金星の彼方へ 台湾若手女性写真家3人展
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アジアンフォトグラフィー第5弾
金星の彼方へ 台湾若手女性写真家3人展
TOWARD THE WORLD OF VENUS EXHIBITION OF 3 WOMEN PHOTO ARTISTS FROM TAIWAN
会期:2006.1.16 月 - 2.9 木
時間:12:00p.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料
ガーディアン・ガーデンでは、2006年1月16日(月)から、アジアンフォトグラフィー第5弾「金星の彼方へ:台湾若手女性写真家3人展」を開催いたします。本展は、第1弾(’94年)韓国、第2弾(’96年)台湾、第3弾(’03年)韓国、第4弾(’04)中国に続く、第5弾として、今度は女性を切り口に開催するものです。
このシリーズは、欧米の写真家に比べ、取り上げられる機会が少ない、近隣アジア諸国の注目されている若手写真家を紹介しています。今回は、台湾のキュレイター呉嘉寶(ウー・ジャバオ)氏にご協力いただき、台湾の若手女性写真家3人の作品を展示いたします。
90年代、日本では、それまでの写真表現とは大きく異なる若手の女性写真が注目を集めました。テクニックやコンセプトを超えて、自らのありのままの日常を感性で写したスナップショットは、同世代の女性たちの共感を得て、さらに大きなムーブメントとなっていきました。現代の台湾では女性写真家はまだまだ多くないようですが、若手の中からは、単純にフェミニズムを追究するものではなく、自分自身の精神と身体を探る、力強い作品が生まれてきています。今回は、そんな20〜30代の3人の作品をご覧いただきます。
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郭慧禪 Kuo,Hui-Chan
『By Niki』
“By Niki” (カラー作品)蝶と造花の花々で埋め尽くされる異空間で、写真は本物も偽物も等価に写し出す。セルフポートレイトのように作者自らがその空間の中におさまる4枚のイメージ。エゴで固められるモダン・アーティストの自我に等しいはずの身体を、なぜか理性では把握しきれずに、なすすべもなく日々は過ぎてゆく。喜びも悲しみも際限なく広がる未知なる世界、そんな理解不可能な身体に対する憧れと不安を隠喩した作品。
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林珮熏 Lin,Pei-hsun
『走出時間之流』
“Into the Timeless Light” (モノクロ作品)
これまでも作品を通して生命について表現してきた。時間に蝕まれながらも、時間というスケールをはるかに越えてゆく、女性である自分自身の内面にある豊かさと、限りなく広がる世界。このシリーズでは、この作品制作を通じて、女性というジェンダーをもつ生命と身体、そしてその身体が依存する時間と空間の境界を遊走する作品。
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林芳宇 Lin,Fang-yu
『蠶食(蚕食)』
“Engulfed” (モノクロ作品)
演劇と写真を学ぶ彼女が、名前さえ知らない日本人の父を持つが故に鬱病になり、治療のためにこのシリーズを撮った。カメラと出来上がった映像を通して、自分自身の深層に入り込み、心が蝕まれていく様を忠実に写したいと思っている。魂の奥底から湧き出る自分に対する嫌悪感の根源は、父に棄てられたという家庭的な問題によるものなのか、家父長支配社会の下にある女性というジェンダーによるものなのか、未知なる自分自身を限りなく探してゆこうとする作品。
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展覧会によせて
郭慧禪(Kuo Huichan)の「By Niki」、林珮熏(Lin Peihsun)の「走出時間之流」、そして林芳宇(Lin Fangyu)の「蠶食(蚕食)」、この三人の作品は、従来のフェミニズムのプロトタイプである男性社会に対する不満と反発をテーマにした作品とは明らかに異なります。三人とも、男性を見て、そして見られることを意識して、そこにあるギャップを指摘するばかりではなく、ジェンダー問題をよそに、“女性のからだ”というインデックスをもつ肉体と、奥行きの測りきれない心という精神世界を描き出そうとする女性たちです。自分自身の身体を限りなく深く探りながらも、身体がいかに彼女たちにとっても未知で神秘的な世界であるかを、描き出しています。特に、林芳宇(LinFangyu)の作品は、先の二人と違って、本来は健康でみずみずしくあるはずの自分自身の体と魂が、名前さえも知らない日本人の父を持つが故に鬱病になり、病魔に蚕食されてゆく姿を描いています。
呉嘉寶(WU Jiabao 台湾・キュレーター)
1948年台湾生まれ。’76年日本大学芸術学部写真学科卒業。’87年台北視丘撮影芸術学院、’89年中華撮影教育学会を創立。現在、台湾中国文化大学情報伝達学科専任講師、中国瀋陽魯迅美術学院、大連医科大学影像芸術学院客員教授。’04、’05年中国平遥国際写真フェスティバル総監督を務める。台湾、香港、中国の写真作家を世界に紹介するべく写真展、学術シンポジウム等の活動を数多く手掛けている。
展覧会パンフレット
1,000円(税込み)
A4判 40ページ 中国語訳・英訳付き
*販売は終了しました
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主催
ガーディアン・ガーデン
企画協力
呉嘉寶(台湾・キュレーター)
スライド&トークショー
本展出品作家のスライドショーを含め、台湾の写真界の動向を呉嘉寶氏と出品者にお話いただきます。
日時:2006年1月26日(木) 6:30p.m.-8:00p.m.
出演:
呉嘉寶(台湾・キュレーター)
郭慧禪(台湾・写真家)
林芳宇(台湾・写真家)
川内倫子(日本・写真家)
藤岡亜弥(日本・写真家)