第23回グラフィック「1_WALL」審査会レポート
公開最終審査会レポート
2021.4.22 木
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4月22日(木)、第23回グラフィック「1_WALL」公開最終審査会を行われました。
「1_WALL」は、1次審査、2次審査を通過したファイナリストが個展開催の権利をかけてプレゼンテーションを行い、その場で審議が行われ、グランプリが決まるコンペティション。グランプリ受賞者には、個展制作費として30万円が贈られることになっています。
当日はファイナリストと審査員のみで開催され、その様子をライブ配信しました。本レポートでは、公開最終審査会の様子を、ポイントを絞ってお伝えします。最後には、ファイナリストの感想や、応募者へ向けたメッセージもご紹介していますので、「1_WALL」に応募してみたいと考えている方はぜひ、最後までお楽しみください。
FINALISTS
※プレゼンテーション順・敬称略
JUDGES
長崎訓子 / Kuniko Nagasaki(イラストレーター)
室賀清徳 / Kiyonori Muroga(編集者)
※五十音順・敬称略
審査会当日、応募者の中から選ばれた5名のファイナリストが、ガーディアン・ガーデンに集まりました。そして、審査員による作品チェックが行われ、いよいよ審査会がスタートしました。
プレゼンテーション&質疑応答
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芹「惑星七草」
新天地。回遊に飽きて、イメージの線に生まれた彼らは見た、この国を知る人を探している。ここにあるのは、浮遊する普遍的な要素を用いた混沌を信条とするコラージュであり、並行に存在する惑星の気配を漂わせている。遊び好きで、身振り的で、機知に溢れるこの空間は「僕の一気通貫したルールによって、無拘束性に満ちたいつかの特定部分と連絡をつけよう」としたのである。しばしば退屈で気怠いこの世界の造形価値を捨て、この惑星と自身の探究の旅へ出る。錆び付いた杭を打ち、植えた場所に戻りはしない。ここには格好もラウンジもないのだから。
※事情により本人の出席が間に合わず、プレセンテーションのみ代理の方が行いました。
Q.上西:制作物を通じて、鑑賞者と非言語のコミュニケーションをとりたいと思っている? それとも、これらに意味はなくライブインスタレーションのようなもの?
A.芹:基本的には何物でもないものを作っているが、それらは必ず自分の中から吐き出したもの。実態のあるものにし、それを知っている人を探しだすための行為が、作品作りだと感じている。なので、作品を通じてコミュニケーションをとりたい、という気持ちはある。
Q.室賀:歴史的な文脈に対する考えや、自分なりの距離感みたいなものはある?
A.芹:もののあるべき姿、という文脈もあるが、あくまで僕の場合は、自分が気持ちいいと感じるものを作り出すこと。それがこれまでの文脈との違いであり、差別化している部分であると思っている。
Q.服部:ポートフォリオを見ると、過去にはスケールの大きな作品も作っている。今回はわりと規模を抑えて作られているが、その狙いは?
A.芹:ある種のライブ感を持って、制作を行っていて、大きな狙いがあるわけではない。会場に来た時に、ここは大きい作品ではないなと直感したため、今回のサイズ感になった。
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八木恵梨「LIFE, SAVE, AH~」
妄想に執着している自分の思考を絵という形式で記録し、他者と共有するために制作を行っている。今回の作品は2018年から制作しているシリーズで、絵と音声解説から成り立っている。自分が泥酔した時に見た幻の男性にライフセーバーという名前をつけ、彼についての妄想をもとに展開してきた。配信というかたちで音声をつけたのは、他人の妄想という取りつく島もないものに気軽にアクセスしてほしかったから。内容は、妄想の背景や物語に影響を与えた出来事について。個展ではより大きく複雑な絵を描き、その大きな絵の中のパーツのような絵もたくさん展示し、それらにも解説を付けようと考えている。
Q.室賀:パーツとは? サイズの小さな作品のこと?
