第23回写真「1_WALL」審査会レポート
公開最終審査会レポート
2021.6.3 木
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6月3日(木)、第23回目の写真「1_WALL」公開最終審査会が行われました。
「1_WALL」は、一次審査、二次審査を通過したファイナリストが個展開催の権利をかけてプレゼンテーションを行い、その場で審議が行われるコンペティションです。数時間後にはグランプリが決まり、グランプリ受賞者には個展制作費として30万円が贈られます。
当日はファイナリストと審査員のみ会場に集い、その様子をライブ配信しました。
本レポートでは、当日の審査会の様子を、ポイントを絞ってお伝えします。最後には、ファイナリスト一人ひとりの感想や、応募者へ向けたメッセージもご紹介しています。「1_WALL」に応募しようと考えている方には、ヒントになる言葉もあるかもしれません。ぜひ最後までお楽しみください。
FINALISTS
※プレゼンテーション順・敬称略
JUDGES
小原真史 / Masashi Kohara(キュレーター/映像作家)
高橋朗 / Sayaka Takahashi]PGIギャラリーディレクター)
津田直 / Nao Tsuda(写真家)
※五十音順・敬称略
審査会当日、5名のファイナリストがガーディアン・ガーデンに集まりました。そして、審査員による作品チェックが行われ、いよいよ審査会がスタートしました。
プレゼンテーション&質疑応答
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木原千裕「Circuit」
セクシャルマイノリティであることから、僧侶である恋人のお寺から拒絶された。それがきっかけでお寺や宗教にネガティブな感情を抱くが、良い方向に持っていくことはできないかと考え、仏教やヒンドゥー教などさまざまな宗教の聖地であるチベットのカイラス山を巡礼し、作品作りをスタートした。今回展示した作品は、仏教の須弥山や自分にとっての壁を表現していて、仏教の縁起思想をもとにまとめたもの。真ん中に空間を作ったのは、鑑賞者が入り込む余地を作りたかったから。作品の前に鑑賞者が立つことで、作品は初めて完成すると考えている。さらにこの真ん中の空間は、世界に差し込む光のようなもので、希望の光でもある。個展では巡礼路となるような空間を作り、ロードムービー的な要素も取り入れたい。
Q.野口:今回展示した写真は、どのような基準で選んだもの?写真を全て同じサイズにしたのは、なぜ?
A.木原:お寺の風景、チベットの風景、自分の生活圏内である福岡の風景、これら3つの場面の写真を選んだ。サイズについては、大小つけてしまうとどうしても意味が生まれてきてしまうため、全て同じサイズに。全ての写真を同じ価値のものに見せたいと思った。
Q.田中:作品を作り始める前と後では、何か違いはある?
A.木原:今回の作品を作り始める前は、お寺の風景とチベットの風景、2つの場面のみでポートフォリオをまとめていた。しかし、作品作りを始めた際に仏教の縁起について考え、自分の身近にある風景も入れようという思いに至った。
Q.小原:展示において巡礼路を表現するのであれば、今回のようなかたちではなく、曲線的、もしくは円形に飾るなどもできたのでは?
A.木原:円形で展示することも考えたが、しっくりこなかった。最終的に「1_WALL」のコンセプトである壁、作品作りの発端となった自分の中の壁、そのような壁を作りたいという思いが大きくなり、このように壁や山をイメージした展示の仕方に落ち着いた。
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香取声「あの頃、タカシの車で」
この作品は、パンデミックにおける県をまたぐ自粛要請から着想し、県境をテーマに制作したもの。僕の地元は、「神奈川県町田市」と揶揄されることの多い東京都町田市。県境を初めて意識させられたのは、あの頃、タカシの車に乗っていた時だった。幼少期にサッカーの試合に向かうためチームメイトのタカシの車によく乗せてもらっていたのだが、県境沿いの道だったため、カーナビがよく「東京都、神奈川県、東京都、神奈川県に入りました」と暴れていた記憶がある。今回それを再現したくて、町田の県境を約70km歩き、記録するというパフォーマンスを行った。映像はその様子を映したもので、左側が神奈川県、右側が東京都。鑑賞者には、その違いは何か、そもそも県境とは何かを考えてもらえたら。個展では、日本のシルクロードと呼ばれた道をモチーフにし、県境を掘り下げたい。
Q.高橋:写真のセレクトの意図と、サイズの大小をつけている意図は?
