荒木鴻歩・田村慶也・朝木岳志・若林昇「動線空間から設計する公共施設」
1.武蔵野市コミセンの概要
武蔵野市には16のコミュニティセンターと4つの分館の計20施設ある。
各施設は様々な⽴地条件にあり、規模や外観のデザインも様々だが、内部空間の印象はほとんどの施設で驚くほど共通しており、その多くは退屈で冗⻑な空間あり、このような施設の本来の⽬的にそぐわないものでもある。
昨年まで、佐藤光彦ユニットでは記述⽅法によって、コミセンにおける空間体験が何によって決定されているのかが表現されたが、この認識をもとにして、どのような設計が可能となるかという課題が残されている。
断続的な動線空間を、連続した建築的操作によっていかに設計可能なのかという課題に取り組む。
それによって公共施設の空間がどのように変化しうるのかを検討する。
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https://gyazo.com/c213ec2a2657a07797b30d378ddec204
2.空間体験の記述
昨年度まで、以下のようなコミセン利用者の観点における4つの項目から空間体験の記述を試みてきた。
❶広域 ❷外観 ❸アプローチ ❹共用部展開図
https://gyazo.com/8f87ea2b64404989c2ce6b6db7bd1b23
これらの分析において、各コミセンの立地や外観には多様さがみられたものの、
内部空間の印象は冗⻑的な空間であり、施設の本来の目的である自主的な使われ方は見られなかった。
https://gyazo.com/70cba0d7999e0c4befcd59e99a1b6cdf
また、各コミセンの内部の空間体験を決定づけているのは目的空間ではなく共用部・サロンであり、
昨年度は展開図のみならず、共用部のみを取り出した3D モデルによる記述も試みた。
しかし、2,3 階の共用部の体験が表現しきれておらず、サロンやホールを含めた共用部の記述に課題を抱えていた。
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そこで今年度は、昨年度までの記述で表現しきれなかった「共用部の記述」を通して、
動線空間から設計する公共施設の新たな設計手法を提案する。
3.共用部の分類
コミュニティセンター共用部の空間体験を立体的に認知するために、16施設の共用部部分を3Dモデル化して取り出し、比較した。
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その結果、5種類のタイプに分類することができた。
約半数にあたる中廊下型は共用部における空間体験が特に単調なものとなっいる。
4.記述からの設計手法と適用
ここでは同一敷地を利用して、4タイプの設計手法を提案する。
16あるコミュニティセンターの中でも、冗長な空間が続く中廊下型の「関前コミュニティセンター」を対象とした。
【関前コミュニティセンター】
<プログラム>レクリエーション室、和室、舞台(和室広間)、音楽室、学習室、会議室
<建築概要> 敷地面積:991 ㎡ 建物面積:444 ㎡ 延床面積:783 ㎡
https://gyazo.com/fa9176390e8a88ca1d42946e432e1253
4-1.3Dモデルを利用したコミセンの設計手法
◎ここでは共用部が冗長的で退屈な空間である原因について、共用部のみを取り出した3Dモデルから考察する。
中廊下型コミセンの共用部の形状にほとんど共通する問題として、各層の共用部のフットプリントが他の層のものと一致している部分が多いことがあげられる。
https://gyazo.com/cdac0748aa484d329f226f3f14cb52ac
この場合、天井や床といった各層を隔てる壁により各層の動線は断続的となってしまい、
階層同士の共用部での繋がりは絶たれてしまっていることがわかる。
https://gyazo.com/2fafc2fb6b41183760d30e835ec774a9
そこで従来のように配置計画で決めた目的空間の配置に沿って動線を決めるのではなく、3DCadを利用して、
共用部で立体的な交差が生まれるような動線を考え、そこに沿って目的空間を配置する手法を提案。
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https://gyazo.com/96e1500cc1ad6cfe21c24d8877f4c969
このような操作は、コミセン内における多様な空間体験を増やすきっかけにつながり、
自然に自主的コミュニティを生みだしていく、次世代のコミセン設計手法となるのではないだろうか。
https://gyazo.com/397c5f7a26757ea58f2b92fa4f3c0798
4-2.共用部の形態操作による設計手法
◎ここでは共用部展開図の面積が大きくなるように共用部の形態操作を行うことで各目的空間と共用部の接地面積を大きくし共用部に多様なアクティビティを引き込む設計手法を考察する
https://gyazo.com/0bf53ed301f4499dc9c84ae77cc84f14
上図の共用部の空間体験を記述した展開図を引き延ばすように共用部の形態を変化させることで
各目的空間と共用部の接地面積を大きくし共用部に多様なアクティビティを引き込むことが可能だと考えた。
https://gyazo.com/7c3e154772a9d6031a9e86da06d71780
設計手順として上図のように進める。
結果として04のように接地面積を増加させるだけでなく、中庭や外部空間とも接続することができ、多様な共用空間を創り出せると考える。
ケーススタディとして関前コミセンを設計する。
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蛇行する共用廊下に各諸室からのアクティビティが浸食する。
4-3.ホールの有無による図式の変化の分析からの設計手法
◎ここではホールの有無が共用部に与える空間体験の変化の分析を行う
西久保コミュニティセンター(中廊下型+各階ホール)の記述と分析
・ホールの有無が共用部の空間体験に与える影響を分析
・展開図、アクソメ図により記述
・コア→ホール→(廊下)→扉→諸室、の図式に変化
・ホールが図式に影響を与えていない諸室があることが課題である
https://gyazo.com/dbac5d27cc57699b6735c0cbd0519f9b
提案 分散型のホールの介入
・各ホールのスケールを下げ分散
・全ての諸室が、ホール→扉→諸室、の図式となるよう計画
・動線の途中にいくつかのホールを経由することで共用部全体にも変化をもたらす
・各ホールに隣接する目的空間(和室、広間、調理室など)の特徴を表出させる
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全ての諸室にホールが隣接するよう計画
アプローチから諸室まで必ずホールを経由する
https://gyazo.com/c2b8d0748f9d1edbf458db58de521696
ホールが分散されて配置されていることにより共用部へ諸室の様子を表出させる
https://gyazo.com/9645c1cd4f743166bc45975583bc6717
4-4 共用部と諸室の接続分析からの設計手法
◎ここでは、断続的な共用部と諸室の接続をモデル化し、さらに分析を行う。
https://gyazo.com/7137b5f52917b476f887b24a5cbb413b
目的空間には共用部とのつながりを分断する領域が存在する。
目的空間内はさらに分節でき、収納やレベル差の違いから生まれる導線のように利用されるエリアが存在する。
収納や導線のように利用されるエリアが、共用部と接するように存在し、共用部と目的空間を分断している。
https://gyazo.com/c4e3eec0121e6e8b59fd28b1f5a1cae5
提案 共用部と目的空間の間の分断する領域を、鑑賞する領域に変換する。
https://gyazo.com/7a13cac66748037984d19edcdc67610a
可動の間仕切りや、和室の床の延長、家具のよりどころになる可動の壁により緩衝領域を作り出す。
https://gyazo.com/c5b4662abcbda5c3990bf8599616fab6