第22回グラフィック「1_WALL」審査会レポート
公開最終審査会レポート
2020.3.23 月
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3月23日(月)、第22回となるグラフィック「1_WALL」の公開最終審査会が開かれました。「1_WALL」は、1次審査、2次審査を通過した6名のファイナリストが個展開催の権利をかけてプレゼンテーションを行い、その場でグランプリが決まる、他にはないコンペティション。グランプリ受賞者には、個展制作費として30万円が贈られます。
今回は、新型コロナウイルス感染防止のため、一般見学者の会場参加はなく、オンラインで公開されました。
このレポートでは、第22回グラフィック「1_WALL」公開最終審査会の様子をたっぷりとお伝えします。
FINALISTS
※プレゼンテーション順・敬称略
JUDGES
都築潤 / Jun Tsuzuki(イラストレーター)
長崎訓子 / Kuniko Nagasaki(イラストレーター)
保坂健二朗 / Kenjiro Hosaka(東京国立近代美術館主任研究員)
※五十音順・敬称略
審査会当日、多数の応募者の中から選ばれた6名のファイナリストが、ガーディアン・ガーデンに集合しました。そして、審査員による作品チェックが行われます。今回は一般見学者の参加はなかったため、これまでとは異なり、こぢんまりとした雰囲気の中で、審査会がスタートしました
プレゼンテーション&質疑応答
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おおだいらまこ「美味しいドーナッツは誰のもの?」
普段、ホワイトキューブ以外の空間で展示を行うことが多いが、今回はホワイトキューブという空間に作品を飾るところに立ち返り、どんな作品を作ろうかと考えた。ホワイトキューブに作品を飾るということは、壁のための作品なのか、作品のための壁なのか。その疑問を解決するために作ったのが、この作品だ。作品と壁それぞれの条件を同じにするため、作品の材質を壁と同じようなもので制作。個展では、作品で空間を作るという試みをしてみたい。作品自体で空間を仕切ることによって、新しい感動体験を作ることができるのではないかと考えている。今は、そのための実験段階だ。
Q.菊地:レリーフや光、文字など、これまでの作品とは大分異なるアプローチに感じるが、これについてはどう思う?
A.おおだいら:そう見えるかもしれないが、自分ではアプローチの仕方を変えたと思っていない。今は額と絵に興味があり、このような作品を制作した。
Q.上西:作品と壁の条件を同じにしたと言っていたが、実際の作品は厚みがあり、物質感を感じる作品になっているようだ。これについては、どう思う?
A.おおだいら:壁のような作品を作ろうと思いこのような材質を使ったが、フレームをつけたおかげで壁のような感じがなくなってしまった。いっそのこと、壁一面を作品にしてしまえばよかったのかもしれない。
Q.都築:二次審査の時に「1_WALL」展では壁と絵画、装飾と絵画を探る活動をすると言っていたはずだが、なぜ違う方向に行ったの?
A.おおだいら:二次審査の時に出した案がベースにはなっているが、審査員の方から「ここから発展してほしい」という意見をもらったので、その意見を取り入れて制作した。
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小林喜一郎「年賀状だけの関係が終わる。」
布地や油彩用下地、チャコの線というような、覆い隠されてしまったり目立たない場所にあったりする、実用的すぎて注目されることのない素材を用いて、雄鶏の絵を制作した。モチーフについては、鑑賞者に判断を委ねたい。僕の制作のプロセスを言葉で表現すると、素材を扱うプロデューサーであると考えていて、実際に絵の制作には数時間ほどしかかかっていないが、考えるのに多くの時間を割いた。個展でも、普通は見過ごされるような、裏側になってしまうものを中心に展示したい。例えば、ものすごく大きなハンガーを会場に展示してみたいなどと考えている。
Q.都築:個展で“ものすごく大きなハンガー”を展示したいと言っていたが、これはどんな素材で作るの?
A.小林:布だけで大きなハンガーを作ろうと思う。実用的すぎて注目されないハンガーというものにスポットライトを当てたい。クオリティはしっかりと担保したものでありたい。
Q.長崎:ポートフォリオにある展示プランは、(ポートフォリオを作成する際に)活用したサービスに課金しなかったのであの状態(ガーディアン・ガーデンの扉が木製の扉になっていた)だったということだが、お金を使わないということも、実用的すぎて注目されないもの、というコンセプトに関係しているの?
