完全競争
資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消滅する。だから起業家ならこう肝に銘じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化のないコモディティ・ビジネスを行ってはならない たくさんプレイヤーがいる状態。価格の決定権がない状態
完全競争とは、近代経済学における理想的な競争のモデルです。
完全競争では、市場で取引する売り手と買い手が非常に多数で、個々の売り手や買い手の取引量が価格に影響を及ぼすことなく、また産業への新規企業の参入に制限がない状態で行なわれる競争です。 完全競争における経済主体は価格に対する影響力を一切持たないため、彼らはプライス・テイカー(英: price taker、価格受容者)と呼ばれます。
経済学では,〈自由競争free competition〉という概念は,一般に制約や干渉なしにほぼ同じ力のものが互いに他を排して,しかしその努力を阻害することなく最大の成果をあげるために競い合うという意味に用いられるが,その内容はあまりに広範で理論分析を行ううえの理想型としては明確性を欠くきらいがある。完全競争というのは,市場機構が最も理想的に機能する場合を抽象化した経済分析上の市場の類型で,通常つぎのような条件によって特色づけられる。すなわち,(1)同一の財とサービス(生産物や生産要素)について多数の需要者と供給者が存在し,どの1人の個人の行動も市場価格に観察できるような影響を及ぼしえない。また,(2)各経済主体は市場の状態とくに各財の価格について完全な知識をもっている。したがって,(3)市場においては各財について唯一の価格が成立し,各個人はそれを所与として行動する。さらに,(4)生産物や資源の自由な取引,移動を妨げる制度的,人為的な制約は存在せず,(5)長期的には,平均利潤率を上まわる市場には新企業が参入し,下まわる市場からは企業が退出する(自由参入と退出)ことによって利潤率の平均化が行われる,というのがそれである。 純粋競争という言葉は,完全競争の条件(1)~(4)のように情報の不完全性や取引の制限がない経済で,大海の一滴にもたとえられる無数の売手と買手が価格を所与として競争するような場合一般に用いられ,この二つの概念はしばしば同一視されることがある。しかし純粋競争の条件としては自由参入の条件((5))を考慮しないのが普通で,ときとしては情報の完全性((2))や取引の自由((4))をもそれと別個の概念として区別することがある。
計画経済のように中央当局が意識的に経済の統制や割当てを行う場合とちがって,生産の無政府状態ともいうべき市場経済で,各財の生産量や消費量がどのように定まるか,すなわち市場機構がいかに機能するかに関しての一つの基本的説明は一般均衡理論によって与えられる。部分均衡理論はその簡略化された形態である。完全競争市場においては,各生産者の生産量は市場価格が限界費用と一致する点に定まる。そしていくつかの条件のもとではあるが,そのような資源配分は効率的となることが論証される。自由な競争は最大の生産をもたらすというアダム・スミス以来の経済学の思想は,この効率性の定理として確固たる基礎が与えられたことになる。
→一般均衡理論 →競争 →市場均衡