A.香取:セレクトについては、幼少期の記憶にある道を映した、真ん中にある大きなサイズの写真を中心に選ぶようにした。大小については、クローズアップした写真や引きの写真は同じ大きさにするものではないと考え、県境を歩いた時の風景を表現するために大小の違いをつけた。
Q.田中:今回のパンデミックと幼少期の記憶を結びつけ、県境というテーマで制作したとのことだが、今後も境界、境目というテーマでの制作は続けていく?
A.香取:境界をメインのテーマにしたのは今回が初めてだが、何を制作しても境界や境目について考えている。それは、自分がハーフであることなどが関係しているのかも。今後も、制作において境界や境目に自ずと関わるような作品作りをしていくだろう。
Q.津田:これらの写真を撮り始めた時、何かのかたちで発表するということは決めていた?
A.香取:発表の方法までは決めていなかったが、ものを作る以上、発表は何らかのかたちでするだろうとは考えていた。
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曾迪生「Distant echo」
タイトルの「Distant echo」とは、「遠い響き」という意味。今回は、家や故郷をテーマに作品を制作した。私は長い間一人暮らしをしていて、生まれ育った中国の家や故郷への印象は時に近く、時に遠い。だんだんと故郷や実家への感情は薄れていく。あの頃の感情を取り戻したい、そんな気持ちから写真を撮るようにしている。写真を通じて、家に対する漠然とした印象と現実に再び目を向けた風景を表現した。個展では、今年の8月に取り壊されることになっている故郷の家を撮影した写真を展示し、家という物体がなくなることで僕の家への感情がどう変化するのかを探りたい。また、写真と会場の空間を組み合わせることで、故郷の家を再現できたらと考えている。
Q.小原:右側に展示されている、植物の写真を囲っているものは何を表現しているのですか?
A.曾:春節の時期に、中国の家で玄関に飾られる正月飾り。家を表現したかったので、飾った。個展でも飾りたいと考えている。
Q.野口:正月飾りに書かれている言葉の意味は?
A.曾:「今年はいいことが訪れます」というような意味。
Q.高橋:一点一点良い写真だが、どんなところを撮ろうと思った?
A.曾:小さい頃に、特に印象的だった場所やものを中心に撮影した。
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佐久間靖浩「白い流路に立っていて」
僕は1991年、バブル崩壊後の日本に生まれ、同じ世代に育った若者の不安定さや心の揺らぎに強い共感を覚えていた。2017年から引っ越し先の神奈川県郊外の街で、すれ違った若者に声をかけ、ポートレートを撮り始める。東京へと向かう時、電車から多摩川をよく眺めていたのだが、ある日、川は見るたびに表情を変えることに気づき、その移ろいゆく変化に、若者を見続けることと同じ魅力を感じ始めた。同じ人物を撮っても、毎回そこから感じるものは異なり、繰り返し撮ることで命の揺らぎを撮ることができると思っている。最初の1年は撮影者である僕の存在を消していたが、僕自身も移ろいゆく流れの一部であると気づき、それからはその時々の自分の感覚を取り入れ、撮影方法も変化していった。個展では、撮影してきた人に再び会いに行き、その時々の僕の感覚で撮影した写真を加え、展示をしたい。
Q.高橋:人物のバリエーションを増やすよりも、同じ人物を何度も撮り続けていくことの方が大事だと考えている?
A.佐久間:たくさんの人を撮るよりも、同じ人を撮り続け、更新していく方が大事だと考えている。
Q.田中:この作品の完結のタイミングは?
A.佐久間:今のところ完結のタイミングは考えておらず、この先もこの作品と向き合っていきたい。だが、今回の展示作品は今の段階で展示できるものをと思い、一区切りつけて展示した。
Q.津田:多摩川に何度も足を運んでいると思うが、例えば多摩川の全体のラインを描けるほど、多摩川を熟知している?
