ベルヌ条約と同一性保持権
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ベルヌ条約(Berne Convention)は、著作物の国際的保護に関する基本的な枠組みを定めた条約です。その第6条の2(6bis)で「著作者の人格権(moral rights)」の一部として「同一性保持権」に相当する権利を認めています。以下がポイントです: 1. ベルヌ条約の第6条の2(moral rights)
著作者は、経済的権利(複製権など)とは別に、作品の同一性を守る権利や著作者名表示の権利を持つ。
条約加盟国は、この人格権保護を国内法で実現しなければならない。
2. 同一性保持権(right of integrity)とは
著作者が自分の作品の内容や形態を守り、無断改変によって名誉や声望を害されることに反対できる権利。
日本法では著作者人格権の一つとして、無断改変を許さない保護が定められている。
3. 両者の関係
ベルヌ条約が最低限の国際標準として同一性保持権の保護を義務づけ、その具体的運用は各国の国内法に委ねられている。
したがって日本を含む締約国は、同一性保持権を国内著作権法のもとで保護することが求められる。
まとめると、ベルヌ条約は加盟国に著作者人格権を保護する責務を課し、その中核にあるのが同一性保持権(改変に対する抵抗権)です。各国はこの原則を取り入れ、著作者の作品と名誉・声望を守る仕組みを国内法で設けています。
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補足
ベルヌ条約自体は1886年に成立しました。
著作者人格権(moral rights)の規定が明確化されたのは1928年のローマ改正です(第6条の2の追加など)。
ベルヌ条約はあくまで「最低限の基準」を設けており、実際の運用や詳しい保護内容は各国の国内法に任されています。
日本法では著作者人格権は譲渡や放棄が基本的に認められず、改変に対して強い拒否権を持っている点で、他国と比べても比較的厳格に保護しているといえます。
例えば、英米法圏では著作者人格権が限定的だったり、一定の条件で譲渡・放棄を認めることがあります。
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ベルヌ条約は最低限のラインとして「無断改変によって名誉や声望を害されることに反対できる権利」を要求
日本では「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」という条文になったことで「名誉・声望の毀損の有無によらずあらゆる改変を禁止できる」という性質になった
著作者人格権が明確化されたのは1928年の話なので著作物を一般消費者が家庭内で改変するというシチュエーションが想定されていなかった