男と女のアドラー心理学
#アドラー心理学 #パートナーシップ
著 : 岩井俊憲
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アドラー心理学をベースにして結婚などによる男女の親密な結びつきについて論じている
『愛するということ 新訳版』 の内容も引用されており、思想的に近しい部分もいろいろあった
メモ
アルフレッド・アドラー
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 と唱えた
愛のタスク : カップルを基本とした家族の関係にまつわる課題
1 章 どうして男と女はすれ違うのか?
脳科学と心理学における男と女の捉え方
脳科学では、男女の脳のつくりの違いから、考え方や行動に差が出ると考える
女性は男性よりも、脳梁が 20 % 太い
女性の方が同時並行していろいろなことができる
生まれ持った気質を重視
心理学は、思考、感情、行動を軸にする
アドラーは早期から 「人間関係のトレーニングを積むには、幼いころから男女で過ごす共学がもっとも望ましい環境である」 と言っている
身をもって、「男と女の違い」 を身近に見て、素肌感覚で感じられるから
現代アドラー心理学におけるライフスタイル
自分を変えるカギはライフタスク (人生の様々な場面で遭遇する課題)
自己肯定感が低い人は、問題の根源を 「過去」 に求める傾向があり、他人を心から信頼することが苦手
さらに過去が、現在にまで影響を及ぼしていると考える
このようなネガティブな考え方の傾向を、心理学では原因論や過去志向と呼ぶ
原因論では 「自分と周りの人物のうち、どちらが悪いか? どこが問題か?」 といった発想 → 関係が悪化しやすい
心理学では一時期原因論が主流だったが、アドラー心理学では原因論とは対極の目的論を提唱
原因を探っても解決にはつながらない、という考え方
感覚タイプもコミュニケーションには重要
2 章 傷ついてこそ男女は育ち合う
夫婦とは、ともにつくりあげるもの
ステータスや見かけで判断して結婚するものではない
結婚相手を決めるには、何人かの候補から、友人として相手を見る期間があって、その中からパートナーを決めるのが良いのでは?
その意味で、婚活で、男女の関係がいきなり恋人同士から始まるのは違和感
エーリッヒ・フロムのあらゆる形の愛に共通する基本的な要素
結婚したから配偶者は自分のもの、結婚すれば一生 「妻」 や 「夫」 という地位や立場にいる、というのは、おかしい
結婚に伴う責任とは、相手のパートナーとして、十分な資質を持ち合わせているかどうか
アドラーは、 結婚におけるカップルの協力が、自分たちの幸福だけでなく、他者にも影響を持つことを意味している
人類の幸福にまで広がりを持つ
「Love is not an emotion. Love is a relationship.」 (愛とは、感情というよりは、うまくいっている人間関係の副産物である)
ルドルフ・ドライカースの言葉
バラス・スキナーは、コミュニケーションのことを 「言語行動」 とよび、「マンド」 「タクト」 という2種類に分類
離婚した夫婦の多くは、どうも結婚期間中に 「実家」 を引きずっていたケースが多い
実家との協力は必要だが、なあなあ感覚の馴れ合いは不要
アドラー心理学では、結婚によって別の家庭を形成したカップルは新たな家特有の価値観と雰囲気を形成する責任を担う
カップル間の元の家庭から脱皮できないことを未熟だと捉える
日本人特有の 「察する文化」 が過剰になっている
もっと言葉で伝えよう
アドラーは、共感について 「他者の目で見、他者の耳で聞き、他者の心で感じること」 とし、共同体感覚と切り離せないものと捉える
共感力のない人は共同体感覚のない人
気が利くのも良し悪しある
言葉の通い合いを大事にすべし
忖度せず、相手がどうしたいかをその都度聞くことこそ、カップルの仲をよくする秘訣
「すべての結婚は、国際結婚である」 とパートナー間で捉えたほうが、うまくいくのではないか
時差もあれば、言語も違う、そもそも文化が違う。私が思うに、
3 章 夫婦のギャップを埋めるには?