A.佐久間:実際に描いてみないとわからないが、だいたいのラインであれば描けそうな気がする。それくらい、たくさん歩いている。
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谷川愛実「石を綯う」
私の地元である群馬の神社の裏手にある石が、2万4千年前の浅間山山体崩壊の泥流によって流れ着いたものである、という新聞記事を見て、実際に見に行ったことが作品作りのきっかけ。そこは竜宮伝説のある場所で、石の大きさや気配に圧倒され、本当に竜宮城があったのではないかと思えた。70km離れている浅間山から石が流れ着いた事実の方が、嘘のように思えたくらいだ。それをきっかけに、泥流で流れた石や伝説のある石を撮影し始めるように。偶然が重なり、日常の風景がおとぎ話のように感じられる時があった。今回の展示作品も、人やとんぼが映り込んでいたり、本物のように見えて偽物だったり、意識をすることで気づくものがある作品。個展では、多様な視点を取り入れ、伝説を掘り下げる作品を制作して展示したい。
Q.津田:撮影をする場所の選び方と、その場所で撮りたいと思う基準やきっかけは?
A.長谷川:場所は、泥流が流れてきたその周辺を選んだ。撮りたいなと思う基準というか、瞬間は、自分なりに何か新しい発見をした時。
Q.小原:何かを発見した時に撮影すると言っていたが、発見とは例えばどんなものですか?
A.長谷川:石を見に行ったら、真ん中に小さなとんぼがいることに気づいた時、後ろで子どもがキャッチボールをしていることに気づいた時など。
Q.田中:展示された作品を見ると、かなり深いところにあるものや、額縁をつけて覗くように見る写真が多い。その意図は?
A.長谷川:意識して見ることで初めて発見することができる写真にしたかったので、奥まった印象や、あえて見にくい場所に配置して、鑑賞者に覗き込ませるような作品にしたかった。
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講評&審議
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木原千裕「Circuit」について
小原「性の問題、宗教の問題など、さまざまなところに広がっていくところが良い。チベットまで行く行動力もある。だが、作品内容と展示方法が合っていないので、個展の場合はどうなるのか気になる」
高橋「今回の展示作品は、展示方法にこだわりすぎている印象。今回展示していない作品の中に良い写真がいっぱいあったのに、それを本人はわかっていないのでは?」
津田「展示方法が、引っかかっている。全てのものは関わりの中で存在していることを伝えるのは大事だと思うが、展示方法にこだわってしまったことで、何か大切なものが弱くなってしまった印象だ」
野口「ポートフォリオはとても良かったのに、展示は小さくまとまった感じがする。一点一点の写真の良さを生かした展示をしてもらいたい」
田中「展示作品は、2次審査の時と印象が異なった。どんな展示でも、必ずその会場なりの規定がある。規定をいいわけにせず、展示をしてほしい」
香取声「あの頃、タカシの車で」について
高橋「写真のセレクトは、もう少し良くできたはず。私の主観ではあるが、良い作品が抜け落ちてしまっている印象。それが個展でどのように出されるのかが気になる」
小原「ポートフォリオを見た時、彼の幼少期やタカシくんに関係ない僕らをぐいぐい引っ張っていくような魅力を感じた。それに対して展示作品は、大人しくなってしまっている印象。考え過ぎてしまったのかも。もっと自分が持っている大胆さを信じてもいいのでは」
野口「展示を見て、映像と写真の関係が良いなと思った。パフォーマンスという言葉を聞いて、自分のやっていることが良くわかっていると思ったし、新しい可能性も感じた。ただし、展示自体はもう少し。写真も、もっと良い作品があったのでは?」
津田「パンデミックや境界線というキーワードに頼り切ってしまっている。パンデミックの状況を離れた時にどうなるか? そこをしっかりと考えられれば、コンセプトもしっかりとしていて、可能性もある。とても良いものをもっているので、展開次第だ」
田中「プレゼンを聞いて、彼の人間性、ゆるやかに自身に取り込んでいく素直さ、精神力を感じ、評価している。自身の人間性なども含めて主張をしていく作家。可能性はありそうだ」
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曾迪生「Distant echo」について
