ブックカタリストBC077用メモ
取り上げる本
著者二人
モーテン・H・クリスチャンセン
デンマークの認知科学者
米コーネル大学のウィリアム・R・ケナンJr.心理学教授
オーフス大学言語認知科学の教授
ニック・チェイター
イギリスの認知科学者・行動科学者
『心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学 (講談社選書メチエ)』
翻訳
塩原通緒(しおばらみちお)
暴力の人類史
原題
「THE LANGUAGE GAME』
How Improvisation Created Language and Changed the World
概要
相手に何かを伝えるため、人間は即興で言葉を生みだす。それは互いにヒントを与えあうジェスチャーゲーム(言葉当て遊び)のようなものだ。ゲームが繰り返されるたびに、言葉は単純化され、様式化され、やがて言語の体系が生まれる。神経科学や認知心理学などの知見と30年におよぶ共同研究から導きだされた最新の言語論。
目次
序章 世界を変えた偶然の発明
第1章 言語はジェスチャーゲーム
第2章 言語のはかなさ
第3章 意味の耐えられない軽さ
第4章 カオスの果ての言語秩序
第5章 生物学的進化なくして言語の進化はありえるか
第6章 互いの足跡をたどる
第7章 際限なく発展するきわめて美しいもの
第8章 良循環――脳、文化、言語
終章 言語は人類を特異点から救う
謝辞
訳者あとがき
注記と出典
メモ
序章・第一章
言語はジェスチャーゲームではないか?
人類にとって言語は極めて重要な意味を持つ
言語学的な観点から見た「正しい言語」感
抽象的な文法パターンの体系を知らなくても話せる
ピジン語、クレオール語
ジェスチャーだけの島と発声だけの島
図象的なのはジェスチャー
オノマトペはどうか
音声図象性チャレンジ
聾学校のニカラグア手話
p.33 言語の進化
コミュニケーションのメッセージインザボトル方式の捉え方
会話は共同プロジェクト
第二章
非注意性盲目
いまだけボトルネック
人間の認知の限界と一瞬ごとのチャンキング
第三章
言葉の意味と本質主義(イデア)
一つの言葉の意味は、緩やかな隠喩的つながりがあるだけで、本質的な共通項はない
意味の軽さが変化する状況下への対応となる
創造的な類推のネットワークの産物が意味
意味の秩序の形成(完全にランダムではない)
「文字通り」の意味はなく、コミュニケーション上の即興だけ
言語を学習するということは、世界との創造的な会話ゲームの進め方を学習するということである。
慣用の集合体 深い言説もそこには含まれている
意味と表現の恣意性について
浮動
音と意味があまりにも密着しているの、かえってコミュニケーションが難しくなる
各自が独立している方が意味がつかまえやすい
ジョン・ウィルキンズの言語
バーバ・キキ効果
ライプニッツの普遍的記号法
言語の不安定性は言語の本質
「人間の言語は第一に詩であって、その次に散文なのだ」
秩序は少しづつ生まれてくる。
言語秩序はコミュニケーションのカオスから少しづつしか生まれてこない。
第四章
言語は生きている 進化している
かつての普遍文法という考え方
複雑さは歴史の産物
ノーム・チョムスキーの言語学
言語学を生物学の一分野とみなす
生成文法
実際のリアルな会話は逸脱になる
子どもは小さな言語学者 遺伝子に刻まれている
言語の基本構造は普遍、歴史を持たない
構文文法
構文を中心に捉える
子どもは絶えずチャンクを探し、それを一般化しようとする
パターンを探す人間の認知
文法化
言語の音は単純化され、意味は広がっていく
第五章
ピンカーの言語本能
チョムスキーのプロメテウスと再帰
FOXP2遺伝子
逐次学習
「言語は古い部品から組み立てられる新しい機械で、すべての人間の子供によってそれらの部品から再構成される」エリザベス・ベイツ
第六章
ニューヨーク市問題 トーマス・シェリング
n学習とc学習
第七章
ローラ、名前の発見
第八章
レフ・ヴィゴツキー『思考と言語』"思考と言葉の関係は事物ではなく過程であり、思考から言葉へ、言葉から思考への絶えまない往復運動である"
オブジェクトからプロセスへ
構造主義との関係、プログラミングのパラダイムの関係
言語と脳の共進化(良循環)
"複雑な文化のなかで個人がうまくやっていけるかは、ひとえに賢さにかかっており、身体的な頑健さや武勇は二の次だ"
人間以外の動物に取引行動は観察されていない
指さしをしないチンパンジー
他人の戦略を真似する人間(学習)
人間のジェスチャーゲームは発明可能、修正可能、再利用可能
ゼロという単語を知るだけではなく、それが使われるゲームを理解すること
専門用語は、専門的な主題について考えるのに欠かせない助けとなる
サピア 仮説
ジョンメイナードスミスの第八の移行
終章
シンギュラリティについて生成AIについて
印象
言語論的転回
本質主義、構造主義からの変化
「正しい日本語」
進化論的言語観
脳と言語の共進化
人間にとって言語とは何か、それがどれだけ重要か
『進化を超える進化 サピエンスに人類を超越させた4つの秘密』
考えたこと
自然言語と人工言語
哲学の意義とは何か?
パターンの発見
模倣
ゲームの中で言葉をつくる、新しいゲームを作る言葉をつくる
書き文字は、ジェスチャーゲームをどう変えたか?
「いまだけボトルネック」をどう乗り越えるか
日常的な言語ゲームを模倣する?
ゲームに参加してもらう?