箇条書きと接続詞
2019-04-07
ScrapboxDrinkupで話題に出た
Scrapboxを使って学生に文章作成の指導をしている2つのケース
接続詞に対しての指導が逆方向
「接続詞を使うな」⇔「接続詞を補え」
「接続詞を使うな」
なくても意味が通るように構成をする訓練
「よって」は貴重
どうしても必要なところがでてくる
どうしても必要なところにだけ使う
(追加ヒアリング)
この指導の過程で学生が作る文章には、特定の構造が要求されている
法的三段論法
「接続詞を補え」
箇条書きで書けるが文章にすることができない学生がいる
箇条書きの段階で教師がレビューをすると、ちゃんと理解しているように見えてしまう
箇条書きの空白を教師は無意識に補って読んでしまう
学生は「わかっていて書くまでもないこと」を空白にしているとは限らない
「わかっていない」ことが空白になっていることがある
だから接続詞を明示的に書かせる
箇条書きの項目間の関係を明示させる
例示なのか?
反例なのか?
箇条書きの2つの項目がどうつながるのかを明確化することによって、そこに空白があれば気づくことができる
箇条書きを読む速度は速い
しかしそれは空白を補って読むことができる人材であることが前提
教育過程の人材に対しては適切ではない
速く読むと正しいと思ってしまう
読むスピードを遅くすることがクリティカルリーディングに有用
その後の議論
エンジニア集団での使い方で、接続詞があまり使われてないという意見あり
「正解がない問題についての自分の見解を説明する」という状況と「事実を伝達する」という状況で接続詞の出現頻度が変わるのかもしれない
事実の伝達であることが事前に合意されてるなら「批判的読み方」は必要ないし時間のロスになる。一方で解釈の伝達である時には批判的に読まなければ「鵜吞み」になってしまう。
批判的に読む能力を訓練しようという状況で、事実の共有を効率的にするための作法と異なる作法が生まれるのは不自然ではない
一方で普段情報伝達的な会話をしているエンジニアであっても、時々答えのない議論をすることはある。設計をどうするべきかとかね。そういう時に「こうであるべきだぁ」と言い出す人がいると議論が平行線になりがちで、そうではなく「この設計はこういう状況で有用である」「いや違う、その設計だとうまくいかないケースがある」というような情報伝達的な会話だとうまく行きやすい。
2つの訓練がある
箇条書きで論旨の展開がきちんとできてないので接続詞を補わせる訓練
接続詞に頼って論旨の展開をしていて構造化ができてないので接続詞を削らせる訓練
箇条書きの冒頭に接続詞がついている場合、アウトライナー的な上下移動を妨げる。
接続詞は複数のアイテムの間をつないで関係を固定化させる。
だから論旨のねじれた1次元の文章を書いて、どう改善したら良いかわからなくて困っている人に対しては、書いた文章の中の情報の塊を箇条書きの各要素にして、接続詞を取り払い、自由に動かせる状態にして「構成を考える」ことが有益になる。
逆に、情報の塊を箇条書きで列挙して、それを1次元の文章にすることができてない人に対しては、それらの断片をどう繋ぐのか「流れを考える」ことが有益になる。
この段階では箇条書きで構成を作った後で接続詞を明示的に補うことが有益になる。
↑これ自体がふと思いついてFacebookに書いた「一次元の文章」を後から箇条書きにしたもの。接続詞があって、順番を入れ替えられないことがわかる。 これをフラットな箇条書きにしてみたもの: (連想: コンポスター) 箇条書き冒頭の接続詞はアウトライナー的な上下移動を妨げる。
接続詞は複数のアイテムの間をつないで関係を固定化させる。
接続詞を取り払うと自由に動かせる状態になる。
論旨のねじれた1次元の文章
構成を考える
書いた文章の中の情報の塊を箇条書きの各要素にして動かせるようにする
情報の断片を1次元の文章にすることができないがいる
情報の塊を箇条書きで列挙
箇条書きでで構成を作った後どうするか
断片をどう繋ぐのか
流れを考える
箇条書きに接続詞を明示的に補う
この作業は、僕からすればKJ法のラベル作りに他ならない KJ法の付箋は「動かす」ことを想定して作られる
「接続詞を外すことは動かしやすくすることなのでは?」という意見に対して「法的三段論法で構成することは決まっているのであまり上下に動かして構成することはない」との意見
電子書籍の時代では、もはや箇条書きでいいんじゃないかという気がしてきた。箇条書きならマッハで書ける。
文章という形態は、どうしても直列になってしまうので、並列概念をうまく取り扱えない。
接続詞を読者が暗黙的に補えれば、箇条書きで十分意味は伝わる。
箇条書き電子書籍が成立する条件
読者に十分な教養、知識があり接続詞を補完できる
文章が読みたいのではなく、著者の思考ダンプが読みたい
電子書籍で1000人に届けるのがゴールなのであれば、箇条書きで十分。
不特定多数5000人以上(技術書の初版相当)に届けたいなら通常文章。