小原「左側の写真の感じはとてもいいが、最後に強すぎるもの(春節の飾り)を足してきたなと。繊細な写真と展示内容が合っていない印象だ」
高橋「写真の一点一点は、とても繊細なイメージ。ちょっとしたことでバランスが崩れてしまう危うさを感じる」
野口「一点一点の写真が、とても良い。言葉はどうしても強いので、春節のかざりが写真の周りにあるとそちらに目が行ってしまう。オリジナリティーがあると言えばそうだが、彼が本当にみせたいものが見えにくくなってしまっている」
津田「展示の仕方にびっくりし、少し混乱した。ポートフォリオで聞こえていたものが、聞こえなくなってしまった印象。繊細なものを繊細に扱う。そうして彼の作品は、成り立っていたはず。これまでの流れを考えると、展示には疑問を感じてしまう」
田中「プレゼンを聞かずとも、一枚一枚の写真から感じる繊細な気配、写真そのものが持つ言葉、それが素晴らしいと思っていた。展示として見せる時、どうやって見せるのが良いのか、もう一度考えてみてもいいのかもしれない」
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佐久間靖浩「白い流路に立っていて」について
野口「彼自身が作品を消化し、何をやろうとしているのかをよくわかっている。そういう意味で、完成度の高い作品。ただ、ポートフォリオの方が印象が強い。苦手なもの、自分がコントロールできないものに挑戦してみてほしい。そうすれば、新しい世界が広がるのでは?」
小原「プリント、展示方法、コンセプト、質疑への受け答え、すべてちゃんとしている。それが良くもあり、物足りなくもある。バランスがいいが、もう少し押しの強さや勢いがほしい、と感じてしまう」
高橋「すきのない印象を受ける。ここまで作品を作ってきて、彼自身も何かわからないものがあるはず。そこに挑戦できたら、突破口になるのでは?」
津田「自分の作品と向き合っているし、しっかりと作品を作ることができる素質がある。しかし、自分のスケールでは追いきれないところに焦点を当てた時に、彼にしか作ることのできない作品作りが生まれるはず」
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長谷川愛実「石を綯う」について
高橋「写真の力を信じて、なるべくテキストを使わずに写真だけで見せたいという気持ちもわかるが、言葉で補うことを恐れないでほしい。写真もある意味捏造感のあるものなので、同じくらい捏造感のあるテキストを一緒に展示してもいいのかも」
野口「ポートフォリオの時より良くなって、展示は頑張ったなと。小さな物語をみつける才能、彼女の地味とも言える作業がとても良い。展示することで作品が広がりを見せていると思う」
小原「過去に起こった歴史的な出来事や泥流に本当に関心があるのか、よくわからなかった。それが面白くもあり、物足りなさを感じる原因にも」
津田「フィクションなのか、ノンフィクションなのかわからない。泥流にあまり結びついていない作品なので、おとぎ話の路線で行った方が良いのかも。今のままでは、作品作りのきっかけは見えるが、今後の展開が見えない」
田中「よりどころを探すのに混乱してしまった作品。本人自身がどこを目指しているのかわからないから、わからない作品になってしまったのか。本人の良さを自覚しながら、今後どう積みあげていくのかを考えてもらえたら」
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審査員による講評タイムが、ここで終了。今回もさまざまな意見が飛び交い、白熱した時間となりました。
そして、いよいよ投票タイムへ。審査員の方には、グランプリ候補に挙げたいと思ったファイナリスト2名を選んでいただきました。
1回目の投票結果
小原:木原、佐久間
高橋:木原、佐久間
田中:香取、曾
津田:香取、佐久間
野口:木原、香取
票を集計すると、木原3票/佐久間3票/香取3票/曾1票という結果になりました。
なんと、3名が同率1位に! そこで、2回目の投票は同率1位となった3名のファイナリストで行うことになりました。
まずは、次の投票を行う前に、票を入れたファイナリストの作品に対して、それぞれ評価するポイントを改めて一言ずつ語っていただきました。
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木原千裕「Circuit」について
