3.1受動素子(4)コイル
◎インダクタンス(誘導係数)
誘導係数,誘導子とも呼ばれるインダクタンス(inductance)は,導体に流れる電流の変化によって発生する誘導起電力の量である.コイルに関しては、「そのコイルの磁束の生じやすさ」だと言える.
インダクタンスの単位はアメリカの物理学者 Joseph Henry にちなんで,[H](ヘンリー) と呼ばれる.
ヘンリ―はキャパシタの単位ファラッド同様,一般的な電気電子回路における単位量としては大きい値なので,多くの回路では,µH ~ mH のオーダーで利用される.
◎インダクタ (コイル)
導線を同じ方向に何度も巻くとインダクタンスが生じる.
一般に導線を繰り返し巻いてある素子をコイルと言うが,回路においてインダクタンス成分を主機能とするコイルをインダクタ,電圧変換目的のコイルは「トランス」と呼ばれる.
回路記号は図3.9 の通り.
インダクタンスの量はコイルの巻き数と巻径,コイルの芯 (コア) の種類で決まる.
インダクタの製品タイプは用途に応じて大きさも形状も非常に様々である.
※チョークコイルのように導線がむき出しのものもある (図3.10).
https://gyazo.com/713f46ee7d1200b4cceb835cc1290db1 https://gyazo.com/fb7d327f98d845dff20b34f6fda4af34
図3.9 インダクタ回路記号 図3.10 チョークコイル
小型のインダクタは下図3.11 のようにアキシャルリード型,卵型,数値表示型がある.
◎数値表記の読み方
数値の表記法は主としてカラーコードや数値表示だが表記がないものもある.
https://gyazo.com/d89e72958f315a39d2d58f0bf8bc3264
図3.11 インダクタの形状と値の読み方
カラーコードのルールは抵抗器とほぼ同じである.表3.5 参照.
表3.5 インダクタンスのカラーコード
https://gyazo.com/ea589bc0155d9e62ed63229b50dff899
数字表示法の場合
左から 1,2 桁が数値,3 桁目が冪乗数,基本単位はµH.
末尾の英字は許容誤差:J(±5%),K(±10%),M(±20%)
図3.10 右下の例だと次のようになる.
"473J" = 47$ \times 10^3µH = 47mH
"J" = 許容誤差 : 5% 以内
「R」表記の場合
R は小数点.単位はµHのみ.
※コンデンサにもこの表記がある
例1: "1R5K" = 1.5µH±10%
例2: "R12J" = 0.12µH±5%
「N」表記の場合
Nは小数点.単位はnHのみ.
例: "1N3M" = 1.5nH±20%