ScrapboxとMarkdownの思想的な違い
MarkdownとScrapboxの違いとしてよくあげられるのが見出しの作り方についてです。 Markdownでは、文章を階層的に記述したいときに以下のような記法を使います。
code:markdown
# 見出しレベル1
## 見出しレベル2
## 見出しレベル3
## 見出しレベル4
本文
- リストレベル1
- リストレベル2
- リストレベル3
一方同じことをScrapboxでするとこうなります!
code:scrapbox
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
Markdownで「見出し」と「本文」と「リスト」に分け、これを駆使して文章を構造化するのは、伝統的な書式です。
Scrapboxは、「見出し」と「本文」と「リスト」を区別しません。
上記のような文章の構造は、一世代前のWordファイルのように、煩わしく装飾優先なものと考えます。
自分の頭の中を整理するときは、何が見だしで、何が本文かわかりません。
文章の塊を切り離したり、組み合わせたり、並べ替えたりするには邪魔なものです。
目的に対して最速のUI
この過程においては、単に文章の構造化に集中できるインタフェースがあるほうが、作業が簡単になり、はかどります。
そこで、「記法」(#とか-とか)不要で、構造化を非常に簡単に行えるようにしました。
本質は「文章を構造化したい」という欲求であるから、それをシンプルに叶えられるようにしたのです。
Scrapboxでは、スペース(かタブ)があるとその行は一段下に表示されます。
スペースの数でレベルを調整できます。
ショートカットキーを組み合わせることで、段落や行を上下左右方向に動かすのも自由自在です。
control + 十字キーで、ゲームのキャラクターを動かす感覚でポンポンと動かせます。
cut & pasteや#や-の入力と比べれば、キーの打鍵回数は1/10くらいになっているでしょう。
再利用性の高さ
ScrapboxはWikiなので、文章が長くなってきたら、リンクを作って別のページに切り出したり、他のページから部分を持ってきて組み合わせることがよくあります。
このような操作をするときに、Scrapbox方式は、すべてが一貫した構造になっているので、一部分をどこかに移動してもすぐになじませることができます。つまり、文章の再利用性がとても高くなっています。
プログラマーであれば、再利用性が重要であることがピンと来るはずです。 Scrapbox方式は、文章の構造に一貫性があって、どこを切っても、いつも同じ構造をしています。
markdown方式はプログラミングで例えると、目的が同じ関数が3つ重複しています
header (level: 1~6), body () , list(level: 1~6)
他のページに部分を移動したときは、これらの関数を全部書き換えねばなりません
一ページを単体で完結させるのではなく、ページは増え続ける前提で、アイデアの再利用性を強く意識して設計されています。
スタイルについて
Scrapboxでは字を大きくすることもできますが、これらは意図的に裏に隠れています。
まずは簡単な箇条書きの構造によって文章を作っていくことを助けたいからです。
「大きい見出しがないと人の注意を引けない」という場合、本文が簡潔で面白いものになっているか再考するとよいでしょう
コラボレーション
Wikiは、みんなですこしづつ書き足すことで、組織としての知識が成長していきます。これによりブレイクスルーを生む土台を作ります。
これをするには、一つの文章にきっちりした章立てがないほうがよいです。
他人が章立てした文には、自分の意見を追加しにくいです。
よってコラボレーションを生み出す目的には適していません
まとめ
再利用性の高い文章構造を選びましょう。アイデアの統合や、コラボレーションに革命が起きます。
装飾の美しさに惑わされないようにしましょう。重要なのは中身です。適切な構造があれば、修飾はあとから自動でできます。
最初からがんばる必要はありません。思いついたことを箇条書きしていき、必要なら後で並べ替えればよいです。
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