A.八木:はい。アクセサリーに喩えるとチャームのようなもので、それらが複雑に重なって凝縮させたものが、大きなサイズの作品。
Q.服部:音声解説をつけたということは、作品の背景にあるストーリーを知った上で作品を見てほしかった?
A.八木:絵では伝えきれない、こぼれ落ちた生々しさみたいなものを伝えたかった。絵だけでは100%相手とはわかりあえないし、説明しきれない。でも、音声のような取り組みを通じてもがくことも大切だと考えた。
Q.上西:考えを共有したい気持ちは絵に十分現れているのでは? ネタばらしするように全てを音声に入れているが、絵だけに集約することはできなかった?
A.八木:言葉で伝えたいこと、絵からとりこぼしてしまったものを音声で伝えることで、絵をより多角的に見てもらえるのではと考えた。また、自分の声が特徴的であることと、父が音響エンジニアであることも影響していて、実験的に挑戦してみた部分も。
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石川晶子「ネオ陶芸」
普段から、刺繍と昇華転写プリントを掛け合わせた技法を使って制作している。ものすごく手間をかけて作るが、最終的に自分の手を離れ、どんな作品になるのかわからないところが陶芸と近いのではと感じ、制作を始めた。最初は、陶芸はきっかけの一つであったが、作品のモチーフにも陶芸作品を取り入れるようになり、この作品を通じて新しい陶芸体験を表現しようと試みた。個展では実際に陶芸をやってみたいと思っている。また、陶芸の産地へ実際に足を運ぶことで、より発展させた作品を制作できるのではと考えている。
Q.服部:陶芸は表現のきっかけの一つであって、3Dのものを2Dにするところに一番こだわりを持っていると思っていた。それよりも、陶芸が大事なキーワード?
A.石川:柔らかい布をわざわざプレスして固くして、何をやっているんだろう、と自問自答しながら制作し、たどり着いたのが陶芸。なので、私にとって陶芸はこの技法を見つめ直すための大切なキーワードになっている。
Q.田中:自分の手でコントロールできないところが面白さと感じている? それとも、コントロールしにくい中で、いかにコントロールするかというところに面白さを感じている?
A.石川:制作する時は毎回、こんな風になってほしいという思いがあるが、そうならないのが現実。結局は、そういったコントロールできない面白さを利用している気がする。
Q.長崎:作品は四角い画面に納まっているものが多い。四角にこだわりがある?
A.石川:布は垂らして展示すると、どうしても柔らかく、布らしさが出てしまう。それよりも陶芸作品に布を近づけたかったので、垂らさずに、板に貼り付けるという手法を採用した。
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平手「あなたは風穴」
この世に実在していない人と一緒に生きていきたい、という思いから制作している。実在しない人は普通の人とは別物ではあるが、同じくらい重さや質量があるもの。実在しない彼らを制作する時は、彼らがこの世界にどういう理由で存在しているのかを気にしていて、そのものが持つ構造や素材感が世界に対してどう影響するかではなく、それらの素材や構造が彼らの存在感の根源になると考えている。絵には絵の、布には布の、それぞれにしかない印象があり、それは彼らの人格形成にも影響すると考えているため、できるだけ多くの手法で制作した。個展では、楽器の機能を持った人、おもちゃとしての機能を持った人など、さまざまな種類の実在しない人を作ることができたら楽しいのでは、と考えている。
Q.上西:実在しない彼らと、実在性やドキュメンタリー性のある写真を一緒に展示することにどんな意図がある?
A.平手:実在している人と実在していない人、レイヤーを分けず展示することで、両者をごちゃ混ぜにすることが目的。自分が制作していない写真というものを介すことで、作品全体に風が通るのでは、と思っている。写真は、実在しない彼らを後押しするための存在でもある。
Q.室賀:実在しない彼らをものとして作り上げれば、平手さんの目的は果たせるような気がする。作品を作る上で鑑賞者への意識もある?
A.平手:実在しない彼らが私にとって誰かである前に、世界にとって人として認識されるように、という思いがあるので、展示をしたいと思った。
Q.長崎:布などの素材は、購入したもの?
