Justice and rejection sensitivity in children and adolescents with ADHD symptoms
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論文の要約(Bondü & Esser, 2015)
テーマ:ADHD傾向のある10–19歳で、正義感受性(justice sensitivity; JS)と拒絶感受性(rejection sensitivity; RS)が併存問題(抑うつ・素行問題・自尊感情低下)にどう関係するか。 対象/測定:ドイツの児童生徒1,235人。ADHD症状、JS(被害者・観察者・加害者の3視点)、不公平知覚の頻度、RS(不安型・怒り型)、抑うつ、素行問題、自尊感情を質問紙で測定。
主要結果:
ADHD症状がある参加者は被害者JS・不公平知覚・不安/怒りRSが高く、加害者JSは低い。 潜在変数パス解析で、JSとRSがADHD症状→併存問題の関連を一部媒介。
含意:ADHD支援では、「不公平さ」への過敏さや拒絶への過敏さに働きかける心理教育・CBT的介入(解釈の再評価、社会的手掛かりの再学習など)を組み込む意義がある。※横断研究のため因果は断定不可。
用語の位置づけ
正義感受性(JS):不正をどれだけ頻繁に知覚し、どれだけ強く反応するかという特性。被害者/観察者/加害者の複数視点で測るのが標準。(PMC) 関連研究マップ(代表例)
JS×攻撃性:被害者JSとRSは反応的/道具的攻撃の上昇と関連、加害者JSは抑制方向に関連。大規模サンプルで確認。(PubMed) JS/RS×抑うつ(縦断):抑うつが高い若者は被害者JS・(不安/怒り)RSが高く、時間を超えて持続する関連を示す(N=1,665,2時点)。(Frontiers, PubMed) JSの測定発展:簡易版JSS-8の英語適応(“原理主義的JS”と“機会主義的JS”の区別)。(PMC) 読みどころ/実務ヒント
プロファイルの非対称性:ADHDでは「被害者JS↑/加害者JS↓」になりやすい点が重要。不公平の過検出と自己の加害側の過小評価が同時に起きうる。これが同級生関係の摩擦→抑うつ/素行問題に接続しやすい。(PubMed) 介入設計:
認知再評価(曖昧な手掛かり=敵意と決めつけない訓練)や社会的手掛かりの読み替えは、敵意帰属バイアスを下げて攻撃性を減らす理論的根拠がある。(PMC) RSへの対応(拒絶予期のモニタリング、注意転換、支持的関係の強化)は抑うつ/不安の二次予防に有効とされる。(PMC) 補足:RSD(Rejection Sensitive Dysphoria)は当事者研究や質的研究で広く語られる概念だが、診断名ではなく研究蓄積は途上。批判・拒絶への経験や意味づけの質的データは増えている。(PLOS, PMC)