「作る」と「生まれる」
「作る」と「生まれる」
o1 Pro.icon「世界が“意図的に作られた”という考え方」と、「世界が“自然に生まれ出た”という考え方」は、さまざまな神話・宗教にそれぞれの形で表れています。以下、代表的な例を簡潔に挙げながら解説します。
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1. 「作る(創造する)」タイプ
キリスト教
旧約聖書「創世記」冒頭
「はじめに神は天と地とを創造された。」
神(ヤハウェ)が明確な意志をもって、7日間で天地とあらゆる生き物を創ったという物語です。「設計者」のような存在が世界を作ったとされる典型例。
日本神話
『古事記』・『日本書紀』:イザナギ・イザナミの国生み
天から授かった「天沼矛(あめのぬぼこ)」を海に差し下ろし、引き上げると滴から島が固まった。
このように、神々が道具を使って“国土を形づくる”過程が語られ、世界を意図的に「作る」行為が強調される。
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2. 「生まれる(生成する)」タイプ
ギリシャ神話
ヘシオドス『神統記』
「最初にカオスがあった。」
世界は混沌(カオス)から自然に生まれ、そこから大地(ガイア)や愛(エロス)、闇(エレボス)などが次々に分化していくとされる。秩序だった創造者の存在よりも、自然発生的な展開が際立つ。
インド神話
宇宙卵(ブラフマンダ)の物語やリグ・ヴェーダの「ナースディーヤ・スークタ(宇宙の起源賛歌)」
「当時は存在も非存在もなかった。」
何も定まらない根源的状態から、自然の働きによって徐々に世界が形づくられたというイメージ。「生成」の力が根源にあり、必ずしも特定の人格神が“意図をもって作った”わけではない。
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まとめ
「作る」思想は、神や超越的存在の“明確な意志”による世界創造を強調します。旧約聖書の天地創造や日本神話の国生み神話はその代表例で、秩序や設計・目的が明確です。
「生まれる」思想は、世界が原初の混沌や卵のような状態から“自然に展開”していく様子を描きます。ギリシャ神話のカオス起源説やインド神話の宇宙卵は自然発生的な生成に重点が置かれ、神の意図よりも“根源的な力”や“流れ”が世界を生んだとされます。
多くの場合、この二つが純粋に分かれるわけではなく、“初めは混沌から自然発生したが、やがて神が介入して整えた”などの混合パターンも見られます。しかし大きく「作る/生まれる」という視点で捉えると、各神話や宗教が描く世界観の違いがわかりやすく整理できます。
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日本神話は世界の創造は「生まれる」系で、国の創造が「作る」系の二段構えだな
日本神話における二段階の創造
インド神話についてはもう少し詳しく知りたい
インド神話の世界誕生