ベトナム観光公社
https://gyazo.com/c151e0a002e183fecc8bdf66ac684926
筒井康隆作
中公文庫・短篇集『ベトナム観光公社』収録
http://www.chuko.co.jp/bunko/1997/12/203010.html
ハヤカワ文庫JA『日本SF傑作選1 筒井康隆』収録
https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000021289/
概要
泥沼化し、観光資源と化してしまったベトナム戦争を描いた作品。新婚旅行の下見で、主人公は格安だった「ベトナム戦争ツアー」に参加することになるのだが......。
筒井康隆のはじめての直木賞候補作。
おすすめポイント
筒井康隆の悪意に満ち溢れた世界を堪能できる作品。
筒井康隆は徹底的に”人間は愚かである”ということを愚かな人間たちと同じ目線で描き続けた作家であり、そのひとつの極地がこの作品です。この作品が発表されたのは1967年、ベトナム戦争の真っ最中です。そんな時にこんな作品を書いてしまったので、筒井康隆は見事に大炎上してしまいます。
ですが、考えてみると、戦争とは人間の愚かさの結晶のようなものではないでしょうか。筒井康隆は愚かな人間の起こした愚かな行為を「愚かだ」と言っていただけなのに、なぜ非難されなければならないのでしょう。愚かな人間は、60年経った今でも同じ愚かな行為を世界中で晒し続けています。
ちなみに、タイトル「ベトナム観光公社」は略すと「ベ観公」(べかんこう)となり、これは関西の方言「べっかんこう」(あっかんべー、という意味)からとられています。まさに、戦争にベロを出して嘲笑う作品と言うわけです。
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