【殺陣の知識02】武士の所作(江戸時代)
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 江戸時代中期以降,幕末の動乱までは殆ど戦らしい戦ははありませんでした.その分,勤め人としての武士の作法は細かく決められて行きました.ここでは刀に関する所作を紹介します.
※ただし時代や地方(藩)によって所作は細かい異なります
◆帯刀・脱刀・提刀
◎帯刀
1. 右手で鍔,左手で鐺(コジリ)あたりを支え,帯に導く.
2. 帯(3重に巻かれている)の内側一枚の中に差す.
3. 差す深さの目安は栗形が帯から拳一握り出る.鍔が臍の前くらい.
通常は「鶺鴒( せきれい )差し」:少し後ろが落ちる角度
他には「浪人差し」( かなり立てて差す ),「天秤差し」( 水平に差す )等
4. 下げ緒はゆるく刀の後ろにかけ,前帯に挟む. ← 流派あり
★帯刀時の注意
・常に鍔に指をかける(鍔を控える,と言う)
親指または人差指で,刃の真上は×( 抜けたら切れる )
・右手は原則としてに帯につけておく
すぐ柄を握れるように
◎脱刀 ← 刀を帯から抜くこと
1. 下げ緒を脱刀できるように捌き,右手に渡す
2. 受けた右手で鍔を控え直し,脱刀する
3. 左手は帯の鞘元を支える
4. 持ち歩く時(提げ刀)は鍔を必ず控える
※人の家に上がる時は敵意を見せないために鍔から手を離し,栗形付近を持つ
◆座礼
1. 左半足引いて左膝から地につき,膝頭を揃えて座る
※座った時左右の足は重ねない
2. 右手で脱刀( 脱刀の手順は上記 )し,右側に置く
※刀を見ない
3. 左手→右手と滑らすように手をつき礼
※両手で三角を作りそこに頭を乗せる
4. 右手→左手と戻し,刀を取る
※刀を見ない
5. 刀を正面に立て左手で鞘をなぞりコジリを取り,帯に誘導して帯刀
※腰元を見ない
※左手で鍔を控える
6. 後ろ足を立て,右脚を踏み出して立つ
7. 右脚を引き,足を揃える
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