自動化のハードル
前提
SIにおいて自動化を取り入れる際、という文脈
僕の理解ではなく、僕の周辺で観測したこと
ただし観測結果を僕なりに考察して「こういうことでは?」として書いているものはある
たとえば素養の部分は、観測対象から出た声ではなく(観察対象の知識やものの考え方を見た上で)僕が言語化したもの
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SE絡み
SEが新たなパラダイムを身につける必要がある
IaCの素養
コードを書く素養
plain text をエディタでいじること
単に手続きを書き並べる以外の手法
Formatter, Linter
コードを上手く扱うための知識
バージョン管理
汎用化の素養
目の前の問題に泥臭く対処する、からの脱却
1: コンピュータでも扱える程度に問題をシンプルにする
2: そのシンプルな範囲で対処できるよう、問題側を変える
要件を変えるとか
3: バリエーションに対応できるよう設定の外出しとI/Fを整える
↑ たとえばこういうことを考える素養が必要
ロジックとデータの分離
SIでは成果物に直接機密情報を埋め込む(ハードコード)しか脳がない
SEの(というより人としての)資質の問題
たとえば「新しいことを考える」「新しい物を調べる・試す」ことに対するモチベーション
好きな人は好きだし、嫌いな人はとことん受けつけない(ので活動するのが苦痛)
特に後者の人は、今まで通用していたことから自動化(資質的に苦痛なこと)にシフトすることになるので、とにかく辛い
イメージが湧かない
Before/Afterがわからない
どんなツールがあるのかがわからない
お客さん絡み
お客さんに説明して理解してもらうことのハードル
無知であったり保守的であったりする
一蹴されるか、自動化の検討や採用に必要なリソースを出してもらえなくて詰む
お客さんの環境に新たなツールを入れるハードルもある
文化の問題
フォーマットの違い
自動化で生成したフォーマット ≠ 現場で準拠されてるフォーマット
後者は「無知な人間が感覚で整えたPWEP」であり、何かと細かく統一性もない ツールで出力できるものではない
or できるにしても相当なパラメーター数になって微調整ゲーと課す
人月商売では「何にどれだけ時間かけるか」を計画し、実績値も入れる必要がある
ウォーターフォール的
しかし自動化では
稼働が見えない
どの程度工数がかかるか見積もりにくい
そもそも(自動化が成功すれば)工数はごっそり減る
計画も実績も出せないし、出せたとしても(工数としてはごっそり少なくなっているので)稼げない
押し付け問題
わかる人に自動化に関する仕事全般が押し付けられる + しかし十分な裁量と予算がないのダブルコンボ
結果として、わかる人の負担が増えるだけに終始する
手段の目的化
目的を意識したままやり方を柔軟に変えていくことは、一般的には難しい
自動化で何がしたいかを見失いがちで、自動化することが目的になってしまう
「コストメリットがないとわかったのでやめます」ができない
浮かせた時間が有効活用されない
自動化で時間を浮かせても別の仕事を振られてしまう
自動化の実力を鍛える・手札を蓄える・組織に啓蒙するための自習時間 ← こういうのは確保されず、すぐ別の仕事が降ってくる
自動化で浮かせることを顧客が許さない
たとえば本来1000時間かけることが想定された仕事を、創意工夫により150時間で済ませた
850時間は好きにしていいかというとノー
だし、仮に今回は通じたとしても次回は「自動化できることを前提とした依頼」をしてくるので「1000時間かけることを想定した仕事(に見合った金額)」を受注できなくなる
金持ちが生活水準を落とすのは難しいが、同じことが起こる
もちろん「いや自動化による150時間で済むことは、手作業の1000時間と同じくらいの価値なのですよ(だから1000時間の仕事分の金額を払え)」が通じればいいけど、おそらく顧客には通じないsta.icon
ビジネス視点
たとえば構築して終わり、の案件だったら手作業の方が早い
案件単位で利益を見る(ことが多い)ので、「勉強のためにあえてやる」ができない
お客さんからしたら「なんでお前らの勉強のために」「手作業に慣れてて成果も安定して出しやすいならそうせいよ」なので、これは当たり前っちゃ当たり前かsta.icon
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印象的なことsta.icon
「時間の無さ」はあまり挙がってない
さすがに長時間残業、n(>=4)プロジェクト並行、とかだと挙がる
僕は毎日定時退社さえできないほどの余裕の無さで何ができるんだと思っているし、マルチタスクしてちゃ集中もしづらいだろn=1であるべきだろと思っているのだが、皆はそうじゃない(ある程度残業したりn<=3くらいは当たり前)だと考えているsta.icon
PWEPフォーマットが足かせになっている、という声も出てない 自覚がない?
資質面はなるほどたしかにと思う
SEの大半はナレッジワーカーではない
大工やシェフと同じで、言われたものを愚直につくる(工場の延長上としての)職人
しかし、自動化はそれを許さない
ものづくりの世界へと引き込む
拒否反応が出るのも頷けるし、資質面で有利でなければとてもじゃないがついてはいけないだろう