日本神話における二段階の創造
「日本列島」は「作る」神話
『古事記』『日本書紀』では、イザナギ・イザナミが神々から「国土を固めよ」と命じられ、天沼矛(あめのぬぼこ)で海をかき混ぜ、滴から固まった島々を「作った」という描写がある。
これは神々が“意図を持って島々(国)を創造”する、いわゆる「作る」タイプの創造神話。
「世界」全体は「生まれる」に近い要素も
一方、天地開闢の段階では、混沌の中から「高天原」と「天地」が分かれていき、自然に最初の神々(別天つ神=造化三神など)が現れたとされる。 神々が命じられて日本列島を形づくる以前に、世界そのもの(天地)は「自ずと分かれ、生まれてきた」というプロセスが語られる。
つまり「世界の根源的な部分」は自然に“生まれ”、その後「日本国土」を意図的に“作る”という二段階構成になっている。
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まとめ
日本神話では、天地がまず“自然に”分かれて神々が生まれ出る段階(「生まれる」)と、その後イザナギ・イザナミが日本列島を“作る”段階があるため、「生まれる」「作る」が共存する構造といえる。
このように、一口に「作る/生まれる」といっても、神話によっては両面の要素が複雑に組み合わさっており、それが神話世界の豊かな多様性を生んでいます。