A.小林:なんとなく選んだもの、ということで統一されている素材が多いが、4つあることで本来完結するものをあえて3つで終わらせているというところがあり、チャコの全4色のうち3色しか使わない、作品の一辺だけ縁がないなどもここから。実は鳥をモチーフに選んだのも、人間が感じられる光は3種類だけだが、鳥には4種類感じられるという理由から。
Q.保坂:言葉で補足してもらわないとコンセプトが伝わらない。鑑賞者には、そのコンセプトや考えを味わってほしくはない?
A.小林:作品に興味を持ってくれる人なら、こうしてあえて言葉にしなくても、ポートフォリオなどを見て何かに気づくはず。
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ちぇんしげ「《五円》なき衆生は度し難し」
人と人、人ともの、ものともの、それらにある不確定さや曖昧さ。それらを私は“縁”と呼んでいる。絵を描いたり、文章を書いたり、作ったものは作品というよりは、対象物との触れ合いによって生じた一つ一つの記録だと思っている。招き猫や流れ星、彗星などを信じる力。ブランドもののバッグを買うことはできないけれど、スーパーでもらったエコバックにブランドの名前を付け、信じることでブランドもののバッグだと感じることができるかもしれない。私はそう信じたいし、信じることで生まれるずれや余白といったようなものがこの社会を支えて、動かす原動力になっているのではないかと思う。個展では五円玉、鉛筆を持つ姿勢を正すゴムなどのモチーフで構成する予定だ。
Q.長崎:緑、白、紫、黒という限定された色で構成されているが、何かこだわりがあるの?
A.ちぇんしげ:緑は自分の体内にある色と考えていて、好き。ピンクも自分の外にある色として好きなので、今回はその延長線上にある紫も使った。紫はいやらしい色に思われるが、国によっては貴族の色。このように、両極端な見られ方がある色をあえて使っている。
Q.上西:招き猫や彗星など、祈りの象徴物をぐるぐる描き続けているようだ。“信じる”という行為についてどう考えているの?
A.ちぇんしげ:“信じる”という行為自体が素晴らしいと思っている。
Q.菊地:事実かどうかということが大事なのではなく、信じることで別の世界が立ち上がるということを伝えたい?
A.ちぇんしげ:はい。祈りの対象物を信じている人は信じているし、全く信じない人もいる。信じる人が信じない人に理由を説明しても一生わかりあえないので、真実かどうかは重要ではない。
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森ひなた「あつめる」
体や心が持っている力が溢れ出しているような絵を描いた。自分の体や視界から外れるようなものに対する憧れのような気持ちを持っていて、大きなもの、力を感じるもの、そういったものを見たときに感じる気持ちを表現できる絵を描けたらという思いで制作した。私が描きたいものは、表面は静かに見えるが、その奥底では何かがずっと動いている、熱の塊のようなもの。そんなものだ。個展では、限られた空間の中で、鑑賞者が風景を見るような感覚で見られる絵を展示したいと思っている。
Q.都築:“溢れ出るエネルギーを表現したい”ということと、個展で“鑑賞者が風景を見るような感覚”になれる展示を行いたいと言っていたが、その二つはどのように一緒に表現しようと考えているの?
A.森:大きい山を見た時に何か力を感じる、そんな気分になれる展示にしたい。あくまで自然のもの、生きているものだけを描く予定。生きものにしか出せないエネルギーがあると思っているので。
Q.保坂:真ん中の背景がピンクの絵だけ、両脇の二つの絵とイメージが異なる。これはなぜ?
A.森:この絵は、両脇の絵よりも前に描いた作品。枚数を重ねていくうちに紙を埋め尽くしたい欲が大きくなり、余白がなくなっていった。
Q.上西:3枚の絵はどれも毛で覆われた生きもののようなものが描かれているようだが、毛を描くことに思い入れやこだわりがあるの?
A.森:自分では、毛を描いたつもりはない。鉛筆の動かし方がそう見せるのかも。右の絵は、“火の神様”をイメージした作品。ただし、毛に見られることが嫌だというわけではない。
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水上雄太「PLANTS」
初めてパソコンで絵を描いた時に、どの線もどのかたちも同じ表情をしていたことに違和感を感じ、誰もが簡単に同じような絵を描くことができるということに、偶発性が奪われるのではないかという危機感を感じた。どうしたらその中で自分らしさを見つけられるかを模索したのが、この作品を作るきっかけに。イラストレーターで作成したかたちや線を分解し、再構成することでバグやノイズが出てくるが、それを表現として昇華しようと思っている。モチーフは、散歩時によく目にする植物。隙間のないところから出てくる気持ち悪いほどの生命力の強さは、自分の作っている作品と近しい存在なのではないか。
Q.長崎:紙のサイズが大きい松の木のようなものを描いた作品は、二次審査後に描いたと言っていたが、これまでの作品と印象が異なる。前回までの絵は平面的だが、新たに加わった作品は立体的。なぜ、前の作品に作風を寄せなかったの?
