卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約(第2版)第1版からの変更点(病理)
nananana.icon 他の婦人科系第5版規約と異なりテーマカラーと本文のカラーに統一性がない
nananana.icon 背表紙もなぜか黒字で白字の他と統一性がない(白の縁取りはされている)
nananana.icon 最後になった精巣腫瘍取扱い規約を思わせる紫色が映える(まぶしい)
第1版のテーマカラーに合わせて紫色で作製し始め、後にオレンジ色になったため色がずれたと考えられる
57頁から目に優しい色になる
nananana.icon WHO・日産婦・FIGO・ICD-Oなどに準拠しており、ほぼ全ての項目がこれらより引用されている
nananana.icon 日本規約独自の取り決めはその引用前後に本文や注釈として記載されているため読者が再構成する必要あり
nananana.icon 引用した内容と重複した本文解説が散見される
https://gyazo.com/b893c8840894d1c1f97f5badd6caacb6
組織分類
WHO組織分類(2020年)第5版に対応した
実臨床に即してWHO分類を基に柔軟に記載を変更したと明記している
癌でも腺癌でもよい
nananana.icon WHO組織分類の和訳が組織分類としてリスト化されているが、日本規約本文の分類や解説はこれに沿っていない
高異型度漿液性癌
前駆病変をSTICと明言した
原発巣の決定基準とフローチャートが記載された
SEE-FIM法を導入した
SEE-FIM法で検索しない(しなかった)場合には播種を否定したうえで原発が卵巣・卵管になる
子宮内膜漿液性癌と卵巣高異型度漿液性癌を組織像から鑑別することは困難で総合的に判断する
WT-1とERが鑑別の参考になる
STICのみを認める場合はICCRに準じて卵管癌IA期とする
進行期分類として日産婦2014・FIGO2014が記載されているが、上記事項が反映されておらず、注意事項に含まれる
Atypical proliferative tumorが削除された
微小乳頭状パターンを示す漿液性境界悪性腫瘍を微小乳頭状/篩状漿液性境界悪性腫瘍とした
組織分類が上記の他に色々と変更された(規約1頁参照)
免疫組織化学に用いる抗体/マーカーの一覧表
臨床的卵巣腫瘍の分類表
リンパ節転移
領域リンパ節の説明は用語のみで図示されない
領域リンパ節に大網のリンパ節などの腹腔内リンパ節を含むと記載されている
領域リンパ節には傍大動脈リンパ節が含まれる
ITC・微小転移の概念に対応するため、リンパ節転移巣の最大径を計測することになった
ITCはUICC・FIGOではpN1、AJCCではpN0(i+)として扱う
FIGO分類では転移とするがAJCCでは転移ではない
日本規約ではTNM(UICC)で記載するのが妥当(pN1)
子宮頸癌規約では微小転移以上のものを転移と診断する(ITCは転移としない)ので注意
pTNM
検索するリンパ節の最低個数は考慮されなくなった(10個以上でないこともあることになった)
術前治療や再発腫瘍を表すypTNMとrpTNMが採用されている
* 第62回日本臨床細胞学会秋期大会 要望講演7(日本産科婦人科学会 領域講習)
東京女子医科大学婦人科 田畑務
WHO第5版に準拠
高異型度漿液性癌
卵管起源説:前駆病変はSTICである
STIC
肉眼的に認識できない
上皮内癌であるが播種する
診断に免疫組織学染色は必須でない(p53、Mib-1)
Ki-67陽性、p53びまん性陽性
漿液性腫瘍
原発決定基準
両側卵管が卵巣腫瘍と分離できるかつSTICや卵管粘膜のHGSCあり→卵管
卵管の少なくとも一部が卵巣腫瘍と一塊→卵管
両側卵管が卵巣腫瘍と分離でき、いずれの卵管にもSTICや卵管粘膜のHGSCなし→卵巣
STIC、卵管や卵巣のHGSCのいずれもなし→腹膜
十分な検索されていない、子宮内膜原発を否定できる→卵管・卵巣
病期
原発性腹膜癌の1期はない
1C1期:手術による破綻
2A期:
2C期:なくなった
STICは高異型度漿液性癌と考える
卵巣に明細胞癌、卵管にSTICがある場合などは別の腫瘍として別々に評価する
良性
境界悪性が10%未満は腺腫とする → Adenoma with focal epithelial proliferation
境界悪性
境界悪性が10%を超える
組織像
複雑
階層型分枝
腫瘍細胞の重層化・浮遊
微小乳頭状パターン
微小浸潤
浸潤巣5mm未満
腹膜インプラント(非浸潤性)
名称変更
非浸潤性腹膜インプラント→インプラント(境界悪性)
浸潤性インプラント→浸潤癌(低異型度漿液性癌)
漿液性インプラントと粘液性のインプラントの違いはあるのか?
ミュラー管型上皮性腫瘍
腹膜上皮性腫瘍は消えた
腹膜の上皮性腫瘍はここに含まれる
卵管から転移・進展したと考えられている
粘液性
漿液粘液性癌は削除
削除理由は説明難しい
その他
中腎様腺癌 予後が悪い TTF-1、GATA-3、CD10陽性
未分化癌
脱分化癌
癌肉腫は混合型から上皮性腫瘍へ変更
混合癌
子宮内膜症性病変
明細胞癌や類内膜癌の発生がある
腫瘍様病変の中に位置する
(参考)
卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版 金原出版社
卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第2版 金原出版社
病理と臨床 2023 Vol.41 No.3 速報解説!「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第2版」改訂ポイント
https://gyazo.com/7892c236eab082387b4c0a0dc3af01ab
サイトメニュー