インド神話の世界誕生
from 「作る」と「生まれる」
リグ・ヴェーダの「ナースディーヤ・スークタ(宇宙起源賛歌)」
「当時は存在も非存在もなかった。闇が闇を覆っていた」と謳われ、最初は何も定まらない混沌とした状態。
そこから“熱(タパス)”や“欲望”が芽生えた結果として、世界が展開したとされる。
明確な人格神が世界を“作ろう”とするのではなく、根源的な力からの「自然発生」が強調される。
宇宙卵(ヒラニヤガルバ)・ブラフマンダ
ヒラニヤガルバ(「金の胎児」または「黄金の卵」)の概念では、最初に黄金の卵が宇宙の根源として現れ、そこから神々や世界が生まれ出たという説話がある。
これらは「世界=卵の内部から自然に生まれる」というイメージで、やはり“意図的な創造者”というより“根源的な力”が世界を産み出した流れが語られる。
循環する宇宙観
ヒンドゥー教ではブラフマーが創造し、ヴィシュヌが維持し、シヴァが破壊するとされるが、これも無限に繰り返す循環的な世界観が前提。
1サイクルの始まりは「創造」に見えつつも、“神の意志”というより“必然的なリズム”として世界が展開すると捉えられることが多い。
まとめ
インド神話では、原初の混沌(闇・空虚・熱など)から世界が自然発生したり、宇宙卵が割れて世界が生まれたりする「生成」色が強い。