新反動主義
新反動主義運動が、自由の称揚のもとに「啓蒙」を嫌悪し、民主主義社会からの脱却を志向するのは、彼らの次の理解による。西洋社会は、本来であれば個人の自由を大幅に制限するはずの民主主義や平等といった啓蒙主義的な概念を受け入れてきたことによって、自らの弱体化に寄与してしまった。その結果が、九・一一以降後を絶たない西洋にたいする攻撃の多発であり、弱体化のトラウマを経た西洋社会では今、「啓蒙の後に続く」(キッシンジャー)新たな哲学が、あるいはポスト民主主義的な社会への移行を可能にする新たな政治理論が必要とされている