【殺陣の知識05】抜刀と納刀
刀を使う以上,抜刀・納刀できないと話になりません.
いくら立ち回りがかっこよくても,抜刀納刀でモタモタしていたら台無しです.
◆抜刀
抜刀の手順を解説します.(画像・映像はぼちぼち……お待ち下さい)
☆大切なのは「鞘送り」 -- まずはこれを心して下さい.
用意1:立ち方
刀を抜く準備の姿勢について.実際には様々な芝居の状況があるが,基本は以下を押さえておこう.
左手は鍔を控える(親指を鍔にかける)
※刃の真上だと抜く時に切れるので鍔の少し右側に指を掛ける
右手は帯の位置.握らずに指は伸ばしておく
両膝はややゆるく.腰の高さ(膝の曲げ具合)は芝居による
視線は相手を見るが一点ではなく相手の姿全体を捉える
用意2:鞘送り
柄頭が自分の臍の前にある状態をキープしつつ,鞘を送り出す
相手から見ると柄頭が動いていないようにす~っと
腕は自然に二等辺三角形を成す
※鞘はどこまで送ればいいのか
目安としては,柄元(鍔側)に右手が自然に届く場所.
用意3:鯉口を切る
左の親指で鍔を押し上げて鯉口を切る
これも相手から気づかれないようにスッとやる
親指が刀身の真上になると(本身だと)切れるので注意
抜刀1: 柄に手をかける
右手を柄にスッとかける
握ってはいけない
親指と他の指でそっと挟むだけ
※柄のどこにかけるか
鍔に手首が当たらない程度の鍔元
抜刀2: 鞘引きする
左手で一気に鞘引きをする
大刀はそれだけでは抜けないので,体を左に引く
※腰を後ろに引くのではなく,足を引いて体ごと左に引く感じ
右手はそのまま前に放り投げる感じ
抜くのに力を入れない.腕を大きく動かす必要もない
抜刀3: 右手を握って抜き付ける
刀が鞘から抜けた直後,初めて右手を握る
※本身の刀身は重いのでそのままだとだらんと落ちてしまう
刃の向きが横なら横薙ぎで抜き付け
刃が上向きならそのまま正眼の位置で抜き付け
抜刀4: 鞘は引ききって立てておく
こうすると邪魔にならない
以上,細かくゆっくり説明しましたが,実際にはこれを「用意」「抜刀」の2アクションで行います.
◆納刀
納刀は抜刀よりも慎重さが必要です.
真剣だとすれば指を切るリスクが一番大きいのが納刀です.稽古でも指の股を挟んだりします.
納刀し終えるまでは戦いだという緊張感は芝居にも必要です.
納刀1: 鯉口を深く握る
親指と人差し指で鯉口の蓋をする程度
納刀2: 鞘送りする
抜刀で送った場所に持ってくる
納刀3: 刀の峰を鯉口に置く
鯉口には親指と人差し指が乗っているからこの間に置く
力は必要なくトンと置く
納刀4: 鞘引きする
親指と人差し指をガイドにして鞘引き
右手はガイドに沿って刃を滑らせる
納刀5: 鞘の角度調整
刃先がコトンと鯉口に落ちたら
鞘を刃の方向に合わせて角度調整
納刀6: 鞘送り
刀はあまり動かさず、鞘を送って収める
納刀7:納めきる
ハバキに達したらゆっくりかっちり納めきる
相手から刀が動いていないように見えるのがポイント
芝居ではこの「カチッ」が合図で絡みがバタバタと倒れたりします(^_^)
★結局、抜刀・納刀は数をこなす必要があります.
千回くらいやれば,呼吸をするように抜き差しが可能になりますね(^_^).
効果的なのは鏡やビデオで自分の姿を確認することです.
★納刀抜刀動画
https://youtu.be/5TpQirJ_h4E