子宮頸癌取扱い規約病理編(第5版)第4版からの変更点(病理)
nananana.icon P.37以外は表紙のテーマカラーと同じ青色を図表を含めて基調としており読みやすい
nananana.icon 記載されている図表がどこから引用されているかが明確でなく、直前直後の説明に含まれる版と異なる場合に混乱をきたす
nananana.icon WHO・日産婦・FIGO・ICD-Oなどに準拠しており、ほぼ全ての項目がこれらより引用されている
nananana.icon 日本規約独自の取り決めはその引用前後に本文や注釈として記載されているため読者が再構成する必要あり
nananana.icon 引用した内容と重複した本文解説が散見される
https://gyazo.com/b893c8840894d1c1f97f5badd6caacb6
WHO組織分類(2020年)に対応した
実臨床に即してWHO分類を基に柔軟に記載を変更したと明記している
癌でも腺癌でもよい
nananana.icon WHO組織分類の和訳が組織分類としてリスト化されているが、日本規約本文の分類や解説はこれに沿っていない
リンパ節転移
領域リンパ節の説明は用語のみで図示されない(第4版の解剖学的指標の図がなくなった)
領域リンパ節に大網のリンパ節などの腹腔内リンパ節を含むとは記載されていない
領域リンパ節には傍大動脈リンパ節が含まれるようになった?
そうであれば婦人科3領域の日本規約はすべてほぼ同じになる(腹腔内リンパ節の扱いが残る)
nananana.icon 第4版で注1傍大動脈リンパ節転移はM分類に入れるの記載が無くなった
FIGO2018、UICC、AJCCで基準が微妙に異なる(日本規約ではその都度確認が必要)
pNX:FIGO2018、UICC、AJCCでは遊離腫瘍細胞径、微小転移、マクロ転移のカットオフ値0.2mmと2mmで以上、以下が混在している → 日本規約は微小転移に0.2mm超え2mm以下を採用
ITCの基準に1個(単個)(AJCC)、200個以下の集簇(AJCC)、200個未満の集簇(UICC)が含まれるがこれも微妙にことなる → 日本規約ではITCに個数の概念を入れていない
ITC・微小転移の概念に対応するため、リンパ節転移巣の最大径を計測することになった
ITCはUICC・FIGOではpN0(i+)として扱う(AJCCについては言及されていない)
リンパ節転移の診断は、微小転移以上のものを転移と診断する(ITCは転移としない)
体癌や卵巣・卵管・腹膜癌規約ではITCもpN1とするので注意
ITC(Isolated tumor cells:遊離腫瘍細胞)は転移としないが記載する
* 第63回日本臨床細胞学会総会(春期大会)
シンポジウム11 WHO組織分類第5版改訂後に何が変わったか、何を変えるのか:現場への指針と規約改訂の方向性
S11-1 WHO分類第5版を俯瞰する—最適な診療のために
FIGO2018(日産婦2020) UICC2021(TNM)
進行期分類 Stage Classificationhj
臨床進行期分類(第4版):理学所見に基づいて治療開始前に決定し、以後変更してはならない
進行期分類(第5版):理学所見、画像所見、病理学的所見を総合的に判断する
nananana.icon T4が亜分類されていないため、進行期分類の対応表が子宮頸癌規約では作成できず記載されていない
縦軸方向の広がりが7mmをこえない →(削除:エビデンスが無い)
肉眼的に明らかな病巣はIB期とする → 削除
IB1、IB2カテゴリーが1~3に変更
ⅠB1期:腫瘍橙系が2cm以下
ⅠB2期:腫瘍最大径が2cmをこえるが4cm以下
ⅠB3期:腫瘍最大径が4cmをこえる
ⅢC期:骨盤リンパ節ならびに/あるいは傍大動脈リンパ節に転移が認められるもの(rやpのj注釈をつける)
ⅢC1期:骨盤リンパ節のみに転移が認められるもの
ⅢC2期:傍大動脈リンパ節に転移が認められるもの
Stage ⅢCの表記
画像でリンパ節転移陽性とされている場合 rをつける
