行動データ
行動データをそのままお金儲けに使おうとするとユーザーにとって不義理な事態になりやすく、信頼関係を失ってしまいますが、UXに還元することでユーザーの信頼を獲得でき、長くそのサービスを使ってくれるようになっていきます。
ユーザ側の体験向上
行動データを使ったユーザーへの価値提供は、あくまで「顧客の状況理解の解像度を上げること」に利用されるにすぎませんが、タイミングを把握し、行動における場所や時間が分かることで、AmazonなどのECでイメージされる通常のマッチングやレコメンドよりも多様かつ高い精度で価値提供ができます。 自然災害があり、その地域に住んでいる人が請求できる保険に入っていた場合、「もし災害で損失があったら保険金請求できますよ」とリマインドコールをすることも可能です。なお、このときに顧客の生涯価値、つまり、現在ではなく生涯を通してその顧客がどれくらい平安保険にとって大事な(お金を出してくれる)ユーザーなのかが可視化されており、こうした連絡においても優先度がつけられているそうです。
ビジネスプロセス側の効率向上
主観的な相互評価だけではなく、ユーザーの配車リクエストへのレスポンスの速さ、受けた配車に対してのキャンセル有無、移動時のスピード、急ブレーキや急発進など危ない運転をしていないか、といった行動を見ることによって、ドライバーの品質を評価するようにしました。
順守すればスコアがたまっていってグレードが上がるため、「給料を上げようと頑張れば頑張るほど、UXが良くなっていく」という仕組みを作っています。まさに、行動データを活用した業務・サービスの品質改善と言えるでしょう。
双方を助ける付加価値
ジーマクレジットは、ポイントが著しく下がることはあまりなく、条件を満たしていくと加点式で上がっていきます。イメージとしてはアリババのVIPスコアで、「アリババ経済圏で優秀なユーザーになると、現実で使える魔法が増える」と考えればよいと思います。与えられたタスクを消化し、アリババでの活動を増やしていくことでメリットが得られていく一種のゲーム的な楽しさがあるわけです。
行動データの利活用事例は既にある程度パターン化できます。世の中にある様々なデータを取りに行けばそれが財産となるといった幻想を追わず、自社が抱えるファーストパーティデータ(注)を使って、とにかくUXの改善に使うことです。それが、本質的なデータ活用です。