キーワード:ヴァーチャルIEIE
https://scrapbox.io/files/63084d05fe913300239f6503.png
1980年代になると、なかなか実現できない島のコンサート計画をもっと実現可能なスケールで展開する試みをチュードアは行なうようになる。《IEIE》の副産物として生み出されたこれらの作品は、島でやろうとしたことを別のかたちで実質的(virtual)に上演するという意味において、「ヴァーチャルIEIE」シリーズと呼べるかもしれない。その流れは大きく二つの系列に分けることができる。
A
まずチュードアは、1973年のサマー・ワークショップで巨大化した《Rainforest》の作動原理を、クナーヴェルシェア島の調査以後、あたかも《IEIE》のミニチュア版であるかのように、個々のリスナーの「リフレクション」と想起の作用を軸に語るようになる。たとえば1984年のインタヴューでは次のように説明される:「コンタクト・マイクは、音を立てている物体の近くでかすかに聞こえる反響周波数を拾って、それをより際立たせたかたちで普通のスピーカーから出力します。音のバランスをきちんと設定すれば、離れた場所で音のリフレクションが聞こえるようになる。そうすることで、ぼくがとても好きな、偽りの一貫性が作り出されるんです。つまり空間を移動すると、前に聞いたことがあったり、他の場所で聞いたことのある音が聞こえてくるわけです。」(https://davidtudor.org/Articles/fullemann.html)
B
また島の計画が完全に潰えたように思われた1980年半ばより、チュードアはジャックリーヌ・モニエと一連のコラボレーションを行なうようになる。《9 Lines, Reflected(9つのライン、リフレクティッド)》(1986)や《Lines and Reflections(ラインとリフレクション)》(1988)《Volatils with Sonic Reflections(飛行物と音響リフレクション)》(1990)などといった題名に示されるように、演奏の中心に置かれるのは、モニエがこしらえた室内用の凧(Lines)を扇風機で揺り動かし、その動きをレーダーという反射の原理に基づく測定システムによって感知し、その情報を聞こえない制御信号として可聴音を変調させるという、リフレクション作用の連鎖である。
https://scrapbox.io/files/630567d7499636001d02781f.png
https://scrapbox.io/files/630567e2dc48a10023d7e096.png
#キーワード:リフレクション
#タイプ:出来事_SIDE-A