A.水上:自分では作風を変えたという思いは、あまりない。個展ではもっと大小が異なる絵を展示したいし、平面、立体どちらかに揃えようとも思っていない。
Q.上西:デジタル映像ではなく、紙に印刷して展示した意味は何かあるの?
A.水上:ポートフォリオに載せているような、5個くらいテクスチャーを重ねた絵を印刷して、個展ではそれぞれのテクスチャーを一つずつ印刷して重ね合わせ、半立体的にしようと考えている。そのためにも紙を使いたいと思い、今回もその前段階として紙で展示を行った。
Q.菊地:背景色はどの段階で、どのような意図でつけるの?
A.水上:植物の絵を描いた後。描いた時のそれぞれの植物のイメージで色をつけている。
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WAN_TAN「DOPAMINE!!」
パワーとスピード感を強調するために再構成した、作品。普段はぬいぐるみなども制作しているが、今回はこの絵だけを集中して見てもらいたいと思い、大きい絵だけを展示した。個展では、グラフィック作品の他にいつも制作しているぬいぐるみや映像作品も展示する予定。ぬいぐるみとグラフィック、映像の境目を曖昧にしたような展示を行おうと考えている。境目がなくなった状態で、空間自体が一つの作品として捉えられるような展示にしたい。
Q.菊地: 個展プランの“境目がなくなった状態”とはどのような状態のこと?
A.WAN_TAN:精神的にも物理的な意味でも境目をなくしたい。例えば紙と紙の間にぬいぐるみがあったり、作品を重ねたりと、融合させた状態にするつもり。
Q.長崎:融合とは、ぬいぐるみと絵、映像を合体させること? イメージがごちゃついてしまう可能性はない?
A.WAN_TAN:ぬいぐるみの後ろにくっ付いて絵があるなど、物理的に合体させようと思っている。ぐちゃぐちゃになってしまう可能性もなくはないが、そこは調整していきたい。
Q.上西:自分に一番適したメディアはなんだと思う?
A. WAN_TAN:いろいろやりたくてここまで来た。この先、どのようなメディアが適しているのかはまだ自分でもわからない。
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講評&審議
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おおだいらまこ「美味しいドーナッツは誰のもの?」について
保坂「一点だけの展示だと弱くなってしまうのかと思ったが、そこは大丈夫だったようだ。要素が複雑化してしまっていて、そこにブレを感じた。大きさが違うものであれば、またイメージが変わったかもしれない」
菊地「展示作品を見たときにちょっと驚いたし、戸惑った。過去作品から見る彼女の面白さからは全然違う方向へ行ってしまった。ただ、本人の話を聞くとそれなりに考えはあるようだし、いろんなチャレンジをした結果なのだと思う」
都築「二次審査の時のプランとは全く異なる作品を出していて、もしかしたら彼女はすごい人なのかも。自分も含め、普通はできない。このすごさを評価するべきなのか」
上西「チャレンジングなことをしている。本人の話を聞くとそこも意識しているので、良いなと思った。ただ、展示作品自体は曖昧な存在になってしまったようだ」
長崎「良い意味での真面目さと悪い意味での真面目さが同居しているようだ。そのあたりの塩梅をうまくバランスとって作品を作れるようになると良い作品を生み出せそう。今回はそれがうまくいっていないが、そこも彼女の魅力の一つ。クオリティも高い」
小林喜一郎「年賀状だけの関係が終わる。」について
都築「大きいハンガーを制作すると聞いて、個展を見てみたいと思った。質疑応答の中で話していた、人間には3つの光しか感じ取れないが鳥は4つの光を感じ取れるという話も面白い」
長崎「一点だけでは、彼のコンセプトや考えが伝わりにくい。鑑賞者に解釈を委ねすぎてしまうところがある。しかし、たくさん説明されるとそれはそれで面白くないのかもしれない」
保坂「鳥と人間の3と4の話や、モチーフへの思い、線の細さなど、いろいろと考えていて面白い」
上西「今回の絵は素直に好きな作品。彼が愛していることがわかりやすかった」
菊地「彼が話していたことの面白みはわかる。その面白い部分をタイトルに入れないからこそ、良いのかもしれない」
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ちぇんしげ「《五円》なき衆生は度し難し」について
