マグリット
マグリットは、1923 年にジョルジョ・デ・キリコの《愛の歌》(1914)の複製に出会ったことをきっかけにシュルレアリスムの道に進んだと言われている。
1967年9月15日、当時68歳と 9 カ月のマグリットがブリュッセル市スカールベーク地区の自邸で急逝した翌日、ベルギー放送のラジオ追悼講演で長年の友人だったマルセル・マリエンが、画家の生涯の業績についてこう語った
1936? 書簡
Je n’aime pas l’argent ni pour lui-même, ni pour ce qu’il procure, ne désirant rien de ce qu’on connaît.
四十歳の誕生日、アントワープ王立美術館の講堂に集まったおよそ五百人の聴衆を前にした講演
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マグリットの発言をモーリス・ラパンが採録した1枚物のビラ(La Tendance populaire surréaliste刊)??
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スケッチブックを手元に置いておく。インスピレーションがイメージを与えてくれる。雲を描きたくなれば、ひたすら雲の絵を描く。その形が持つ意味もわからないまま絵に囲まれているうちに、インスピレーションが再びわたしのとて、この雲の下に何を描くべきなのかがわかる。それはクリスタルのグラスだと。
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わたしは、絵で示しているものからすべての記号を取り除きたいと思っている。〜これを描いたとき、わたしが戦争のことなど考えていなかったことは言うまでもないだろう。リンゴは「隠れているが視えるもの(男の顔)」を隠している「はっきりと見えているもの」である。この世界では、そういう具合に起きている。つまりこれは、ある種の緊張、あるいは戦争ともいえる。わたしたちの精神は、見えないものを見ようとする。わたしは絵を見る人に、詩によって心をかき乱されたときのような、詩的な状態を味わってほしいのだ
米雑誌『ライフ』
1966 インタビュー]
「なぜこれはパイプではないのですか」と聞かれて「そうだね、それはパイプの絵であって、現実のパイプじゃないからね」と答えてから、少し間をおいてこう語っている
私たちは皆あまりにも多くの実利的なことがらに気を取られているので、謎を見失ってしまう(We miss the mystery)。だから、時々立ち止まって、謎について考えてみるべきなんだ。科学は謎をまったく認めない。すべてが発見なのだ。それでも、今頃になって、科学は新たな逆説を提起している。発見がさらに多くの謎を発見する(the discovery of still more mystery)という逆説だよ
私はそうは思いません。というのも、こうした本〔ファントマやニック・カーター物〕で問われている…そう、あの謎は解く鍵のある謎で、結局、解法が存在し得る謎なのです。ところが、私の作品で謎が問題になるとすれば、そこでは認識不可能なものが問われているのですから
ローザンヌの雑誌『ガゼット・リテレール』
1966 インタビュー
私の人生は少しも特別な精彩に富んだもの(pittoresque)ではありません。私はブルジョワの家庭に生まれ、学校で勉強してからブリュッセルの美術アカデミーで描くことを学びました。その頃私は少し手探り状態で、とりわけものごとを思考することに時間をかけました。この経験から、私は形態(フォルム)ではなく、絵画の根底にあるものを取り戻す(reprendre le fond de la peinture)方向に導かれたのです。結局、絵を描く手法にはほとんど関心がなかったので、(...)多少なりともオリジナルな手法を探し求める代わりに、私は事物の奥底を追求して、絵画を世界の認識を深めるための一つの道具(un instrument)にすることを選んだのですが、この認識は世界の謎=神秘(mystère)と切り離せないものなのです。