの概念を結束点としながら、海外文学、日本文学の分析を通して「ケアの倫理」をより多元的なものとして捉え返そうという試みである。(本書「あとがき」より) 目次
序章 文学における“ケア”(“ケア”の価値が看過されるわけ;ネガティヴ・ケイパビリティと共感力 ほか)
1章 ヴァージニア・ウルフと“男らしさ”(病気になるということ;負の「男らしさ」を手放す ほか)
2章 越境するケアと“クィア”な愛(ケアの倫理と民主主義;同性婚が認められない社会とオスカー・ワイルド ほか)
3章 弱さの倫理と“他者性”(ケアの倫理が問い直す正義論;ロマン主義時代におけるケアの倫理 ほか)