超人
「超人」とはすなわち、国家に対抗する力量をもった崇高な精神的存在である。(中略) 言いかえれば超人は、規律訓練や徳育によって自らの欲望を抑制するのではなく、欲望を無際限に肯定し、そして祝福しなければならない。従来、肉欲と支配欲と我欲の三つは、各人が抑圧すべき悪しき欲求であるとみなされてきたが、ニーチェはこれらの欲求が、超人の理想において肯定しうることを示している。超人は、我欲をもって、巨大な組織(国家) に抵抗する意志を示す存在である。ニーチェは超人のもつ「創造力としての自由」を擁護するために、人間を凡庸なものへとおとしめる国家装置を批判した