心理主義
一般に心理学的なものの見方、つまり、世界内の事実的できごとの一種としてみられた心的プロセスや心的機能を考察・研究する学問である心理学の方法を、他のあらゆる学問の基礎に据え、それらに拡張・適用しようとする立場をさしていう。 とくに哲学で心理主義とよばれるのは、前述の心理学的な見方を認識論や論理学の領域に適用し、知識や思考の心理的、事実的な成立過程を観察し確定することによって、認識や思考の客観性や普遍妥当性、いいかえれば、認識や思考の本質をなす法則性や論理性を解明し基礎づけうると主張する立場である。この意味での「心理主義」は、今日では、認識論や論理学に固有の問題を心理学上の事実問題に解消し、それゆえカント的にいえば、権利問題と事実問題の区別を忘失した主張として、ほとんど非難の形容詞となってしまった。