A.平手:知人から譲り受けた布が自宅にあるので、基本的にはそれを使い、色を染めたりしている。個展をする場合にも、新しく購入するのではなく、着なくなった服などを利用して制作したいと考えている。
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堀田ゆうか「C」
以前から、キャラクターや表象に興味を持って制作してきた。その根底には、幼少期の記憶や経験が関係している。私は幼少期から、明るさ、つながり、友情、親しみなどのイメージを持つキャラクターに囲まれ過ごしてきたが、それらに違和感を感じていた。一方で、キャラクターを描くことで他者とのコミュニケーションをとることもあり、当時は葛藤とも呼べる感情を抱いていたことをよく覚えている。今回は、違和感や矛盾を孕んだキャラクターを描き、その構造を分解していくことで、淀みのないイメージを新たに形成できれば、と制作を行った。意味性やキャラクター性を奪われた存在を、まさに張りぼてのように板に貼り付けて展示している。
Q.長崎:ポートフォリオにはモノトーンの作品が多いが、今回の作品は色彩があるものが多い。これはなぜ?
A.堀田:普段は、線に集中したいのでモノトーンばかり。しかし今回は、キャラクターへの私の考えに立ち返った時、象徴的な明るさを内包させるためには、色彩が必要だと感じた。
Q.上西:モチーフとなっているキャラクターの種類は、どんなものが多い?
A.堀田:漫画やアニメなどさまざま。だが、子どもの頃、学校に馴染めなかったことがあり、その時に「みんなで仲良く」という標語と共に存在していた、偽善的な役目を背負わされているキャラクターが大きく影響しているような気がする。
Q.上西:目に重点を置いて描かれている作品が多い。その辺りは、意識している?
A.堀田:子どもの頃、いかにキャラクターの目をうまく描けるかというところに執着していたことがあり、目を上手に描ける人は一種の権威を持っていると感じていた。そのような経験から、目に重点を置いて描いている。
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講評&審議
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芹「惑星七草」について
室賀「彼の関心は、自分と他者の非言語的なやりとりにある。コンセプチュアルに見えて、実は表現を大切にしているようだ。代理人にプレゼンを代わってもらうところを含め、面白いと感じた」
上西「物づくりは非言語的なコミュニケーションである、という考えに共感した。それと同時に、それを言ってしまうとみんなそうなのでは、という思いも」
服部「その辺に転がっていそうなものを並べた、無愛想な感じの作品を予想していたが、実際の現物を見て、そうではなく、リリカルでポエティックなものを感じた。選んでいる素材や技法によって、本人の意図とは違って類型的に見られてしまうかもしれない」
長崎「最初は食えない感じがしたが、質問すると意外な答えが返ってきて、可愛らしいところがあるなと感じた。そういうところをうまくプレゼンでも組み込めるようになると、作品を見てもらえるチャンスが増えそう」
田中「タイトルの付け方から、実は、長崎さんの言う一種のかわいらしさを感じていた。見られ方を気にした結果、あのような作品になったのでは」
八木恵梨「LIFE, SAVE, AH~」について
田中「音声に対してネガティブな意見もあるかもしれないが、僕は成功している気がする。物語を聞くというよりはサウンドを聴く感じ。音と絵を合わせるという試みも面白い」
上西「絵では伝えきれない、こぼれ落ちたものを音に保存するという考え方が面白い。だが、絵と内容の雰囲気が合っているのかどうかが気になった」
室賀「70年代頭くらいのイラストレーション的な雰囲気があるが、これは、現代に生きる彼女が導き出したもの。もっと他にも見てみたい」
服部「絵の世界観はもちろん、どこからどこまでが本当なのか、嘘なのかがわからない物語作り、スカーフの図案のような様式を取り入れているところ含め、かなりユニーク。絵の技術的な部分にも感心した」
長崎「絵が素敵で、美しいなと感心した。わりと行き着くところまで行ってしまったような気もしていて、この先どうするんだろうという心配も。修得した表現方法をこの先どう使っていくのか、考えてみてもいいのかも」
