【殺陣の知識06】技の名前(1)五行の構えと斬撃九種
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殺陣には様々なポーズや技があります.基本は古来からの剣術にもとづいています.一つ一つは実地に体得してもらう必要がありますが,それぞれの名前は聞き覚えておくのがよいでしょう.
まずは基本編.これだけは体に染み付かせることが肝心です.
●構えとは
1.攻守に入るまでの準備(正眼/八相)
2. 攻撃直前の構え(上段//霞/脇構え)
2.攻撃を受ける形(下段/柳/縦一文字/横面受)
3.見栄(横一文字/霞/胴柳)
●五行の構え
本当の剣術の多くの流派で使われる構え.
正眼・上段・下段・八相・脇構え を五行の構えという.
※この他にも霞・縦一文字,横一文字などがある
1. 正眼:正面から相手の喉を狙う.すべての構えの基本
コツ:切っ先が上すぎないこと.柄頭は臍より拳一つ位空ける.肘や肩を楽に
2. 上段:上から切り下ろす.
コツ:上方向の斬撃に移る時は上段を通ると意識しよう
コツ:左手は額の前.左腕全体で刀の重みを支える( 脇を締める )
右手は軽く脇を緩めて楽に持つ
注意:振り下ろすときは後ろに振りかぶらない
← 構えた時点でテイクバックし終わっている
3. 下段:下半身を守る.相手の斬撃をよけつつスキを作らない構え
コツ:刀身は自然に斜めになる( 刃が外に )
注意:体位に合わせて地面を叩かないよう角度を調整
4. 八相:そこからの変化が多い構え.そしてカッコいい
コツ:鍔は自分の耳の高さ.刀身は鉛直に.基本はスッと立つ
ここからどの動きにも移れるよう力を抜く
5. 脇構え:切先を後ろに向け,相手から刀を隠す.基本は水平.
コツ:横や下からの斬撃に移る時にはいったん脇構えを通る
コツ:構える際には縦方向の半円を描いて腰につける.
刀身は水平.相手から刀が見えないようにする
6. その他:霞(カスミ)は突きの直前の構え.切先を前に向けて刀を横にする.
腰だめにした低い霞や,肩の高さで構える高い霞がある.
※本来霞とは頭の蟀谷(こめかみ)のこと
●斬撃九種
斬り下し/斬り上げ/右袈裟/左袈裟/右逆袈裟/左逆袈裟/薙ぎ/逆薙ぎ/突き
1. 斬り下し:「真っ向斬り」とも.上段で頭から股まで真正面に切る.すべての斬撃の基本
コツ:膝を使う.斬り終わりはしっかり下まで
2. 斬り上げ:真っ向の逆.敵の股から頭頂に向かって切る
※実際の殺陣での斬り上げは正面ではなく体の横で振る
コツ:垂直に刃筋を意識する
3. 右袈裟斬り:相手の右首を狙うのが右袈裟.こちらからは 左斜上からの袈裟斬り
コツ:柄頭を持つ左手を効果的に使い,後半で切っ先のスピードを上げる
4. 左袈裟斬り:右袈裟の反対.通常の持ち手ならこちらのほうが力が乗る
コツ:最後は切っ先をピタッと止める
5. 右逆袈裟斬り:相手の 右脇下から 左首に抜ける逆袈裟
コツ:腕だけでは力が入らない斬撃. → 足さばきと体軸を使う
6. 左逆袈裟斬り:5.の反対
コツ:こちらの方が斬りやすいが腕に頼りやすいので注意
7. 薙ぎ:胴切りとも.右から左の胴切り
コツ:脇構えをしっかりする.斬り終わりが行き過ぎない
斬る時は水平でフィニッシュが少し上向きだとカッコいい
※殺陣では大きく薙る → 追っ払い,相手に当たらない胴切り → 抜き胴 がある
8. 逆薙ぎ:左から右の胴切り
コツ:同上.こちらのほうが絵になる
9. 突き:(突きにも左右がある)
コツ:霞の構えでしっかり腰だめにする.突きの後半で加速する
刃の向きによって名前がある:
刃が外向き → 平突き:これが普通
上向き → 逆突き
下向き → 正突き
以上.
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2022/12/18