4.2ブレッドボードとジャンパワイヤ(1)
本実験のうち「アナログ電子回路」「ディジタル電子情報回路」「データ通信」「特別実験」では回路を自作する.ここでブレッドボードとジャンパワイヤの構造や使い方を理解しておこう.
◎ブレッドボードとは
ブレッドボード (bread board) は,はんだ付けなしで素子を接続し,ジャンプワイヤを
使って簡単に回路を構成できる基板である.
シンプルな 2 種類のブロックを組み合わせる
だけなので,回路の規模に応じて様々なサイズが用意できる.
図4.5 に,ブレッドボードのブロックと内部構造を示す.
https://gyazo.com/f700e862948f2778b1d6c63de1811d78
図4.5 ブレッドボードのブロックと構造
端子やブロックは独立していて,その間の電気的な接続はない.
左上の GND(黒),V1(赤),V2(黄),V3(緑)は,電源等の外部線接続端子.
卓上の電源供給ターミナルから
黒:GND――電源端子黒:GND
赤:$ V_{CC}――電源端子赤:$ V_1
ブロックには2種類ある.
細長い①と②は,電源ラインとして用いる電源ブロック.
①は,複数ある②に電源を供給するように横向きにしたコモン電源ブロック.
※部品としては①②は同じ
③は,電子部品を配置するコンポーネントブロック.
◎ジャンパワイヤによる配線
ジャンパワイヤは,電子部品に電源を供給するときや,電子部品同士を接続するのに用いる.
ジャンパワイヤにはいろいろな長さがあるので,配線の長さに応じて最も適切な長さのジャンパワイヤを選んで使う.
※ジャンパワイヤを挿抜するときには,IC同様に十分気をつけて行うこと.抜きにくい,挿しにくいものがあれば廃棄してなるべく新しいものを使う.判断がつかなければスタッフに確認する
◎ブロックの内部構造
上図4.5 のように各ブロックの表面にはたくさんの孔があいており,そのそれぞれの孔にICのピンや電子部品の足またはジャンパワイヤの両端が差し込めるようになっている.
孔の間隔は 0.1inch(2.54mm) で,DIP 型 ICの足の間隔と同じである.
孔径つまり差し込めるワイヤや素子の足の太さは 0.3~0.8mmΦ.
これらの端子孔は,図に示すように裏側で横方向 (コンポーネントブロック) または縦方向 (電源ブロック) に接続=電気的に導通している.回路作成時にはこの導通関係を使って組み立てる.
a.電源ブロックは縦方向に導通.ただし中央では分断している.ブロック全体をつなぐには中央をジャンパで結線する.
b.コンポーネントブロックは横方向に導通,A~E の横方向,F~J の横方向が導通.ただし,「A~E」と「F~J」間には溝があり,相互に独立している.
◎コンポーネントブロックでの結線
下図4.6 を例に説明する.
(1) 縦 A–横 2(以降 A–2 と表記) と A–5 がつながれている.これによって,A–2~E–2の横ラインと,A–5~E–5 の横ラインが電気的に導通している.
(2) E–9 と F–9 が接続されている.これによって,A–9~E–9 のラインと,F–9~J–9のラインが導通している.
(3) 中央にある溝は A~E と F~J を電気的に分断されているため,E–F 接続のように溝をまたがる配線をしない限り,左右で導通することはない.
(4) 後述するが,この溝の左右 (つまり E と F) には DIP 型 ICがちょうどまたがるように設計されている.
※ブロックは裏側で導通していると述べたが,わずかながら抵抗値は存在する.本研究で用いるコンポーネントブロックの導体の抵抗値は 10 mΩ であり,電流の上限は 3 Aである.
https://gyazo.com/07cb37681fe9a319a7de21af26d91176 https://gyazo.com/2f192685721d0c20399075bc77c836d9
図4.6 Comp.ブロックでの結線 図4.7 電源ブロックでの結線
◎電源ブロックでの結線
上図4.7 は,電源ブロックの中央付近を拡大したものである.
図4.7 の(a) 列の孔はそれぞれ内部で導通しており,同様に (’a),(b),(’b) の各列は内部で導通している.
しかし (a) と (’a),(b) と (’b) は独立している.
電源をブロック全体に行き渡らせるには,2 つの間をジャンパでつなぐ必要がある.
ただし,(d) と (’c) のような,クロス配線は絶対にしないこと.
それぞれの列の横には,青と赤の線が引かれている.この青と赤のラインに設計上の違いはないが,電源ラインとして $ V_{CC} と GND を混線するとショートが起きる.
赤のラインは赤のラインへ,また青のラインは青のラインに接続する.
当たり前だが,孔の距離が近いので,かなり注意していないと間違える.
◎電源端子とブロックの接続
ブレッドボード上には電源端子が四つある.
本実験では,原則として赤= VCC,黒=GND として利用する.
他の端子は通信信号など,必要に応じて適宜使用する.
https://gyazo.com/7d15dc45a718daefdf44796d423c178c
図4.8 電源接続端子
電源接続端子と電源ブロックは,図4.3 右に示したジャンパワイヤを用いて図4.8 左のように接続する.
もし,図4.8 右のような接続状態になっている場合は,直流電源につないだとたんにショートが起きるため,図4.8 右のような接続状態には,決してしないように心掛けること.
実際には配線にわずかな抵抗値があり,電気の供給源である直流電源には電流の供給限界があるため,多くの場合は大惨事にはならないが,ブレッドボードが溶けたり,素子が焼け焦げる程度はよくあるので注意すること.
★次節ではICの挿抜,ショートへの注意について述べる.