Stage ⅢC1r、Stage ⅢC2r
病理学的にリンパ節転移が確認されている場合 pをつける
Stage ⅢC1p、Stage ⅢC2p
リンパ節転移の診断は、微小転移以上のものを転移と診断する
ITC(Isolated tumor cells:遊離腫瘍細胞)は転移としないが記載する
卵巣転移はpM1から除外(AJCCではpM1とする)
早期症例ではまれ、他のリスク所見が併存するので問題とならない
卵巣・卵管転移の存在は報告すること
卵管は粘膜上皮、粘膜間質、壁内、漿膜、脈管内を区別して記載する
円錐切除
腫瘍径
腫瘍径は最大径あるいは2方向
間質浸潤は深達度と水平方向の広がり
水平方向は肉眼的に計測困難な場合
腫瘍最大径と水平方向の広がりを併記しない
基本的には円錐切除では確定しないなため、報告書には記載しないことになっている
nananana.icon 記載しないことを強調しているが、円錐切除の記載は実際には必要
手術検体
腫瘍径
画像所見と比較して恣意的に操作してもよい
展開固定、切開伸展している場合は画像を参照し、場合によっては展開前の状態で測定する
nananana.icon 修正する必要があるというが、混乱をさらに招くと思われる
どうするか、まだ決まっていない
深達度Depth:筋層浸潤の深さ 頚部壁内の実際の破壊性間質浸潤距離
深達度の計測が困難な場合
AIS vs 浸潤腺癌
潰瘍形成がある場合
外向性発育が主体である場合
厚さを記載して深達度と見なす
厚さThickness:腫瘍の厚さ 腫瘍の頂点から浸潤最深部までの距離
表層浸潤(深達度5mm以下)の外向性発育を示す腫瘍は最大径でpTを決定する
外向性腫瘍の場合には進行期で区別する
腫瘍の組織型
WHO分類第5版(2020)
扁平上皮癌
HPV関連と非関連
HPV DNAの検出は代替法としてP16 IHCを用いる(びまん性強陽性)
扁平上皮癌NOSは許容されている
腺様嚢胞癌が削除された(扁平上皮癌の亜型)
腺癌
HPV関連と非関連
形態的に区別できるためP16は必須では無い
HPV非依存性腺癌
鋳型
明細胞型
中腎型
類内膜癌
漿液性癌は削除
神経内分泌癌が混在する腺癌→混合型神経内分泌癌
Silvaのパターン分類(HPV関連腺癌の分類)
パターンA
骨盤リンパ節転移なし・再発なし・死亡なし
円錐切除でパターンAで断端陰性なら追加切除不要
パターンB
パターンC
異形度
G1・G2・G3 予後と関連するよい基準はない
コンセンサスあり
Villoglandular:Low-grade
Gastric:High-grade
Mesonephric:グレード対象外
Clear cell:High-grade
NEC:High-grade
腺癌のグレード評価 ISGyPコンセンサス
HPV関連腺癌 Tumor grade
Solid growth 充実性増殖部で判定
Grade 1:10%以下
Grade 2:11~50%
Grade 3:50%をこえる
高度の核異型を示す領域が50%をこえる場合はグレードをあげる
癒合した微小腺管パターンは充実性増殖とみなす
以下の成分を含む腫瘍は自動的に高異型度とする
微小乳頭状
印環細胞
浸潤性重層性粘液産生癌(iSMILE)
HPV非依存性腺癌
グレード評価は推奨しない
胃型腺癌は悪性度が高いためグレーディングしないこと
今後グレーディングは意味をなくすかもしれない
(参考)
子宮頸癌取扱い規約第4版 金原出版社
子宮頸癌取扱い規約第5版 金原出版社
病理と臨床 2023 Vol.41 No.3 速報解説!「子宮頸癌取扱い規約病理編 第5版」改訂ポイント
第63回日本臨床細胞学会総会(春期大会) シンポジウム11 WHO組織分類第5版改訂後に何が変わったか、何を変えるのか:現場への指針と規約改訂の方向性 S11-1 WHO分類第5版を俯瞰する—最適な診療のために
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