フランツ・カフカ
『日記』
1911年12月25日
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なぜ小さくなったのか
自分が相手よりもだんだん小さくなることによって、 強者と自分との間の距離を大きくした。この収縮によって彼は二つのものを獲得した。彼は自分が暴力にとってあまりにも微々たるものになったことによって、威嚇から消え失せ、 そして暴力に至るあらゆる忌わしい手段から彼自身を救ったわけである
頭木さん注釈:たとえば、学校の教室で、目立ちたくないと思ったら、自然とうつむいて、肩をまるめ、 身体を小さくしようとするのではないでしょうか。 外の世界に脅威を感じるとき、人は自然と小さくなろうとします。脅威の目にとまらないようにしようとするのです。
小さくなることは、もちろん、脅威に対して、より弱くなってしまうことでもあります。しかし、自分自身が誰かの脅威になってしまうこともなくなります。
第三の手記の一までのメッセージと同じで実存的な自己受容の文学なんじゃないか 1918/1-5
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賛辞
Kが到着したのは、夜もおそくなってからであった。村は、深い雪の中に横たわっていた。城山は、なにひとつ見えず、霧と夜闇につつまれていた。大きな城のありかをしめすかすかな灯りさえなかった。Kは長いあいだ、国道から村に通じる木の橋のうえに立って、さだかならぬ虚空を見上げていた。
〜灯りさえなかった。」という否定系の叙述は昼ならばそこに城山があることを知っている明示。この後の宿屋の場面で「こんなところに城があるとでもおっしゃっるのですか」というKのセリフより、第三者の語り手であることがわかる。
〜虚空をみあげていた。」で主人公視点に立ち替わる
このクレバスの深淵を覗かせ、蓋をし、バイスナーの物語作者の視点に立ち替わる 土地測量士の意図
土地測量師の土地(Land)には、陸、陸地、土地、区画、州、国などの他に、界、領域、分野という意味がある。『審判』に、その表題語が同時に意味する、進行、経過、成行き、過程、処置、手続、訴訟、告訴、審理などのさまざまの意味を重ねあわせて展開した作者なのである。しかも『城』は、 「新しい秘教、カバラーのようなものにまで発展することができるだろう」という自覚と決意のもとで書き始められたのである。