チャットボットは文房具
興味深い議論だけどコーチングチャットボットと人間のコーチングを比較するのは見当違いに感じる。チャットボットは「生身の人間を介さずに一人でアウトプットするための文房具」であって、比較対象は紙とペン。「書いて考えよう」と思ったときに、ゼロから書くのと、質問に答えるののどちらが良いか チャットbotでコーチングというのは今までもたくさん出てきたし一定の成果を出すことは可能なのだけど、コーチングにおいて内省を促す質問は概ね「考えるのが大変」で、botにふわっと投げかけられても深まりきらないことが多い。そこに人がいて「圧」をかけられてようやく絞り出される。
人間のコーチに「圧」があって、それが有効に機能するために必要であるという考察は面白いし、特に異論はない。一方で文房具に圧があることが良いかどうかは別の話であり、人間と違うことによって、入浴中に使ったり、深夜にアイデアを思いついて起きたときに使ったり、といった新しい用途が生まれる
新しい気づきはいいよどみから生まれる、即答できない質問に答えることが重要である、という考え方には100%賛成だけども、それをどう実現するかに関しては「圧」でユーザをコントロールしようとするのではなく、そういう質問に時間をかけて答えた方が自分の得る果実が多いとユーザに理解させる方針 だからやっぱり、最初の話に戻るわけだ。チャットボットは人間ではなく文房具なのだから、「価値を生みやすい使い方」をユーザに教えて、ユーザが納得してそういう使い方をする、という流れが自然。文房具がユーザの使い方をコントロールしようとするのはうまくいかない。