猿人
人類進化を4段階に分けた場合、その最初の段階のものをいう。 また一方、人猿man-apeということばもあり、50年代には、猿人とどちらが適当かということで討議が続けられた。猿人も人猿もヒトとサルの中間的なもので、前者はそのなかでもヒト寄り、後者はサル寄りということになるが、59年、リーキー夫妻によりタンザニアのオルドワイ遺跡からジンジャントロプスが粗製の礫石器を伴って発見されて以来、文化をもつ動物として、最終的に猿人とみなされるに至った。 猿人に属する化石標本にはいろいろな違いがあるが、すべて直立姿勢(二足歩行)をとっていたことが、骨盤の形態や頭蓋底における大後頭孔の位置から証明されている。 したがって、上肢は歩行から解放され、道具を使用するのに十分自由であったと推定されている。また、短縮した犬歯はもはや牙とはいえない。これらは人類的特徴である。 しかし、脳容積は約500ミリリットルで、現生大型類人猿と等しいか多少大きめにすぎない。今日、猿人研究は人類進化を解く鍵とみなされている。