不安のない仕事はない
中高生相手に講演をすると、必ず「マニアックな分野に進むことは不安じゃなかったですか?」や「不安定な仕事を選ぶのは不安じゃなかったんですか?」と質問されます。他者との関係構築能力に比べるとあまり注目されない気がしますが、「自分の不安との付き合い方」はとても大事な能力だと感じます。 あらゆる不安を消滅させることはできないので、自分の中の不安の根源をよく知り、うまく付き合っていくことが大事かな、と思っています。
今の中高生は就職氷河期世代のご子息にあたることもあり、「社会の不安定さ」に対して敏感なのかもしれないですね。 「不安定な職種を選ぶことの不安」については、就職後数年以内に転職する同級生が結構いたので、「絶対的に安定した職種なんてもはやなさそう。ならば楽しいことやった方が自分の幸せには近づけそう」と思っていました。
「マニアックな研究分野に進むことの不安」については、研究は人が多ければ多いほど競争が激化するので、「マニアックだから不安」という気持ちはなかったです。むしろ王道な分野の方が大変そうなイメージが…自分の性格的には、ニッチでマニアックな分野の方が合っていたかなと思っています。 それと「研究で苦労したことはなんですか」もよく聞かれるのですが、これに関してはお答えしないようにしています。研究の楽しさが第三者には共感しづらいことが多いのに対して、研究の大変さはハードワークや人間関係など”わかりやすい”ものが多いからです。
苦労よりも楽しさを聞いてほしいです〜
ちなみにこれまで私立小中高から公立中、JST補助事業から地域児童館のイベントなど、比較的幅広く講演をお引き受けしてきましたが、どこでも満遍なく聞かれる質問です。大人の方に尋ねられたことはないので、社会人の中には「不安のない仕事はない」という共通見解があるかもしれないですね。