建築デザインⅡ/2021年度
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コロナ禍の今、地域住民においてこれまで必要とされてきた「地域コミュニティ施設」が、「新しい日常」の中でどのようなプログラムでどのように変容し、どのような空間施設の提案が必要となっているのか・・提案してもらう。
各自の現在住んでいる街・地域に限定し、問題意識を鮮明にし、「小学校区レベル」で「住民の視点から、建築家として」本当に必要とされる建築の提案をして欲しい。
日本における民家建築の最高峰とも言われる重要文化財「吉島家住宅」は、約半分が失われた状態にあり、現在は市営の駐車場となっている。そこには現存する建築とはまったく異なる空間が存在していた。
失われた部分について、現存する資料(吉島氏による配置図やスケッチ、テキストなど)を基に推定して復元図を作成し、その空間について分析を行う。不明な部分については吉島氏への聞き取りなども行う。
さらに、現在駐車場となっているエリアに、展示を中心とした施設を設計する。
現当主、吉島忠男による失われた空間の記述
棟高は本屋より約2メートル高く約10メートルの高さがあった。線で構成された小屋の立体格子、面で覆う屋根裏、白い量塊の土蔵群、土蔵と土蔵の間のスリットから細い光線が落ち、せり上がった棟の高い部分は奥まってうす暗く、樹木のように林立する小屋束と土蔵の間隙には昼間でも物の怪が宿っているようで、子供心にはまさに鬼の棲み家のような恐ろしげな空間であった。(中略)作業所の土間には酒造りの頃の室の跡が塹壕のように掘られ、酒の絞り台が絞首台のように掘り割りを跨いでいた。陰惨ではあるが、線と面と塊、あちこちにできた偶然の空間の連続、うす暗さ、土蔵間のスリットの迷路、一筋の光、今思えばなんともダイナミックな内部空間であった。(「重要文化財吉島家住宅」より)
地方では、スプロール化や人口減少、中心市街地の衰退などを受けて、地域拠点の集約による地域の再生が求めらている。静岡県下田市では、駅前広場に隣接していた下田市役所が海から離れた蓮台寺地区に移転することをきっかけに、市役所の跡地利用を含めた駅周辺の再生が計画されようとしている。
伊豆急下田駅は伊豆急行線の終着駅で日本では珍しい終端駅である。しかし、交通量の多い国道136号線と414号線に南側と東側を接し、民有地が交差点側に位置することから、駅前広場は狭く変形した形状になっており、市民や観光客にとって利便性が低かった。この駅周辺が市役所の跡地利用と民有地を含んだ区画整理によって再整備されようとしている。さらに、下田市では駅周辺の再生に合わせた図書館などの公共施設の整備も検討されている。
この課題では、約2.9haの駅および周辺地区の交通広場と駅舎等の基本計画を行う。全体発表会までの目標は駅舎と公共施設の駅前広場の基本提案とし、3月中旬までに拠点施設の主要部分のイメージの作成とプレゼンテーションを目指す。
人と人とが監視し合う極めて不寛容な時代になりつつあります。規範から逸れたものを斥けようとする理性的で教条的な力が私たちの社会に浸透しています。こうした政治的な正しさを疑い、多様性とは何なのか、そして寛容さとは何なのかについて議論する必要があると思われます。
そこで皆さんには、課題を通じて「寛容な状態」を設計してもらいます。本課題においては、この寛容な状態を「異質なものを許容する両義的な状態」と定義します。そして、これを〈エスク〉な状態と呼ぶことにします。