公益プロジェクトとして掲載したい人へ
更新2024/7/18: 掲載時期は終了し、現在は寄付ラウンドがアクティブです!!
2024/7/18 すべてのプロジェクトに寄付が可能に#6699107d09c5f200009353d9
この記事を読む前に、まだ「DigDAO マッチングドネーションプロジェクトについて」を読んでいない方はそちらを先に読むことをおすすめしています
この記事は、DigDAO マッチングドネーションプロジェクトで実施している資金分配を受け取りたいプロジェクトを持つ方に、公益プロジェクトとして掲載する方法について説明しています。
この実験は、DigDAOと渋谷区によって実験的に運用しているもので、予定なき変更などが含まれる場合があります。
以下のような方を読み手として想定しています
1. 自分のプロジェクトを「公益プロジェクト」として掲載したい人
2. プロジェクトについてより詳しく知りたい人
(ソフトウェア開発に興味のある場合は https://github.com/dig-dao/simplegrants を参照してください)
このプロジェクトが目指すもの
このプロジェクトは、「ビジネスとしては成り立たないけど社会的には価値のあるツール・プロジェクト(公共財)」を支援するための新しい方法を模索しています。
経済学的な定義上では、公共財は「特定の誰かの利用を防ぐことができない」「それが否に、課金することができず、ビジネス的には成り立たない」と定義されています。そのため、一般道路、公園、警察などは行政による税金によって維持されています。
しかし、NPOが提供するサービスや、市民プロジェクトなどは定義上は公共財に当てはまるが、行政による資金分配がうまく機能していない場合が多々あります。本プロジェクトでは、そのような公益を産んでいるプロジェクト全般を支援することを目的としています。
私たちは、"行政によって直接雇用されなかったとしても"公共財に対して貢献でき、その貢献が社会的・金銭的に評価されることにより、一連のシステムが持続可能になるべきだと考えています。
デジタル公共財とは?
デジタル公共財とは、OSS、オープンデータ、オープン人工知能モデル、オープンコンテンツといったデジタル上で展開されている公共財のことです。(例:東京都文書生成AI利活用ガイドライン、コロナウイルス感染症対策サイト等)
国連事務総長発表の『デジタル協力のためのロードマップ』において、グローバルなデジタル協力を強化できる具体的対策として、「より公平な世界を実現するには、デジタル公共財の創造を奨励し、投資する世界的な取り組みが必要であり、持続可能な開発目標を達成するための鍵である。」と提言されています。
しかし、現状は「この行政の仕組みが使いにくいから、自分が改善したい」と思っても貢献の手がかりはないおろか、自分でサービスを作ったとしても公認を得たり、協力してもらうことすら難しいという状況です。
例えば、「自分がCivictechプロジェクトの一環で作ったサービスが大きく反響を受け、ユーザー数も拡大している。ぜひこのサービスが自治体に導入されたら便利になる人もいると思うのに...」という状況などを想像してみてください。実際、行政がサービスを導入するのはとてもハードルが高く、予算的にも、信頼的にもこれを実現させるのは難しいと考えています。
その結果、いいプロダクトを作る少数精鋭のスタートアップがGovtech企業としてうまく行かず、何十年も前の技術スタックを使う営業がうまいSIerのサービスが導入されているというのは、よくある話です。
そこで、購入側(自治体)ではなく、ユーザー側(市民)の評価をもとにプロジェクトに資金を分配することができるマッチングドネーションという仕組みを活用することによって、専制的で、時間のかかる公共調達を避けて、より民主的に資金を分配できるようになるかもしれません。それが、このプロジェクトが目指している姿です。
掲載条件
今回のラウンドに掲載するためには、あなたのプロジェクトに以下の要素が含まれる必要があります
1. 日本語圏において、地域・社会に対して公益を産んでいる
2. 直近3ヶ月以内に活動が見られること(Webサイトやソフトウェアの更新など)
3. 上記の公益を産むツールが公開されていること。誰もが目的を問わず、そのツールを使用、調査、再利用、修正、拡張、再配布が可能なこと
❌ ツールが公開されていても、その利用・修正・再頒布が有償である、商用利用は禁止されるなどの制限がある場合は、対象ではありません