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石川晶子「ネオ陶芸」について
室賀「技法が全て、というような考え方が潔い。そこが良くもあり、悪くもあるかもしれない。ポートフォリオの段階から大きく枠を超え、新しいことに挑戦していて、やりたい、という熱を感じることができた」
長崎「石川さんがやっている手芸と陶芸は、クラフト&クラフト。大きく分けると分野が同じで親和性があるものなので、意外な組み合わせではない。表現技法として陶芸を使うのはありだが、モチーフで使っても作品の飛躍はあまり望めないかもしれない」
上西「物としての魅力があり、どうなっているんだろう、と触りたくなる作品。陶器がまとまっている面白さもあるが、もしかしたら陶器でなくてもいいのかも。ポートフォリオにはビニールシートを使った作品もあったが、あれの方が飛躍する作品になるかもしれない」
服部「ポートフォリオ審査から一番飛躍していた人。ただ、陶芸は、とりあえず作品を作る上でのきっかけに過ぎないのでは? グラフィカルな面白さがあるが、この技法で何を目指しているのかいまいちわからず、それは本人も同じ気持ちのようだ」
田中「技法が作品の前面に出てしまうと、今後誰にでも真似できる技術になって作品自体も誰にでもできるものになってしまう可能性が。技法を超えて、その先に何かあればいいなと感じている」
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平手「あなたは風穴」について
室賀「平手さんの考え方含め、確かな手応えを感じられた作品。インスタレーションやパフォーマンスなど、言い方はいろいろあるかもしれないが、作っているものの熱量や説得力がある」
上西「心に素直で、自分自身をきちんと表現できている。本人は言及していなかったが、一つ一つじっくりと見ると、どれもがすごい技術を使っていて、それぞれが魅力のある作品だった」
服部「一見荒っぽいようで、一つ一つの作品にテクニック、表現力を感じた。周りに流されない、作家として揺るがないものがある。写真のことを、実在しない人を後押しするための役割と言っていたが、写真にもパワーがあって、写真だけの展示もありかもしれない、と思ってしまった」
長崎「彼女の思いがシンプルにかつ、ダイレクトに伝わってきて、気持ちよく鑑賞することができた。展示は初めてということだったので、展示方法についてもう少し考えてみてもいいかもしれない」
田中「ポートフォリオの段階から心を掴まれるものがあり、いいなと思っていた。誠実に作品作りをしていることが伝わってくる。実在しない人の肌の色を薄めにするなど、もう少しデザイン的に考えてみてもいいかも。そうしたとしても、作品の強さは変わらないし、もっと幅広い人に興味を持って観てもらえそうだ」
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堀田ゆうか「C」について
長崎「目を上手に描ける人は権威がある、という話をしていたが、私も昔そうだったので、すごく共感できた。キャラクターを作品として扱うことについて考えさせられた」
上西「魅力的で好きな作品。ただ、キャラクター作品という大きな枠にひとくくりにされてしまいがち。その問題をクリアできればいいなと。小さな作品も大きなものに負けていなくてパワーがある。家に飾りたいくらい」
室賀「キャラクターという、これまでも語られてきたものに対し、彼女はこれまでとは全然違う方向性で語っている。彼女なりのキャラクターの捉え方や解体の仕方を模索している最中なんだろう。そこを追求していけば、もっと面白くなりそうだ」
服部「キャラクターを世の中の文脈で捉えているのではなく、自分の経験を通した目で見ているところが、絵の説得力につながっている」
田中「僕はキャラクター作品というと身構えてしまうところがあるが、そういうハードルを乗り越えて来るような良さがある。子どもの頃の原体験が関係しているところも良いと思っていて、自覚的なところも良い。このまま突き進んでほしい」
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こうして、審査員による講評タイムが終了しました。今回もさまざまな意見が飛び交い、白熱した時間となりました。
そして、いよいよ投票タイムへ。審査員の方に、グランプリ候補に挙げたいと思ったファイナリスト2名を選んでいただきました。
1回目の投票結果
