社会的認知
20世紀後半から今日にかけて、社会心理学の研究に1つの方向性を示してきた
人がいかに社会を理解するかという、個人から社会へのプロセスを解明することを目的とした領域であり、概念や方法論の多くを認知心理学に負っている 社会的認知研究のアプローチ
人間をコンピュータの一種(情報処理システム)と見なし、外界から情報を入力、処理し、行動として出力する存在として描くことで、人間の心の働きをプロセスとしてモデル化しようとする点で共通している 人間を情報処理システムとみなす考え方は、社会心理学が人間を対象とする学問である以上、あらゆる領域の研究に適用可能
結果として社会的認知研究の枠組みは、導入されて以降、瞬く間に社会心理学全体に広がり、かつては関連性が問われることなどなかった領域の研究者同士が、共通の概念や理論を使って対話できるようになっている
社会的認知アプローチはまた、社会心理学の研究方法にも変化をもたらした たとえば課題遂行時の反応時間の測定や、記憶の量と正確さを測定する再生・再認テストなど、認知心理学において開発された実験手続きが社会心理学に持ち込まれ、人の認知構造や認知過程を直接的、客観的に調べられるツールとして利用されるようになった
社会心理学の各領域が、概念や理論だけでなく、方法論の共有を通じても、徐々に連携がもたれるようになった