都築「意図しないところで、モチーフとモチーフ同士が繋がっている。意識外で自然と繋げていくことができる人なのかも。ただ、僕から見ると手放しでは好きと言えない作品だ」
保坂「ギザギザとしたかたちや波のようなかたちで光のようなものを表現していて、それが多すぎずバランス感覚が良い。ドローイング的なものや神話的なもの、イラスト的なものなど、振れ幅が大きく、面白い」
上西「鑑賞者の目を留めさせる力がある作品。長く見続けたくなるような魅力がある」
長崎「絵の力もあるし、下に置かれたオブジェのようなものも普通なら馴染まなそうだが、今回はきちんと馴染んでいてうまく完結している作品。まとめ上げるセンスがあるが、この先どうなるのか」
菊地「彼の話はどれも腑に落ちて、好き。ただ、作品自体はスケッチ的な作品なので、もう少し一枚一枚の絵の滞在時間を長くするような努力をしてもいいのかも。もう少し丁寧な表現をしてみてもいいかもしれない」
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森ひなた「あつめる」について
上西「絵自体に圧倒的なパワーを感じるが、話を聞いているとどこまでその思いを持って描いているのだろうか。本人も自分を計り知れないようだが、これが良いのか悪いのかはわからない」
菊地「作品に対する思いはあるようだが、作品自体は漠然としたものが描かれている。真ん中の絵は立体的で奥行きを感じるが、左右の絵は潰れて見える。奥行きを出すともっと魅力的になるのでは」
都築「彼女自身はモチーフから溢れ出るものをリスペクトして描いているようだが、それよりも絵を描きたいという彼女の情念がこれを描かせている気がする。真ん中のピンク色の背景が絶妙。なんとなくピンクにしたというが、それはもったいない」
長崎「真ん中の作品があるから、展示作品全体が成立している。両脇の絵に比べて真ん中の作品は人に見せようという思いを感じられる。両脇のように埋め尽くすだけではもったいない」
保坂「本人は毛を描いているわけではないと言っていたが、毛に見えてしまう。結果的にそう見えてしまうことは面白い」
水上雄太「PLANTS」について
都築「本人が説明していた雑草の生命力というものを信じきることができない。聞いていて面白かったが、そんなテーマはなくてもいいのかもしれない」
菊地「雑草の生命力というテーマで、全部が全部作られたようには見えない。文字を入れるなど、新しい情報を追加すると良くなるかも」
上西「これだけの数を丁寧に製作していて偉いなと思った。壁の前に置かれた台が目立ちすぎていることが気になる」
長崎「新作の3枚の絵を壁に貼って、後の作品は違う形態で展示しても良かったのかも。大事なところは絞ったほうが良いので、まずは何を伝えたいのか、どこを軸にするのかを整理した方が良さそうだ」
保坂「二次審査後に制作された3枚の絵は意外と自由に描けていて、うまい。二次審査からジャンプアップしている」
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WAN_TAN「DOPAMINE!!」について
都築「この作品がどうこうと言うよりも、個展の“境目をなくす”展示を見てみたい。今ひとつ、悪巧みしている感じがなく、そこが気になる」
保坂「本人が言う“境目がない”展示を実際に製作し、それが鑑賞者に伝わるのかどうか気になる」
長崎「綺麗すぎる作品。もう少しぎょっとさせて欲しい。もう少し固執するような部分があっても良いのかも」
上西「彼が描く動物の作品など、とても好き。展示でごちゃ混ぜにすると言っていたので、そこでカオスな雰囲気が表現されるのかもしれない」
菊地「今回の展示作品は一枚だけだったが、一度この作品の20倍くらいの量の作品を見てみたい」
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こうして、審査員による講評タイムが終了。今回も真剣な意見が次々に飛び交い、白熱した時間となりました。
そして、いよいよ投票タイムへと移ります。審査員の方には、グランプリ候補にしたいと思ったファイナリスト2名を選んでいただきました。
投票結果
上西:ちぇんしげ・WAN_TAN
菊地:小林・ちぇんしげ
都築:おおだいら・小林
長崎:小林・ちぇんしげ
保坂:小林・WAN_TAN
集計すると、小林 4票/ちぇんしげ 3票/WAN_TAN 2票/おおだいら 1票。一回目の投票は4名に票が割れる結果となりました。そこで、次の投票を行う前に、票を入れたファイナリストの作品に対して、審査員の方々にそれぞれ評価するポイントや1年後の個展に対して期待するところなどを、再度、語っていただきました。