⭕️ ツールがソフトウェア(OSS)な場合、GNU GPL・Apache-2.0・MITなどの既存の汎用的なライセンスを利用することを推奨しています
なお、掲載されたプロジェクトに以下の項目が見られた場合は注意・予告なき公開停止をする場合があります
なりすまし: 透明性と信頼を維持するために、プロジェクトは自らの所属と意図を正確に表現しなければいけません
寄付結果の改ざん: 複数のアカウントを作成しての寄付は禁止しています
見返り・賄賂の分配: QFメカニズムの完全性を維持するために、寄付と引き換えにインセンティブを与えることは禁止しています
「公益プロジェクト」として掲載する流れ
掲載は審査制になっています。以下の情報を
必須: 画像(3:4を推奨)
必須: プロジェクトの名前
活動拠点
TwitterのID
必須: Website
必須: プロジェクトの概要。市民へどのような機能を提供しているか。この寄付実験で受け取った金額はどのようなものに使うか。
必須: 目標金額
必須: 振込先情報
こちらのフォームに自分のプロジェクトについて入力してください。審査後、連絡をさせていただきます。
https://forms.gle/Npftg48DdHy2nGzv8 終了しました
協賛組織・自治体の声
Yoshiro Tasaka.icon今まで渋谷区では「どの公共財を作るべきか・支援するべきか」という決定は中央集権的に行われてきた。しかし、市民は価値を感じているけど自治体は気がついていない・支援できていないというケースが発生していた。こういった状況を踏まえ、マッチングドネーションプロジェクトへの協賛を決定しました。これにより、1. 市民の意見をもとに「どのプロジェクトは資金提供が必要な公共財か」という情報を収集することができ、2. 本来であれば行政が一つひとつのプロジェクトに対して審査・助成を行っていたものが、より効率的かつ迅速に分配することができ、3. 自治体が提供したマッチングファンド(財源)の分配先を決定する方法として市民の寄付を利用するので分配額を最大化することができると考えています。
hal sk.iconマッチングドネーションは、より多くの人の価値観を反映するための新たな参加形寄付方式です。これにより、自治体内での審査プロセスは短縮し、より民主的な方法で資金を分配できるようになりました。
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マッチングドネーションという仕組みについて
このプロジェクトで資金分配メカニズムとして利用する「マッチングドネーション」という仕組みは、"政府などが用意した資金プールからどのプロジェクトに分配するか"を市民による寄付に応じて決定するものです。
この仕組みは、Quadratic Fundingというメカニズムによって計算されます。「あるプロジェクトへ寄付した人の数」は、各個人の寄付額より分配金額に大きな影響を与えるように設計されています。
政府や自治体が分配先を決める従来の助成金とは違い、Quadratic Fundingでは資金プールの分配先・額はあなたたちの寄付によって決定されます。
Quadratic Fundingは民主的な方法でデジタル公共財を支援するためのメカニズムとして、Ethereumエコシステム90億円以上の資金を分配したり、台湾で活用されるなどの実績があります。
https://impact.gitcoin.co/
https://100.adi.gov.tw/
資金プールの予算はどこから来るのか
このマッチングドネーションプロジェクトの実験では、資金プールの予算はDeSci Tokyoの寄付によって賄われています。このプロジェクトに協賛してくれる方は、takagishunsuke1129@gmail.comへご相談ください。
現在は持続可能性を模索していくことが課題です。今後は休眠預金の活用や、ふるさと納税のスキーム活用による税制控除や、企業からの協賛金を資産運用し、その利益を予算にするエンダウメントなども検討しています。(/halsk/デジタル公共資産基金)
参考
/tkgshn/"誰にも雇用されていない公務員"みたいな概念
/tkgshn/Govtechのプロダクトは受託かtoBの焼き増しでしかなく、スタートアップっぽいものなど存在できないのでは
/tkgshn/デジタル公共財を持続可能な形で運営する方法
/tkgshn/Plurality Tokyoを開催します
デジタル公共財について - Speaker Deck
自治体のインセンティブ設計を見直そう|Hal Seki