コミュニケーションの注入
同期的・非言語的コミュニケーションの営みを常に行うのではなく、必要に応じて差し込むようにするという考え方。
Communication Injection, CI.
背景
分離エンジニアリングでも述べたとおり、私達は「同期的・非言語的コミュニケーションの営み」を絶えず行っている しかし、この営みは負荷が高い割には非生産的であり、賢く使い分けるべき
にもかかわらず、そうさせられないのは、私達は同時に人間でもあって、この営みが必須だからだ
ならば、この営みとそれ以外を分離して、前者は前者用の時間をつくってやればいい。これなら後者に前者は混ざらないし、前者用の時間があるので前者自体もしないわけでもない。両取りできる
この概念はかんたんですが、従来とは大きく異なる発想をするため馴染みづらいです。そこで直感的に理解するための名前の開発が急務です。私はDI(依存性の注入)にヒントを得て、コミュニケーションを注入するのだと捉えました。必要に応じて注入するわけです。このITエンジニアが好みそうなワードチョイスにより、ITエンジニアによる支持も得られやすいでしょう。ソフトウェアエンジニアリングは組織のエンジニアリングと同義であり、コミュニケーションの仕方のエンジニアリングも避けては通れませんから、有意義でもあるはずです。つまりIT企業がアーリーアダプターとなるはずですsta.icon 概要
コミュニケーションとは:
ここでは「同期的かつ非言語的で、親睦を深めるためのカジュアルな営み」
例: 雑談、アイスブレイク、同座してだらだらしている、もくもく(会話はしないがお互い同じ場にいて非言語情報は交わし合える)、ゲーム、ワーク全般
グルーミングと同義だととらえてもらっても良いですsta.icon 労働 = 仕事 + コミュニケーションと捉える
理屈で言えば、仕事にコミュニケーションは必要ないし、コミュニケーションに仕事は必要ない
なのに現代では両者はいっしょくたに扱われており、それゆえ効率的な仕事やコミュニケーションができない
最適なのは 労働 = 仕事 である
しかし私達は人間なのでコミュニケーションがないと病む
そこで、必要に応じてコミュニケーションを差し込むと考える(コミュニケーションを注入する)
CIの構造
コミュニケーションタイムとは「コミュニケーションを行うための時間帯」を指す:
運用は様々考えられる。毎日1時間決まった時間にやる、1人1日2時間使ってもいい等
「コミュニケーション」として行うことも様々。雑談、ゲーム、ボードゲーム、散歩、体操、読書、映画鑑賞等
BFAF
BF
各会議ではコミュニケーションの営みも混ざっている
純粋に議論すれば1会議あたり10分で済むのに、コミュニケーションの営みやそのための準備撤収切り替え時間が含まれるために実際は1会議あたり60分かかっている
AF
コミュニケーションはCIにより、たとえば1日2時間を使っている
(CIでまかなっているため)仕事にコミュニケーションは含まれず、純粋な作業や議論に専念できる
1会議あたり10分で済む
何なら会議すら不要で、ラフな箇条書きや録音録画による非同期的なやり方で進められる
参考:
MTGとコミュニケーションスタッキングを切り離すことによってMTGの生産性を上げる
このページで「コミュニケーション」、またこのサイトでグルーミングと定義する営みは、当時は「コミュニケーションスタッキング」と表現していました。コミュニケーションを積む(Stack + ing)ことからこの名前です。それはともかく、私のこの概念を使っていただいていると思います。私のクセの強いワードチョイスとかぶることなど、まずありませんからねsta.icon また、このページはわかりやすい事例でもあります。コミュニケーションタイムとして、GitLabの取り組みとしても有名なCoffee Chatを採用していると言えるからです。普段のコミュニケーションはこのCoffee Chatでやっているから、仕事の各種会議ではいちいち雑談しなくてもいいよね、その分議論に集中できるよね、というわけですsta.icon