マクドナルド化
マクドナルド化とはアメリカ合衆国の社会学者で、メリーランド大学社会学部教授のジョージ・リッツァ(George Ritzer, 1940年-)がつくった言葉である。
リッツァはマクドナルドの経営理念とそれを象徴する 合理化が現代社会にあらゆる場所に浸透していることを指摘し、それをマクドナルド化(McDonaldization)と名づけた。 マクドナルド化の影響は、レストラン業界に限らず、教育、職業、刑事司法制度、医療、旅行、レジャー、ダイエット、政治、家族、宗教つまり事実上、社会のすべての側面に及んでいる。
マクドナルド化は、世界において定評を確立していた制度や伝統のある地域のすみずみまで、たちまち拡がっていったことからもわかるように、もはや避けることができない過程である。
合理化は官僚制化ではなく、「マクドナルド化」という姿をとっている マクドナルド増え、マクドナルドモデルのファーストフード店増え、マクドナルドモデルのレストラン増え、おもちゃ・クリーニング・ドラッグストア・衣類な ど他の分野の店も増え、スーパーマーケット増え、マクドナルドの発想を取り入れた医療、出産、結婚式、旅行パッケージツアー、教育、葬式まで増えている。
効率性
目的のための最短コースが決められている
計算可能性
質をすべて量に換える 例:サイズ、時間、コスト・・
予測可能性
画一化
メニューからサービスからすべて
人間によらない制御プログラム
自動的に料理する機械、客が長居しにくい椅子など
合理性の非合理性
非人間化
健康に悪い
人間関係むしばむ・・・
マクドナルド・モデルがこれほどまでに大きな魅力をもっているのはなぜだろうか。
マクドナルドでファストフードを食べることは一つの「記号」となっている。そして、その記号は、現代のライフスタイルとうまく適合しているのだ。
マクドナルドの成功、つまり社会がマクドナルド化することに4つの要素がある。
マクドナルドは、消費者、従業員、そして経営者に、「効率性」「計算可能性」「予測可能性」「制御」を与えているのだ。
効率性(efficiency)
効率性はある地点から別の地点に移動するための最適な方法である。
消費者にとって、マクドナルドは空腹から満腹へ移動するために利用できる裁量の方法を提供している。
また、マクドナルド・システムで働く従業員、経営者も効率的に機能することができるのである。
計算可能性(calculability)
計算可能性は、販売商品の量的側面(分量と費用)、およびていきょうされるサービス(商品を手にするまでにかかる時間)をもっとも重視する。
量は質に等しいものとなった。
何かがたくさんあること、もしくは商品の手渡しが迅速であることは、質がよいものに違いないということをさしている。
たとえば「ビック何とか」「ダブル何とか」という名称から、人々は量を決めることができるし、価格総額に比べて多くの食べ物を自分たちは手に入れていると感じることができるのだ。
従業員もまた、自分たちの質的側面よりもむしろ量的側面を重視する傾向がある。
作業の質のばらつきを少なくするなるよう設計されているので、従業員はどれだけすばやく与えられた作業をこなすかに専念すればいい。
予測可能性(predictability)
マクドナルドは商品とサービスがいつでも、どこでも同一であり均一であるという保証を与えている。
マクドナルドが意外な驚きを与えないことを知っていることに人々は心地よさを感じる。
マクドナルド・モデルの成功が暗示しているのは、人々の多くが意外な驚きのほとんど存在しない世界を好むようになったということである。
従業員も予測可能な仕方で振舞う。
彼らは店長の指図はもちろん、企業の職務干渉システムに従っている。
マクドナルド化した組織は、従業員が覚えることになっており、特別の事態が起こったさいにはマニュアルに従いさえすればいいのである。 人間によらない制御プログラム(control through the substitution of nonhuman for human technology)
第4の要素制御がマクドナルドの世界に足を踏み入れる人々に影響力を発揮する。
きちんと並ぶことが求められている行列、選択の余地のないメニュー、追加注文の品数の少なさ、そしてすわり心地の悪いいすなど、そのすべてが経営戦略上顧客に要請していること――早く食べてすぐに出て行け――へと食事に来た顧客たちを誘導するのだ。
マクドナルド化した組織で働いている人々も、顧客に対するものよりはるかに高度であり、非常に厳格で、しかも直接的である。
従業員は教えられたとおり正確に、ごく限られた業務をするよう訓練されている。
そこで用いられているさまざまな装置や組織作りの方法がこの制御を補強し、店長は従業員が自分の職務をきちんと実行しているかどうかを確認する。
マクドナルド化の利点
以前よりはるかに多くの人々がさまざまな商品を利用できるようになった。
以前とくらべて、商品やサービスの利用可能性が場所や時間に左右されなくなった。
欲求や必要を即座に満たすことができるようになった。
商品とサービスが高い規格性をもつようになった。
高額な商品・サービスに代わって、経済的な代案が広範囲に利用できるようになった。
迅速で効率のよいサービスで、時間的に余裕のない人たちにも利用できる。
急速に変化し、あまりなじみのない、敵対的な世界において、マクドナルド化したシステムが提供している相対的に安定し、親しみやすく、しかも安全な環境には、ある種の気安さがある。
数量化が徹底されているため、顧客は競合する商品をたやすく比較できる。
厳格に規定、管理されているため安全である。
人種、ジェンダー、社会階級に関係なく、平等に遇される機会が増えた。
組織と技術の革新は機会操作の回路をとおして迅速に、しかも容易に普及していく。
ある文化において、最も人気のある産物を別の文化へ伝播することがいっそう容易になった。 マクドナルド化への批判
合理的システムは大量の非合理性を必然的にもたらす。つまり合理的システムは人間の理性を否定する傾向を助長する。 マクドナルド化は環境に対して様々なマイナスをもたらした。人々が期待しているポテトを作るためには形の揃ったジャガイモを育てる必要がある。そのためには大量の化学薬品が使われ、完璧でないジャガイモは大量に捨てられる。
食事をする場所や作業をする場所が脱人間的な環境に変わっていってしまう。ハンバーガーを求めて、カウンターに一列に並ぶ顧客や、ドライブスルーで行列をつくって待つ顧客、そして食事の準備をしている従業員がしばしば感じていることは、自分が組み立て作業ラインの一部になっているという感覚である。食べていることに向いていないだけでなく、働く状況として非人間的になってしまっている。
ファスト風土化
コカ・コロニゼーション
文化のグローバル化
ディズニー化
『ファストフードが世界を食いつくす』(Fast Food Nation) - 2001年の書籍
『フード・インク』(Food, Inc.) - 2008年の映画
マック語
マックワールド (社会学用語)
『スーパーサイズ・ミー』(Super Size Me) - 2004年のドキュメンタリー映画
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