小原「構成によってはもっと遠くまで届く潜在能力があるので、選んだ。今は、作品の良さを生かし切れていない」
高橋「今回は規定にしばられて展示を行ったようだが、この会場を一人で使うことになったらまた違う気がする」
野口「自分の意志がしっかりとある。それは、作品を作ることにおいてとても大切。今回展示した写真以外にも良い写真がたくさんあったと思うので、個展で見てみたい」
香取声「あの頃、タカシの車で」について
田中「他の二人は写真集になるイメージが湧くが、彼の作品はイメージが湧かず、個性的な作品。展示を見てみたい」
野口「タイトルが良い。映像と写真のつじつまが合わない気もするが、そこも合わせてしまうような、力技をちゃんと持っている。期待の意味を込めて」
津田「今回のファイナリストの中で、一番わからない要素を持っている。わからないけれど、彼は動き出している」
佐久間靖浩「白い流路に立っていて」について
小原「完成度が高く、個展も失敗しないだろう、と想像できるが、ある程度先が見えてしまうのが、少し物足りない」
いよいよ、2回目の投票へ。
1回目に票が多かった木原さん、香取さん、佐久間さんから1人を選ぶことになりました。
2回目の投票結果
木原 3票
香取 2票
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最後まで票が分かれたものの、3票を獲得しグランプリに輝いたのは、木原さんでした。
最後の最後まで結果が見えない審査会でしたが、木原さんのグランプリが決定し、幕を閉じました。
木原さんの個展は、1年後にガーディアン・ガーデンで開催する予定です。ぜひ、お楽しみに!
FINALISTSインタビュー
木原千裕さん(グランプリ決定!)
「審査員の方から厳しい意見もあったので、まさか!、という感想です。この作品を作るきっかけになったお寺での出来事から、七年。ようやく自分なりの表明をすることができたなと感じているし、表現のかたちとして写真というものがあって良かったなと。今回のグループ展も5名のファイナリストが集まって完成した二度とない空間。やはり、全てはつながっているんだなと感じています。個展のハードルは高くなったし、今は怖いと感じる気持ちもありますが、自分自身が納得できるものを作ることができるよう、頑張ります」
香取声さん
「審査会はとても楽しかったです。東京という場所で展示して人に見てもらいたい、という気持ちがあったので、グループ展でそれを達成することができて良かったです。ファイナリストの他の4名の作品はどれも素晴らしく、一緒に展示をすることで、自分の作品の見え方も変わっていった気がします。これからも作品を作り続け、展示というかたちで発表していきたいです」
曾迪生さん
「今回『1_WALL』に応募しようと思ったきっかけは、友人に教えてもらったから。最終的にグループ展をして、他のファイナリストの方からたくさん刺激を受け、審査会を通じてたくさん勉強することができました。この審査会の面白さは、普段話すことのできない審査員の方から意見やアドバイスをもらうことができ、交流できること。応募を迷っている方がいるなら、ぜひ応募してそれを味わってほしいです。僕も、作品が完成したら、またチャレンジしたいですね」
佐久間靖浩さん
「『1_WALL』に応募したのは、これが2回目。前回は審査員奨励賞をいただきましたが、2回目にしてファイナリストになることができました。今回の審査会では、普段言われたことがないことを言われ、新しい気づきをもらいました。写真は孤独な作業ではありますが、人と関わり合うことで生まれていくもの。応募を迷っている方は、自分の現実や感情としっかりと向き合い、それを作品に生かして発表してみてください。僕も、自分自身と向き合い、今後も写真を撮り続けていこうと思います」
長谷川愛実さん
「プレゼン、審議、投票と、最後までとても緊張した審査会でした。以前は仕事が忙しくなかなか挑戦できなかったのですが、転職のタイミングで挑戦し、ファイナリストになることができました。展示はあまりしたことがなかったので、とても良い経験になったと思います。応募してからは、一次審査、二次審査を経て、グループ展の準備をして、大変ではありましたが、楽しかった。応募して良かったなと思うので、作品作りをしている方は、まずは応募してみてください! 私自身もまたチャレンジできたらと思っています」
第23回写真「1_WALL」グランプリ受賞者個展