影の意識が希薄な時代
15世紀に透視図法が発見されて,見えるように描けるようになってきたなかで,陰影も施されるようになった。
前提が「透視図法が発見された」レベルの出来事
「眼に安らぎと満足を与え,またそれと同時に全体の効果を高める目的で,絵の上に現れるべき光と影とを,有効に配置する技術のこと…」
光と影を有効に配置する技術
キアロスクーロは明暗を大きく2分する
陰影の配置を検討し、方向性を定める
17世紀末から18世紀はじめのフランスで活躍した美術批評家にロジェ・ド・ピール(1635-1709)という人物がいました。彼の主著である『絵画の諸原理』(1708)には、53人の古今の著名画家について、当時もっとも格が高いとされていた「歴史画(物語画)」を構成する4つの要素―構図、素描、彩色、感情表現―に分けて作成された採点表が付されています。
17世紀中期までは,物体の表面に光を受ける部分とその反対側の暗い陰は描いても,物体の置かれた地面や壁に落ちる影の表現が不明確である。すなわち「陰」と「影」の両方を施すことによって,ものとものの関係や空間の一体感を説明する意識は稀薄であった。17世紀になると幾何学的に論理的な陰影,とりわけ影についても考えられるようになった。〔……〕透視図法の普及から約1世紀遅れて,一体感のある空間を描く意識をもって陰影表現が用いられるようになってきた。
昨今の描き方を補強する新たな表現も、1世紀経ったら出てくるのかもしれない
写実的表現の絵画とは,単に情景を写真のように再現したものではなく,画家のメッセージがくみ取れるようなものであろう。画家のリアリティーは,メッセージによって表現を変える。
現代でも,絵を描く人たちはテーブルに配置した静物をデッサンするときに,陰は付けるが,ものとものの距離感を表現するときでさえ影を正確に描かないことが多い。「陰」はものの形を表し,「影」は空間や空気を描き出す。しかし影を正確に描くと画面が説明的になりすぎてしまう。絵画空間はフィクションの空間なのである。
正確な陰影は説明的になりすぎる
キアロスクーロの効能はドラマチックな印象を与えること
正確な方向性で陰影を配置している
正確な説明ではない