【殺陣の知識01】身體の使い方
殺陣はアクションです.アクションはお芝居の一部です.殺陣は「カッコいい」ことが身上ですが,それだけでは芝居に繋がりません.
お芝居の一部である異常,配役や演出に基づいて,そのキャラその場面に合わせて,カッコ悪い,弱い,ド素人,卑怯,臆病……などの人物も演じ分ける必要があります.
「威勢はいいけどホントはビビってるチンピラ」「初めて人を殺したときの体の震え」などなど.
だからこそ殺陣を学ぶ人は,人間の心理と身体の関係をよく判っておく必要があるのです.
ただし,それらを演じきるには,「できる殺陣」の基本がわかっている必要があります.
以下に紹介するのはまず理解しておくべき,「できる人」の原則です.
→ 「できない人」の芝居の際には逆を演じることになります.
●動きの基礎 → 安定感・無駄のなさ
1. できる人は力まない ← → 素人ほど力む
2. できる人は頭が安定 ← → 素人ほどグラグラ
3. できる人は腰の高さ一定で摺足 ← → 素人ほどドタバタ
4. できる人は動きと視線が噛み合う ← → 素人はどこ見てるの?
5. できる人は見栄(キメ)と動きのメリハリがはっきり ← → 素人は止まらない/キマらない/ダラダラ動く
●足さばき
膝を緩める ← 素早い反応の極意
臍を中心に動く ← 安定の極意
半身(はんみ)に立つ ← 武道の基本
一直線上に立たない → 重心下の直線を跨ぐ
人間の弱点は正中線上にある:眉間,喉,鳩尾,金的
これを相手から隠すのが半身の構え
また,足が前後にあるために,素早く攻撃を受けたり躱せる
刀を持つときも同じ
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右半身:左半身:深い半身:( 忍者・徒手での戦い )
・一足一刀 ←剣術の基本
例:右上から左下の「左袈裟切り」:右足踏み込む
「ねじれ」の関係にはならない
・開き足: 直線上に立たない
横からの攻撃に弱くなる
・振り向きざまは二歩
後ろの相手から遠ざかって二歩 → 斬撃/受け
●太刀さばき
基本は「剣術」と同じです.
1. 相手の正中線を狙う太刀筋(真っ向斬り,袈裟斬り,横面等)
2. 体軸がぶれない太刀筋(胴斬り,抜き胴,追っ払い,回転斬り等)
3. (片手になる時)持っていない方の手が大切(突き,血振り,回し胴斬り等)
4. 連続技はほとんどが左右交代(刀は重いため)
★ただし,殺陣では本来の剣術を基本にしながらも「見せる」ことに特化しています.
→ 「安全に見せる」ための太刀さばきが,殺陣には存在します.
「山形」「切り上げ」「横一文字」「突き」等
→ これらの太刀筋は「切っているように見えるけど実際には相手に当たらない」ように振る
★本番では軽い竹光刀を使いますが,基本の素振りではぜひ模造刀(居合用)か,または重い木刀を持って練習しましょう.
→ 腕を振り回すのではなく,体全体を使った太刀さばきを身につければ,リアルなバトルシーンを演じることができるようになります.
●身體のあり方
體についてのマインドセットは、アクションにとって大切です。
別記事にまとめたのでどうぞ。
以上です.