認識論
知識論,知識哲学ともいう。哲学の一部門で,認識,知識の起源,構造,範囲,方法などを探究する学問。 「認識論」という言葉自体は近代の所産であり,Erkenntnistheorieが最初に用いられたのは K.ラインホルトの『人間の表象能力新論の試み』 (1789) においてである。 epistemologyはギリシア語の epistēmē (知識) +logos (論理,方法論) に由来するが,この言葉が最初に用いられたのは J.フェリアーの『形而上学原論』 (54) においてである。もちろん認識の哲学的考察は古代,中世においても神の認識をめぐってなされたが,人間の主体の認識問題として哲学の中心部門に位置を占めるにいたったのは近世においてである。 J.ロックの『人間悟性論』はこの認識の問題の転回点に立つものであり,D.ヒュームらイギリス経験論により認識論の近代的性格はさらに明確にされ,I.カントにおいて大成された。