太公望方式
比較的大きな文章を書くのに適した方法。二、三行のメモで事足りるもの。定型文章(テンプレート)への記入で終わるようなものには必要ない。
全体としては「メモを書いて、それをふくらませていく」やり方。組織的にメモを書くやり方は、 魚群探知方式 糸口メモ
着想をすばやく書き留めたもの。
幻の傑作がちらと思い浮かんだら、どうすればよいか。ワープロにスイッチを入れて、第1章題1節から書き出す、というのでは全然駄目である。それではまるで、魚影がちらと見えたとたんにバチャーンと水に飛び込み、むやみやたらにその辺をかき回すようなものだ。
思いついたときにその場で思いついた範囲のことを書きおろす、というのがコツである。差し当たっては紙に走り書きをするのがよい。
この段階では、メモは自分に読めさえすればよい。とびきり汚い字でいい。ちゃんとした文章にする必要はまったくない。連想がわずかでも生き残っている間なら、すさまじいなぐり書きでも、不思議にちゃんと読めてしまうものだ。とりあえずそうやって地下のお魚に釣り糸をつけてしまえば、あとはそれをたぐるだけのことで地底湖の底まで行き着ける。
→発見の手帳、ユビキタスキャプチャー
メモとファイルの往復
ただし三日四日経つと怪しくなってくることが多い(あまり放っておくと魚が糸を切って逃げてしまう、ということか)。特に別の話題について似たような文章を書くと、一発で何が何だかわからなくなる。走り書きはそうならないうちに、たとえば三日以内にワープロに入れるがよい。その際、少し書き足して文章っぽくしてもいいが、基本的は走り書きをそのまま入れるつもりでいた方がよい。
ワープロかしたメモは紙に打ち出して持って歩き、気の向いたときに見て思いついたことを書き添えてゆく。たとえば電車の中、面会の前の待ち時間などをそれに使う。紙が書き込みだらけになったら、その書き込みをワープロのファイルに反映させる。その過程で、メモのどこかとどこかの間に関連性が見えてきたような場合には、それもワープロのファイルに反映させる。たとえば関連のある項目を、ファイル上の近い場所に移す。節の表題などを思いついたら、それも打ち込んでおく。ひとしきり打ち込んだら、また紙に打ち出して持って歩く。これを繰り返すと、割合苦しまずに形がついてくるものだ。