女性側のセックス観 : 単に行為そのものをあらわすのではなく、もっと広い概念
男性のなかにはセックスというものをまったく理解していない人もいる
実は、ハグ (そっと抱きしめること) さえまともにできない男性も多い
セックスの 3 つの機能
セックスの3つの領域
セックスを嫌う女性
PMS (月経前症候群、月経前緊張症)
女性が急に不機嫌になったり、理由もなく怒りっぽくなったりする理由の多くは、PMS が原因である場合が多いように見受けられる
男性が PMS を知ることも必要だが、それ以上に、日ごろから女性側が、自身の PMS の症状について話しておくことも重要
呼吸を合わせるトレーニング
だいたいの女性は 「セックスよりも、よかった」 「呼吸を合わせるほうが心地よかった」 と言う
妻の呼吸を知らない夫が、いかに多いか
パパ、ママと呼び合うことで 「子どものパパ・ママという属性」 になってしまい、夫婦間に問題が生じる
不倫 (婚外恋愛)
かつては既婚男性と独身女性の構図が目立ったが、最近は比較的、既婚女性が陥るケースも多いよう
女性側が婚外恋愛をする理由
パートナーに対する復讐 : 先に夫が浮気をしたので、その腹いせ
自分の 「女としての能力」 を確かめたいという気持ち
結婚後に夫とのセックス回数が減ったりゼロになったりして 「夫は認めてくれないけど、私にはまだ、女としての可能性がある」 と
不倫癖のある人の多くは、相手に対する相互尊敬や相互信頼が根本的に欠けている
一方で、セカンドパートナーと性交渉なしだからこその親密な関係を築く事例もある
結婚すると、恋人時代に比べて、失ったものがたくさんある
子どものことは話さずに、デートしてラブホテルに行く、というような営みがおすすめ
結婚しているからこそ、独身時代より充実した、2 人の関係を育まなくてはいけない
アドラーは「2人を愛そうとすることは、事実上、どちらも愛していないということである」(『人生の意味の心理学 下』アルテ)と言い切っていますが、現代では、堂々と2人を同時進行で愛している人もいるわけ
うとするみどりの行動の目標は復讐であり、これに加担することは建設的で
家は本来、「信頼・親密・水入らずの共同体」の単位 として捉えられます。この単位である家庭を、復讐を伴った感情で分断するやり方は、いかがなものでしょうか?
それぞれの家庭から生まれ育った2人のカップルから成立した結婚は、夫婦2人だけの営みだけでなく、 脈々と先祖からの伝承を含む家と家の結合 でもあるの
愛とは、感情の高まりでなく、 よりよい人間関係の副産物で
ライフタスクとしての交友のタスク、愛のタスクで円満な関係を維持するには、一時的な感情の高まりでなく、 信頼感をベースにした人間関係があってこそ、揺るぎのない愛が確立・持続 します。
カップルにとっての愛は、あくまでカップルを構成する2人の関係で合意されるもの でなければなりませ
4 章 ある夫婦の亀裂と修復
アドラーの初期の理論には、身体症状を通じて体・器官から表現するメッセージがある : 器官隠語 (organ jargon)
心理的な原因から身体的な症状が出る、いわゆる心身症
5 章 岩井流・良好なパートナーシップを続ける極意
良好なパートナーシップを構築するベースになるのは 「相互尊敬・相互信頼」 を確立すること
尊敬 (リスペクト) : 人それぞれに年齢・性別・職業・役割・趣味などの違いはあっても、人間の尊厳には違いがないことを受け入れ、礼節をもって接する 「態度」 のこと
信頼 : 相手の属性 (地位・収入・学歴・経験など) にかかわらず、無条件に信じること。 いつも相手の行動の背後にある 「善意」 を見つけようとし、根拠を求めないこと
相互というのが重要で、男女間の平等をどんな心理学よりも大切にする、アドラー心理学ならではの定義
メイク・ベター・アプローチ
繰り返し法 : 相手の言葉を繰り返す
感情反映法 : 相手が口にした言葉の裏にある感情を読み取り、言葉にする
涙にはウォーターパワーという相手を操作する力がある
泣く一方で相手に説明しないのは、お互いのためにならない
ラブレター法 : 心を込めたラブレターを書くこと
感謝交換法 : お互いに感謝し、感謝の気持ちを言葉で伝える
共感力を高める
共感力は、トレーニングで、磨くことができる
アドラー心理学では、その人特有のものの見方・価値観を 「私的論理」 と呼ぶ
この私的論理は一人ひとり違う
この私的論理の違いを認め合いながら、他者の私的論理と場の状況を理解・尊重しつつ、他者との間に了解可能な 「共通感覚」 へと導いていくことが大切
そのための架け橋となるのが 「他者の目で見、他者の耳で聞き、他者の心で感じる」 共感です。
夫婦の成長とは、「理解し合うこと」なので、 同じ分野で成長する必要はない
理想の夫婦は、共通点が 30 % 程度で、残りの 70 % はミステリーゾーン
100 % 等しくなる必要はない
結婚はゴールではない
結婚相手に期待すべきは、ときめきでなく 「生活力」 であり 「協力できる能力」
夫婦におけるパートナーシップとは 「on becoming a couple (= カップルになる)」
リーダーシップ論の 「on becoming a leader (= リーダーになる)」 という言葉と同様
お互いの努力が必要で、結婚していろんなプロセスを経て、ベストカップルになっていく
カップルとして成立したらそこで完成ではない
なんといっても協力
アドラー心理学では 「人間は、環境や過去のできごとの犠牲者ではなく、自ら運命を創造する力がある」 (自己決定性) と捉える
私たちは、過去の環境や習慣に支配されるのではなく、 自ら環境や習慣に働きかけ、それらを私たちが支配できる。
上手に愛するためには上手に生きなければならない。 賢く生きるためには上手に愛さなければならない。
▲ W・B・ウルフの言葉
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