サイボウズラボの人事制度
2020-01-28
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サイボウズの「100人100通りの働き方」が生まれた流れについての講演資料+トークの書き起こし
2005/8 サイボウズラボ設立
研究部門子会社として別の法人格、別の人事制度でスタート
50%ルール: 業務時間の最低50%を好きなテーマに使える制度
2008 ラボで「勤務を週3日に減らし、個人事業とのパラレルワーク」の事例
2012 本社のポリシーが副業許可に変化
サイボウズ・ラボユースは、世界に通用する日本の若手エンジニアの発掘と育成を目指すことを目的とし、学生の若手クリエイターに研究開発の機会を提供する場として、2011年3月31日に設立されました。
学生個人のソフトウェア研究開発プロジェクトを会社が応援する
アルバイトともインターンとも毛色が違う
IPA未踏ユースを参考に作られた
年間103万円を上限にサイボウズが奨励金を支払う
成果物の著作権は個人に帰属
大学生である人が多いのでパラレルワークの一形態と言える
ラボユースをきっかけとして採択者の指導教員と共同研究になった事例がある
ラボ主催での学生向けのイベント
12月に本社でもハッカソンが行われた
以降毎年続いている
社員が3日間、自発的に定めたテーマについて研究開発をし、発表する
ラボ特有の制度があまりない
「あくなき探求」は、全社員に求められる
「あくなき探求」を推進する制度は本社にも導入される
「ラボがやって有益なことは本社がやっても有益なはずだ」
業務時間中であっても指示なく自発的に作ったソフトウェアは個人のもの
たとえばRustの勉強をしたいエンジニアがいたとして、担当業務でRustを使っていなかったとしてもRust本を購入可能です。
パラレルワークに伴う「知識の流出」を懸念する声が世間ではあるらしい
サイボウズはあまり気にしていない
サイボウズが特にWebアプリの開発をしていることも関係している
= 自社内で作った知識だけで戦えるドメインではない
ブラウザの国際的な標準化、国際的に開発されているOSSなど、社外の知識体系への適応が必要
この状況で例えば「社外の勉強会に参加するな」なんて施策ができるはずがない
社員がどんどん外に出て知識獲得することが有用
パラレルワークも「知識の流入」の重要なチャンネルとして機能している 人材の流動性を高めると人材が流出するか?
2012- 育自分休暇制度
サイボウズの退職者がサイボウズの社員に、外での経験について話すイベント
人が外の組織に移ることを「流失」「ネガティブなこと」と考えない
その人がサイボウズと良好な関係を保っているなら、それは社会に対してのネットワークの成長
「社員であるかどうか」をあまり重視してない
社員ではないがサイボウズの理想に共感してくれる人がいる
副業OK、1度会社を去るのもOK
新卒で入って来た人たちに、「まずは君たちにサイボウズを辞められるようになってもらいたい。いつでも辞められる君たちが、それでもサイボウズで働きたいと言ってくれる会社にしていきたい」って伝えている
上司も意識して、その人が外に出られるように育てていかないといけない
「パラレルワークの結果が製品につながった事例」
研究部門は技術シーズに集中しがちだが、ビジネス上は顧客ニーズとのマッチングが重要
パラレルワークは顧客ニーズの発見に特に有益
顧客のある問題Xが手段Yで解決する時、
そのことに気づくのは手段Yを知っている人がチームに参加したタイミング
手段Yはしばしば「学術的最先端の知識」ではない
だから「研究部門の」と限定することにはあまり意味がない
技術での事例
技術的知識に関して
サイボウズは自社クラウド内でサービス運用をしてインターネット越しに顧客に使わせるビジネス形態なので、特許を取らず秘匿する知財戦略が有効
自社クラウド運用上の発明はしばしば自社クラウドの状況に密結合で、特許や論文として切り出すことが有益でない
サイボウズは以前から知識をオープンソースや技術ブログなどの形で社会と共有することに肯定的な文化
論文や特許の本数のノルマがない上、オウンドメディアの活動が活発なので、社会に知識共有する場合もブログ記事という形が選ばれがち
ラボとは関係ないが話題に出たので
2016/4
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「人材の流動性」を直接の目的としていない
多様な「社外のプロジェクト」に対する参加を妨げない(1)
(丸山宏「企業の研究者をめざす皆さんへ」)
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