民主主義は四則演算
from 川喜田二郎の民主主義論
民主主義は四則演算
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川喜田二郎は、民主主義の本質を「市民の積極的な参加」にあると捉えていました。その象徴的な表現が「民主主義は四則演算」という教えです​。彼によれば、民主的な意思決定は次の段階を踏むべきだといいます​:
足し算: まずは「みんなの意見をすべて出してもらう」こと。あらゆる立場の市民から多様な意見を集める段階です。
掛け算: 次に「出てきた意見をぶつけ合い、新しいアイデアを出す」。異なる意見同士を議論させることで、新たな発想や創造的解決策を生み出します。
引き算: 続いて「どのような選択肢があるのか絞り込む」。提案やアイデアを整理し、現実的な代替案を絞り込んでいきます。
割り算: 最後に「どの選択肢にどれだけの人が支持するか」を確認する。投票や合意形成によって支持の割合を測り、最終決定します。
川喜田は、このような全員参加型の議論プロセスを丁寧に積み上げることで、人々が「自分も参加した、自分の意見が反映された」と納得できる民主主義が実現すると述べています​。つまり、民主主義には単なる多数決だけでなく、意見の収集・創発・収斂・合意という一連のプロセスが不可欠だと強調したのです。
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