服部:八木、平手
上西:平手、堀田
長崎:八木、堀田
田中:八木、平手
室賀:八木、平手
票を集計すると、八木 4票/平手4票/堀田2票という結果になりました。
そこで、次の投票を行う前に、票を入れたファイナリストの作品に対して、審査員の方々にそれぞれ評価するポイントを改めて一言ずつ語っていただきました。
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堀田ゆうか「C」について
上西「会場に入って作品を見た時に、一番好きだと感じた。個展も見てみたい」
長崎「良い意味で不安定さがあり、伸び代を感じた。この後の展開に期待してみたい」
八木恵梨「LIFE, SAVE, AH~」について
田中「ユニークで、オリジナリティーを感じた。技術的な部分が絵の魅力に結びついている」
室賀「推理映画などのプロットや構造を作品に結びつけていて、それらの考えが面白い」
平手「あなたは風穴」について
室賀「審査員のみなさんの意見を聞いて、なるほどと、彼女の作品に納得した」
田中「個展で、楽器の機能を持った人を作ると言っていて、それは見てみたいなと」
応援コメントをいただき、2回目の投票へ。
1回目に票が入った八木さん、平手さん、堀田さんから1人を選ぶことになりました。
2回目の投票結果
八木 2票
平手 2票
堀田 1票
堀田さんが1票獲得し、八木さん、平手さんが2票ずつとまたしても同数の票を獲得しました。
そこで、最後は八木さん、平手さん二人からどちらか一人を選ぶ決選投票を行いました。
決選投票の結果
平手 3票
八木 2票
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最後まで票が分かれたものの、僅差でグランプリに輝いたのは、平手さんでした。最後の最後まで結果が見えない審査会でしたが、平手さんのグランプリが決定し、幕を閉じました。
平手さんの個展は、1年後にガーディアン・ガーデンで開催する予定です。みなさん、ぜひ、お楽しみに!
FINALISTSインタビュー
平手さん(グランプリ決定!)
「私にとっての愛する存在である実在しない彼らがギャラリーに飾られ、芸術作品として観られるかもしれない、というところに多少の不安はありましたが、勇気を出して応募しました。そうして今日、審査員の方から私の作品に対して意見や感想を言ってもらい、もう少し自分の作品を信じてみようという気になれました。ガーディアン・ガーデンの会場を出て地上に上がれば、そこには美術に関心がある人もそうでない人もいます。美術の文化を大切にしながらも、地上と地続きであるような作品作りをして、美術にあまり関心のない人にも見てもらえる個展にできたらと思っています」
芹さん
「前回2次審査選出まで行ったので、今回はリベンジする気持ちで応募しました。審査員からさまざまな鋭い意見を聞くことができ、同世代の作家たちと交流することができ、良かったなと感じています。今後応募したいと思っている方は、とにかく自分のやりたいことに素直になってください。作品作りに誠実であることが、結果につながると思います」
八木恵梨さん
「自粛期間中に何かやらなくちゃと思い、今回応募しました。グループ展をできたことで、たくさんの人の目に触れ、業界の第一線で活躍している審査員の方にアドバイスをしてもらい、とても有意義な時間になりました。今後も、審査員の方からのアドバイスや感想を自分にうまく取り込んで、成長していけたらと思います」
石川晶子さん
「このコンペは知名度が高いこともそうですが、審査員の方との距離が近く、実際に審査の様子を見られるというところに魅力を感じ、応募しました。実際に2次審査の段階から具体的なアドバイスをもらうことができ、グループ展の展示に生かすことができました。私にとっては大きな挑戦だったので、ここまで来ることができて本当に嬉しかったです」
堀田ゆうかさん
「このコンペには前から憧れていて、今回初めて応募しました。作品作りにおいてもやもやしていた部分を丁寧に指摘してもらい、すごく勉強になりました。審査員の方にいろいろと意見をいただき、その一つ一つが心に刺さりました。表現をしたい人はぜひ、応募してみてください。もやもやや悩みを抱えている方は特に、作品作りをする上でのターニングポイントになるはずです」
第23回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展