d払い
シームレスな体験
起動速度やコードの表示速度も「1年を通してきれいにしていったことがジワジワと効いて、速くなっている」(同)。Wi-FiやデュアルSIMで回線を切り替えるとすぐにログアウトしてしまう問題にも改善を施し、以前と比べると「数分の1程度まで落ち着いている」(同)。
コンセプトは「インフラとしてのデザイン」
決済音の導入
決済音を導入したことも、大きな話題になった。競合となるほとんどのコード決済は、サウンドが鳴るのが一般的だ。ただ、決済音には賛否両論があり、無音を貫くのがd払いの美点と捉える人もいただろう。サービス名を大きな音で読み上げるため、「恥ずかしい」という声は少なくない。決済サービス側も、音量調整機能を搭載するなどして、こうした批判に応えている。では、d払いはなぜ決済音を導入したのか。ペイメントサービス企画担当主査の郭スミン氏はこう語る。 「d払いのサービスをローンチしたときには搭載しておらず、決済音には賛否両論あることは分かっていたので分析をしました。(搭載の)発端になったのは、お店のスタッフからの声です。コード決済は、画面で支払われたことを確認しなければなりません。音が鳴れば直感的に支払いが完了したことが分かり、オペレーションもはかどる。そういったご要望から、検討をスタートしました」
「お客さまにとってどうなのかも、綿密に調査しました。決済音が鳴ってほしいのか、ほしくないのか。音次第なところもありますが、一般論として、9割のユーザーが『音で知りたい』という回答でした。では検討しようというところから始めています」
一方で、郭氏が話すように、評価はどのような音が鳴るかによるところも大きい。決済音に関しては「後発なので、これまでの決済事業者の音を分析しつつ、われわれのオリジナリティーをどう入れていくのかに時間をかけた」という。ドコモには、非接触決済サービスのiDで決済音を導入した実績があり、力強さと高級感を備えた音色は評価が高い。郭氏も、「あれを超えるほどではないが、あれ並みの好感を持たれるような音を作らなければならない」と思ったという。
決済音の開発には、「TOUCH WOOD SH-08C」のCMである「森の木琴」を手掛け、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで3冠に輝いた清川新也氏を起用。「d払いの『d』の筆跡をヒントに、それを想起できるようにしていった」(同)という。dの筆跡に基づき、音が2段階になったのは、「コードを出し、決済が完了するというストーリー性もある」(同)。