新官房学
イグジット」の向こう側、それこそが新官房学である。 新官房学は、先に見てきた対称的主権の概念と「自由なイグジット(free exit)」の概念を総合させたものと見なすことができる。ヤーヴィンに従えば、新官房学の下では、国家は企業のように運営されるべきであるとみなされる。まず国家は一人のCEOを投票によって選出する。選ばれたCEOには主権、つまり国家に対する一切の所有権が与えられる。すなわち、CEOは専制君主として振る舞う権利を持つ。ただし、ここでの支配者と被支配者の関係性は、CEOとシェアホルダーの関係性とほぼ同義とみなされていることに注意しよう。つまり、CEO的な君主が相対するのは、国民というより自社の株主