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おおだいらまこ「美味しいドーナッツは誰のもの?」について
都築「最初はプレゼンを聞いてもダメだろうと思っていたが、考えれば考えるほど、腑に落ちなくて気になってしまい、投票した」
WAN_TAN「DOPAMINE!!」について
上西「展示を見てみたいと思った。作家としてどんな世界観を作ってくれるのか、気になる」
保坂「上西さんと同意見。いろんなメディアを混ぜた時にどんな風になるのかが気になる」
ちぇんしげ「《五円》なき衆生は度し難し」について
菊地「個展で空間を使えるとなると、また見え方が変わってくるだろうと思った。平面作品と立体作品、テンションが変わらず同じような感覚で展示できる人なので、個展も面白くなりそう」
長崎「菊地さんと同じ意見で、立体物と絵が馴染まない人が多い中、彼の作品は馴染んでいてすごい」
上西「過去の作品を含め、自分の世界観を確立している。個展を開催した時、彼のその独特な世界観に足を踏み入れてみたいなと思った」
小林喜一郎「年賀状だけの関係が終わる。」について
都築「単純に大きなハンガーを見てみたい。彼は、力量がある人だ」
保坂「線に対する意識がすごくある人。支持体のない線だけのハンガーを作るところを見てみたい。面白くなりそう。アート寄りではあるが、気持ち良さも感じられる作品だ」
長崎「絵の力もあるが、すごく丁寧に作り込んでいるところがあり、信用できる。今っぽさみたいなものに向き合っている良さもあり、時代感を捉えているのかなと思い、票を入れた」
菊地「何となく作品に魅力があるし、彼の言っていることに説得力もある。彼の考えているコンセプトで鑑賞者を揺さぶることができる作家だと思っているので、期待したい」
それぞれ票を投じたファイナリストに対して、審査員から票を入れたポイントを語っていただいたところで、最後にもう一度、1名に絞って投票をすることになりました。結果は、ちぇんしげ 3票/小林 1票/WAN_TAN 1票という結果に。最後まで票が3名に分かれたものの、3票を獲得したちぇんしげさんがグランプリに決定しました。ちぇんしげさん、グランプリおめでとうございます!
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最後の最後までグランプリに誰が選ばれるのか、どきどきの公開最終審査会でしたが、ちぇんしげさんのグランプリが決定し、幕を閉じることとなりました。
ちぇんしげさんの個展は、1年後にガーディアン・ガーデンで開催する予定です。みなさん、ぜひお楽しみに!
FINALISTSインタビュー
ちぇんしげさん(グランプリ決定!)
「1_WALL」に応募したのは、今回が初めて。最初から最後までとても緊張しました。グランプリをとれるとは思っていなかったので、びっくりしています。世の中の人はそれぞれ自分が信じているものがあると思います。もし、それがないという人は、僕の1年後の展示を見ることで、その信じるものを見つけるきっかけになったら嬉しいです。
おおだいらまこさん
緊張しましたが、とても楽しい審査会でした。プロの方に講評してもらえる機会は滅多にないので、自分の作品を振り返るきっかけになりました。自分にとって、とても良い経験になったと思います。
小林喜一郎さん
「1_WALL」は作品だけでなく、ポートフォリオなど、作品作りの過程まで見てくれる面白いコンペティション。世の中で活躍している方に作品を見てもらい、評価してもらえて嬉しかったです。とても新鮮な感覚でした。
水上雄太さん
客観的な視点で、いろいろな意見をもらうことができて、学びしかない審査会でした。デジタルでの制作が一般的になっている今だからこそ、そこに疑問を持つアーティストとして業界を揺るがす存在になりたいです。
森ひなたさん
「1_WALL」に応募するのは3回目。今回はそこまで応募する気はなかったのですが、アーティストや評論家の方たちに生の声をいただくことができ、応募してよかったです。いろいろな見方や考え方があることを知り、勉強になりました。
WAN_TANさん
今回が2回目の応募。1回目の時も、審査員の方から丁寧なコメントをいただくことができ、それがとても参考になりました。今回も自分の作品について多くのコメントをいただくことができ、嬉しかったです。新しい表現が見つかったら、また「1_WALL」にチャレンジしたいです。
第22回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展